62 / 111
帝国編
被害者意識は視野を狭くするかもです
しおりを挟む
烏が空を飛び、私はその少し上を高く飛行しつつミリーに話し掛ける。
「魔導術にはやはり詠唱が必要なのです?」
「いきなりどうしましたの・・・・・・?発動に必要かと言うことでしたら、不要なのは無詠唱で展開できる事が物語っていますわ」
「それはそうなのですが、ミリーが発動させたグラインド・ディストラなんとか?には詠唱を挟んでいたようなので・・・国級までにもなると流石に詠唱が必要になるのかと」
さも当前のように不要と言っているミリーではあるのですが、魔導術は術式と詠唱で展開するというのが一般認識・・・・・・私が言えた口ではないですが。
遠足は帰るまで、とは言うけど急いで帰省する必要性もないので、緩やかな速度で飛行しながらの会話を続行する。
「魔導術って私未だに基準が分からないよ!フィオナはぱっと出すし、ミリーちゃん達も同じように見えるし!」
「・・・理論上は魔力操作で使えるものだから、術式を覚えれば誰でも使えるはずだものね」
「現在まで引き継がれている書物に記されたのをなぞる・・・基準と言われればこうなりますわね、詠唱はあくまで術式に使われている古代文字を模様で思い浮かべやすくする暗記方法にすぎませんわ」
(人族にしては勤勉である・・・この時代で古代文字に理解あるのは素晴らしい事なのである)
「ヴェルトールが感心している・・・私にはまったく理解できないけど、古代文字と認識している人族は少ないらしいね」
ヴェルトール曰わく、古代文字は人族では廃れていき、既に言葉としての意味は失われたと・・・・・・ん?
「アイリさんが最初に見た魔導術がフィオナだったのが原因ですわね、常識外が先であれば無理もないですわ」
(人族でヴェルガリアと同質の力を持つなど、例外もいいところである)
「今日は特に饒舌だねヴェルトール・・・と、つい声を出して話してしまったよ」
「霊的な存在と喋れるのも常識外だと思うのですが・・・リアの力はアートマ領域なのです、イレギュラーはあちらの方なのですよ」
半信半疑でレナの方に視線を送りながら声を掛けてみる、先程から聞こえているこの声の主・・・古龍は驚いて返してきたのです。
(我が声を拝聴した・・・だと・・・・・・?君に話し掛けた覚えはないのである)
「それは内容で察してはいるのですが・・・・・・聞こえてきたものはしょうがないのです」
「え、フィオナにもヴェルトールの声聞こえているの・・・?」
何故聞こえるようになったのか甚だ疑問ではあるのですが、まあいいのです。
「・・・端から見ると2人共独り言みたいになってるよ」
「レイちゃんが話しかけてきたときに返事はしなくていいって言ってたけど、こういう事なんだね!」
「リアさんもそうですけれど、妙な縁ですわね、私(わたくし)達の出会いは偶然ではなく、必然だったのかもしれませんわね」
(ヴェルガリアと繋がりのある者達とは極力関わりたくなかったのである・・・故に図書館の時にも、その場を離れるように催促したと言うのに)
「その言い方だとリアだけじゃなく、私とも関わりたくないということに・・・・・・霊狐のレイちゃんといいコーザル体といい、私の意に反して嫌われすぎなのです」
(あんな化け物を外に連れ出したのは君なのだろう?二度も我を滅っしおってからに・・・・・・)
(聴いておれば被害者振りおるな、そもそも最初に妾へ喧嘩を売ってきたのはそなたじゃ?)
会話にリアも交ざることで頭の中で声が乱立して・・・聴覚を無視して音が鳴り響いてる感覚も実に不思議な気分なのです。
(異質なものに警戒するのは当然なのである、貴様に出会ったのが我の運の尽きだった・・・以降ろくな目にあわないのである)
(被害者意識も甚だしいのぅ、少なくとも二度目に他意はないのじゃ、過去を嘆くより今を視よ)
「ちょっとフィオナ・・・少しふらついていますわよ?」
「少々頭の中が忙しいのですー」
「ヴェルトールは誰と話して・・・・・・頭の中であまり騒がないでほしい」
(魂だけでどうしろというのだ、レナの身体を乗っ取るわけにもいかないのである)
(被害者意識と生への執着が邪魔をしてコーザル体に至れなかったのは運の尽きじゃが、その者が契約を承諾してくれたのは強運と、前向きに捉えればいいものを)
どうやら契約を通してレナの魔力により、存在を維持しているようなのです。
(お二方やかましいのだわ!おちおち寝ていられないのだわ!)
「わわ、レイちゃんが急に不機嫌になった!」
既に脳内が賑やかだったところで、更に声が増えるのでした。
烏が太陽を背に鳥型の目をくらまし、逃げ切る様を見送り改めて聞き耳たてるのです。
(ごめんなのだわアイリ、古龍二体がやかましかったのだわ!)
「んー私にはレイちゃんの声しか聞こえてないよ?」
「・・・3人も独り言で話されると、いよいよ反応に困るのだけど」
「魔導術の話が既に通り越してますわよ・・・話してる相手が古龍と神器と、もはや意味が不明ですわよ」
念話で起こる脳の影響を危惧していたのですが、私も含め3人の実例により恐らく・・・大丈夫そうと判断した私はミリーとユラに念話状態を共有するイメージを試みるのです。
(それはそうと、帝都に戻ったらギルドではなく神殿に来るのじゃ)
「・・・あれ、リアさんの声が聞こえて・・・・・・?」
「どういうこ・・・いえ、フィオナですわね?こんなことをこの場で可能にできるのは」
「まだ何も言っていないのですが・・・ミリーは察するのが早いのです」
(ふむ、コーザルクオリアに移行したようじゃな、高次領域の力を存分に無駄遣い・・・・・・それ自体は今までと大差ないがの)
「貴重な体験ですけれど、大森林も抜けて帝都が見えてきましたわよ?」
「・・・神殿、と仰ってましたね、リアさんが古龍ヴェルガリアなのは存じてますけど・・・」
(今更畏まらないでよいぞユラよ、ヒュージのやつめが皇帝に妾の事も伝えてしまったようでな。昨日の今日で面倒な事になっておるのじゃ)
「面倒は嫌いなん・・・・・・もしかしてリアが本物かどうか疑われたです?」
(本物と証明した後で次元断裂の件を裁かれるといいのだわ!)
(お主には特に何もしとらんじゃろ、悪ノリするでないわ・・・)
脳内が騒がしい中、無事、帝都に到着したのでした。
「魔導術にはやはり詠唱が必要なのです?」
「いきなりどうしましたの・・・・・・?発動に必要かと言うことでしたら、不要なのは無詠唱で展開できる事が物語っていますわ」
「それはそうなのですが、ミリーが発動させたグラインド・ディストラなんとか?には詠唱を挟んでいたようなので・・・国級までにもなると流石に詠唱が必要になるのかと」
さも当前のように不要と言っているミリーではあるのですが、魔導術は術式と詠唱で展開するというのが一般認識・・・・・・私が言えた口ではないですが。
遠足は帰るまで、とは言うけど急いで帰省する必要性もないので、緩やかな速度で飛行しながらの会話を続行する。
「魔導術って私未だに基準が分からないよ!フィオナはぱっと出すし、ミリーちゃん達も同じように見えるし!」
「・・・理論上は魔力操作で使えるものだから、術式を覚えれば誰でも使えるはずだものね」
「現在まで引き継がれている書物に記されたのをなぞる・・・基準と言われればこうなりますわね、詠唱はあくまで術式に使われている古代文字を模様で思い浮かべやすくする暗記方法にすぎませんわ」
(人族にしては勤勉である・・・この時代で古代文字に理解あるのは素晴らしい事なのである)
「ヴェルトールが感心している・・・私にはまったく理解できないけど、古代文字と認識している人族は少ないらしいね」
ヴェルトール曰わく、古代文字は人族では廃れていき、既に言葉としての意味は失われたと・・・・・・ん?
「アイリさんが最初に見た魔導術がフィオナだったのが原因ですわね、常識外が先であれば無理もないですわ」
(人族でヴェルガリアと同質の力を持つなど、例外もいいところである)
「今日は特に饒舌だねヴェルトール・・・と、つい声を出して話してしまったよ」
「霊的な存在と喋れるのも常識外だと思うのですが・・・リアの力はアートマ領域なのです、イレギュラーはあちらの方なのですよ」
半信半疑でレナの方に視線を送りながら声を掛けてみる、先程から聞こえているこの声の主・・・古龍は驚いて返してきたのです。
(我が声を拝聴した・・・だと・・・・・・?君に話し掛けた覚えはないのである)
「それは内容で察してはいるのですが・・・・・・聞こえてきたものはしょうがないのです」
「え、フィオナにもヴェルトールの声聞こえているの・・・?」
何故聞こえるようになったのか甚だ疑問ではあるのですが、まあいいのです。
「・・・端から見ると2人共独り言みたいになってるよ」
「レイちゃんが話しかけてきたときに返事はしなくていいって言ってたけど、こういう事なんだね!」
「リアさんもそうですけれど、妙な縁ですわね、私(わたくし)達の出会いは偶然ではなく、必然だったのかもしれませんわね」
(ヴェルガリアと繋がりのある者達とは極力関わりたくなかったのである・・・故に図書館の時にも、その場を離れるように催促したと言うのに)
「その言い方だとリアだけじゃなく、私とも関わりたくないということに・・・・・・霊狐のレイちゃんといいコーザル体といい、私の意に反して嫌われすぎなのです」
(あんな化け物を外に連れ出したのは君なのだろう?二度も我を滅っしおってからに・・・・・・)
(聴いておれば被害者振りおるな、そもそも最初に妾へ喧嘩を売ってきたのはそなたじゃ?)
会話にリアも交ざることで頭の中で声が乱立して・・・聴覚を無視して音が鳴り響いてる感覚も実に不思議な気分なのです。
(異質なものに警戒するのは当然なのである、貴様に出会ったのが我の運の尽きだった・・・以降ろくな目にあわないのである)
(被害者意識も甚だしいのぅ、少なくとも二度目に他意はないのじゃ、過去を嘆くより今を視よ)
「ちょっとフィオナ・・・少しふらついていますわよ?」
「少々頭の中が忙しいのですー」
「ヴェルトールは誰と話して・・・・・・頭の中であまり騒がないでほしい」
(魂だけでどうしろというのだ、レナの身体を乗っ取るわけにもいかないのである)
(被害者意識と生への執着が邪魔をしてコーザル体に至れなかったのは運の尽きじゃが、その者が契約を承諾してくれたのは強運と、前向きに捉えればいいものを)
どうやら契約を通してレナの魔力により、存在を維持しているようなのです。
(お二方やかましいのだわ!おちおち寝ていられないのだわ!)
「わわ、レイちゃんが急に不機嫌になった!」
既に脳内が賑やかだったところで、更に声が増えるのでした。
烏が太陽を背に鳥型の目をくらまし、逃げ切る様を見送り改めて聞き耳たてるのです。
(ごめんなのだわアイリ、古龍二体がやかましかったのだわ!)
「んー私にはレイちゃんの声しか聞こえてないよ?」
「・・・3人も独り言で話されると、いよいよ反応に困るのだけど」
「魔導術の話が既に通り越してますわよ・・・話してる相手が古龍と神器と、もはや意味が不明ですわよ」
念話で起こる脳の影響を危惧していたのですが、私も含め3人の実例により恐らく・・・大丈夫そうと判断した私はミリーとユラに念話状態を共有するイメージを試みるのです。
(それはそうと、帝都に戻ったらギルドではなく神殿に来るのじゃ)
「・・・あれ、リアさんの声が聞こえて・・・・・・?」
「どういうこ・・・いえ、フィオナですわね?こんなことをこの場で可能にできるのは」
「まだ何も言っていないのですが・・・ミリーは察するのが早いのです」
(ふむ、コーザルクオリアに移行したようじゃな、高次領域の力を存分に無駄遣い・・・・・・それ自体は今までと大差ないがの)
「貴重な体験ですけれど、大森林も抜けて帝都が見えてきましたわよ?」
「・・・神殿、と仰ってましたね、リアさんが古龍ヴェルガリアなのは存じてますけど・・・」
(今更畏まらないでよいぞユラよ、ヒュージのやつめが皇帝に妾の事も伝えてしまったようでな。昨日の今日で面倒な事になっておるのじゃ)
「面倒は嫌いなん・・・・・・もしかしてリアが本物かどうか疑われたです?」
(本物と証明した後で次元断裂の件を裁かれるといいのだわ!)
(お主には特に何もしとらんじゃろ、悪ノリするでないわ・・・)
脳内が騒がしい中、無事、帝都に到着したのでした。
20
お気に入りに追加
804
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる