23 / 90
第2章 過去のふたり
23
しおりを挟む
授賞式当日、ルフェルニアはドレスを身に纏い、髪を結いあげられた姿でミネルウァ邸のエントランスに現れた。
先に待っていたユリウスはルフェルニアを見ると嬉しそうに目を細めた。
「とっても綺麗だね、ルフェ。」
「…アリガトウゴザイマス。」
(いいえ、そういうあなたの方がとっても美しくて目が潰れそうです。)
黒の正装に身を包むユリウスは輝かんばかりの美しさで、ルフェルニアは呼吸が止まりそうになる。
今回は王宮の会場まで、ユリウスがエスコートをしてくれる。ルフェルニアはオットマーが引き受けてくれるとばかり思っていたが、ユリウスの希望らしい。
ルフェルニアはユリウスと並ぶ自分を想像して、「こんなに美しい人と並ぶなんて」と思わずげんなりしてしまったが、ふと自分の衣装とユリウスを見比べて、瞬時に顔を真っ赤にする。
(昨日気づかなかったけど、このドレス、思いっきりユリウスの色だわ!!)
確かに事前に色の好みを聞かれていた。けれどもそれがドレスの色だとは思わないではないか。ルフェルニアは昔からユリウスの髪と瞳が大好きだ。だから、何の気なしに答えただけなのに。
よりにもよって、ユリウスが”黒”の正装を選んでいることもいただけない。
「ルフェが僕の色のドレスを着てくれるから、僕も君の色を纏おうと思って。」
照れたようにはにかむユリウスは、それはもうとっても可愛くて、ルフェルニアの胸をきゅんとさせた。
「私は、そんなつもりじゃ…!」
「知ってるよ、ルフェはただ好きな色を答えただけだもんね。でもルフェは僕の髪と瞳が好きでしょう?」
ルフェルニアは王都に来てから、何だかユリウスの掌で転がされているような気分になる。
「ええ、好きよ!でも、ユリウスだって、私の黒が好きなくせに!」
ルフェルニアが”やられっぱなしは悔しい”と負けじと言い返すが、ユリウスは一瞬目を丸くした後、とっても嬉しそうに笑って「うん」と言うので、ルフェルニアは二の句が告げられない。
(何だかもう、一生ユリウスには勝てない気がしてきたわ…。)
ルフェルニアはユリウスの一挙一動に荒ぶる心を落ち着かせるために、見送りに来てくれていたアルウィンの方を見つめると、アルウィンがにっこりと笑ってくれて心が凪ぐ。
その視線に気づいたユリウスがさりげなく体をルフェルニアとアルウィンの間に滑り込ませると、ルフェルニアに手を差し出した。
出発前からどっと疲れたルフェルニアはユリウスの差し出された手に大人しく捕まり、家族に見守られる中、王宮からの迎えの馬車に乗り込んだ。
先に待っていたユリウスはルフェルニアを見ると嬉しそうに目を細めた。
「とっても綺麗だね、ルフェ。」
「…アリガトウゴザイマス。」
(いいえ、そういうあなたの方がとっても美しくて目が潰れそうです。)
黒の正装に身を包むユリウスは輝かんばかりの美しさで、ルフェルニアは呼吸が止まりそうになる。
今回は王宮の会場まで、ユリウスがエスコートをしてくれる。ルフェルニアはオットマーが引き受けてくれるとばかり思っていたが、ユリウスの希望らしい。
ルフェルニアはユリウスと並ぶ自分を想像して、「こんなに美しい人と並ぶなんて」と思わずげんなりしてしまったが、ふと自分の衣装とユリウスを見比べて、瞬時に顔を真っ赤にする。
(昨日気づかなかったけど、このドレス、思いっきりユリウスの色だわ!!)
確かに事前に色の好みを聞かれていた。けれどもそれがドレスの色だとは思わないではないか。ルフェルニアは昔からユリウスの髪と瞳が大好きだ。だから、何の気なしに答えただけなのに。
よりにもよって、ユリウスが”黒”の正装を選んでいることもいただけない。
「ルフェが僕の色のドレスを着てくれるから、僕も君の色を纏おうと思って。」
照れたようにはにかむユリウスは、それはもうとっても可愛くて、ルフェルニアの胸をきゅんとさせた。
「私は、そんなつもりじゃ…!」
「知ってるよ、ルフェはただ好きな色を答えただけだもんね。でもルフェは僕の髪と瞳が好きでしょう?」
ルフェルニアは王都に来てから、何だかユリウスの掌で転がされているような気分になる。
「ええ、好きよ!でも、ユリウスだって、私の黒が好きなくせに!」
ルフェルニアが”やられっぱなしは悔しい”と負けじと言い返すが、ユリウスは一瞬目を丸くした後、とっても嬉しそうに笑って「うん」と言うので、ルフェルニアは二の句が告げられない。
(何だかもう、一生ユリウスには勝てない気がしてきたわ…。)
ルフェルニアはユリウスの一挙一動に荒ぶる心を落ち着かせるために、見送りに来てくれていたアルウィンの方を見つめると、アルウィンがにっこりと笑ってくれて心が凪ぐ。
その視線に気づいたユリウスがさりげなく体をルフェルニアとアルウィンの間に滑り込ませると、ルフェルニアに手を差し出した。
出発前からどっと疲れたルフェルニアはユリウスの差し出された手に大人しく捕まり、家族に見守られる中、王宮からの迎えの馬車に乗り込んだ。
125
お気に入りに追加
2,789
あなたにおすすめの小説

【完結】初恋相手に失恋したので社交から距離を置いて、慎ましく観察眼を磨いていたのですが
藍生蕗
恋愛
子供の頃、一目惚れした相手から素気無い態度で振られてしまったリエラは、異性に好意を寄せる自信を無くしてしまっていた。
しかし貴族令嬢として十八歳は適齢期。
いつまでも家でくすぶっている妹へと、兄が持ち込んだお見合いに応じる事にした。しかしその相手には既に非公式ながらも恋人がいたようで、リエラは衆目の場で醜聞に巻き込まれてしまう。
※ 本編は4万字くらいのお話です
※ 他のサイトでも公開してます
※ 女性の立場が弱い世界観です。苦手な方はご注意下さい。
※ ご都合主義
※ 性格の悪い腹黒王子が出ます(不快注意!)
※ 6/19 HOTランキング7位! 10位以内初めてなので嬉しいです、ありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。
→同日2位! 書いてて良かった! ありがとうございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

王太子殿下はきっと私を愛していない。
haruno
恋愛
王太子殿下の婚約者に選ばれた私。
しかし殿下は噂とは程遠い厳しい人で、私に仕事を押し付けてくる。
それでも諦めずに努力をするも、殿下の秘書が私を妬んでいるようで……

白い結婚のはずでしたが、王太子の愛人に嘲笑されたので隣国へ逃げたら、そちらの王子に大切にされました
ゆる
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」
オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。
「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」
そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。
「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」
このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。
オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。
愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん!
王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。
冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
21時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……

私は家のことにはもう関わりませんから、どうか可愛い妹の面倒を見てあげてください。
木山楽斗
恋愛
侯爵家の令嬢であるアルティアは、家で冷遇されていた。
彼女の父親は、妾とその娘である妹に熱を上げており、アルティアのことは邪魔とさえ思っていたのである。
しかし妾の子である意網を婿に迎える立場にすることは、父親も躊躇っていた。周囲からの体裁を気にした結果、アルティアがその立場となったのだ。
だが、彼女は婚約者から拒絶されることになった。彼曰くアルティアは面白味がなく、多少わがままな妹の方が可愛げがあるそうなのだ。
父親もその判断を支持したことによって、アルティアは家に居場所がないことを悟った。
そこで彼女は、母親が懇意にしている伯爵家を頼り、新たな生活をすることを選んだ。それはアルティアにとって、悪いことという訳ではなかった。家の呪縛から解放された彼女は、伸び伸びと暮らすことにするのだった。
程なくして彼女の元に、婚約者が訪ねて来た。
彼はアルティアの妹のわがままさに辟易としており、さらには社交界において侯爵家が厳しい立場となったことを伝えてきた。妾の子であるということを差し引いても、甘やかされて育ってきた妹の評価というものは、高いものではなかったのだ。
戻って来て欲しいと懇願する婚約者だったが、アルティアはそれを拒絶する。
彼女にとって、婚約者も侯爵家も既に助ける義理はないものだったのだ。

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう
おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。
本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。
初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。
翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス……
(※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる