上 下
76 / 116
帝国編

染み付いた癖を抜くのは難しいのです

しおりを挟む
 ベッドの上で胡座をかきマインドフルネスを行っていると、若き少女達の話し声が・・・ミリー達のようなのです。
 串焼き・・・というより人は何故メイラード香に引かれるのか、そういう生き物なのでしょうがないのです。
「リアさん、フィオナは何をしておりますの・・・座ったまま眠っているなんて事は・・・」
「起きてはいるようじゃぞ、精神統一習慣の1つなのかもしれんが・・・雑念が多いから違うのかもしれんのう・・・」
 カフェ・フレイアでも最近は乳製品も使われているのです、人は何故ラクトン香に引かれるのか・・・そういう生き物なので・・・
「色々考えているようで趣味か食べ物の事しか思考しておらぬな、実は社会的知性を代償にした結果じゃなかろうな・・・?」
「・・・私にはいつも通りのように見えますが、リアさんは人の心が読めるので?」
「読めなくても分かるのではなくて・・・いえ、たまに唐突な行動をしますから一概には言えませんけれど」
「集中できないのですが・・・人は結局、興味のあることにしか関心を持たない生き物なのです(偏見)」
 真面目に思考してみるのです、フレイアでも何気にお酒を出してたりするのですが酔っ払いは見たことがないのです・・・アセトアルデヒドの影響は魔力を持つ生物に作用しにくいのかもしれないのです。
「飲食物の所が変わっておらぬようじゃが、構想が同じ故か方向性も同軸らしいの」
「至って真面目なのです、解毒系の魔導術がないと知った時からの疑問ではあるのです」
「フィオナの言うどく?という概念は馴染みがないですわね・・・怪我や魔力障害の事ですの?」
「ミリーが苦手としている虫型の魔物とか・・・思い返すと溶解液とか直接的な攻撃が主だったのです、こう・・・内側から侵食されるかのようなものなのです」
「・・・魔力障害の事かな、それ自体珍しい状態だけれど・・・フィオナの場合ってもしかしてそれが関係しているのかな」
「魔力障害が続いてしまっているから高次領域・・・といった力が使えるようになった可能性もあるのかもしれませんわね、フィオナやリアさんの力は特殊すぎますから、私(わたくし)達では想像でしか言えませんわ」
 そういう解釈もあるのですか・・・ミリー達から見ると意味不明な力に感じるよう、私も再三言ってるかもですが、未だに理解は及んでいないのですけど。
 最初に風をイメージして発生させたものだから、魔力が想像を具現化させる力だと思っていたのです。
「妾の所に来なかったらずっと魔力と思って使っていたんじゃろうな、認知してからも大して変わっておらぬが」
「魔力と高次領域の意識的な使用感が似てるのですよ、属性変換の初歩術式はできるように・・・ほら!」
「・・・風の術式だね、なんだろう・・・フィオナが術式を展開しているのが逆に違和感・・・恐らくだけど、その初歩的な術式は喜ぶ所でもないよ?」
「本来はこれが普通なのですけれど、学院卒業してからは遅すぎるのですわ」
「ふむ、卒業してからできるようになるのは学院としてはどうなのじゃ・・・現象化として目にしてるのだから無理もないがの」
「これができて魔導術が発動できないという事は、術式の構築中に放出しすぎているようですわね・・・触媒結晶でそれを調整するのですけれど」
「・・・フィオナの杖は触媒結晶が大きいしね、ぴーきー?な武器ってそういうこと?」
「盲点・・・でしたわね、魔力量はあまり気にしたことありませんでしたわ」

 魔力の使用を前提とするこの杖は(元来そういう物)ディオールの伝導率に佩帯時の必要量から触媒結晶の蓄積量と・・・魔力量と操作を両立できる魔導師には問題にならないようなのです。
「私(わたくし)が受け取ったディオールの杖・・・職人が同じ方かもしれませんわね。フィオナの杖をそのまま短杖にしたかのような、こちらであれば扱いやすいと思いますけれど」
「ミリーの新装備・・・素敵なのです、重さにあまり違いないのですね、どう見ても質量違うはずなのに・・・不思議なのです」
「・・・ディオール素材は思っている以上に重いけどね、鞘に納めてる刀にだけ流しておく必要があるし」
 ユラが刀を抜いて見せると私の手に握らせる・・・私には重さの違いが分からなかったのです。
「ディオールに触れた瞬間に高次領域の方が流れておるな、無意識らしいが魔導術を使う際に二重で力が掛かっているのが不安定な要因かもしれんのう」
「染み付いた癖を抜くのは難しいのです・・・5歳から使っていたのです、もはや意識で調節できる気がしないのですが」
 それはそれとして刀もかっこいいのです、ジオのトンファーガンブレードの刃先も意識して形にはしているのですが。
 鞘から抜刀という動作はジオの可動域では厳しいので早々に断念したのです、刀を打ったこともないですし・・・売ってはいたのですが。
「お主が刀を持つと危なっかしいの、子供に刃物はと言ったところじゃな」
「兄様や姉様は幼少期からミスリルの剣握っていたのですが・・・そういえば姉様はお昼寝しているのです?」
「アイリさんなら闘技場に行きましたわ、建国祭闘技戦の予選を観戦してるのでしょう」
「建国祭って半年は先の話だと思っていたのですが・・・闘技戦に予選があるのです?」
 出場登録等をして、当日の勝ち抜き戦とかを想像していたのです。
「闘技戦は元々帝国と王国の騎士団による親善試合らしいのですわ、建国祭に合わせて冒険者も参加できると・・・予選は冒険者選抜の為に行われているみたいですわ」
「そうなのですか・・・姉様は参戦ではなくて観戦なのですね、受付間に合わなかったとかです?」
「・・・私達は当日参加らしいね、魔物大型種討伐に貢献した若き冒険者達・・・特別枠みたい」
 んーエキシビションみたいなものですかね・・・大型種の討伐・・・?
「それって特異個体の事です?情報統制していると言ってなかったです?」
「規制しきれない部分を規模の縮小で開示したようですわね、文献のルスカに寄せた大型の魔物程度に抑えたらしいですわ」
「・・・先月ヒュージさんが宿まで足を運んでくれて話を聞いたのだけど、フィオナは鎧の修繕してたから」
「ああじゃないこうじゃないと、鉄板を溶接しておったのう」
 ジオのデザイン変えるか迷った挙げ句、一旦元の状態にしていた時のようです。
「当日の対戦形式予定を聞きましたが、冒険者選抜組は王国第二騎士団と・・・私(わたくし)達は帝国第一騎士団との試合みたいですわね」
「それは私も数に入っているです・・・?」
「・・・ラニールさんは辞退してるみたいだけど、好き好んで負傷したくないとかで」
 私もそれには激しく同意するのですが、第一騎士団となると・・・・・・帝国の精鋭部隊と戦うのは遠慮したいのです。
「フィオナは合同戦の時も渋っていましたわね、魔物を相手するほうが危険でしょうに」
「百歩譲って遠隔操作ジオでなら・・・」
 ユラやレナの攻撃ほど速くなかったとしても、直撃が前提なのです・・・生身で当たると分かっていて戦うのは勘弁なのです。
 魔力身体強化という名の弱体化全身激痛の次に痛かったというと・・・合同戦でユラから斬撃で吹き飛ばされ地面を転がった時なのです。
「予定というなら公表はまだなのじゃろう、妾がエクタシスに言えば通るであろう」
「・・・リアさんの話を断る姿が想像できないですね・・・」
 事と次第によっては、やっぱり他力本願が楽であると感じてしまう私なのでした。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...