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帝国編
王都からの旅立ち
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王都クロウディル西門から出ている帝都行きの馬車に揺られながら、徐々に遠くなっていく王都を見つめる。
少しマリナの寂しげな顔が尾を引いてはいるが、快く送り出してくれた事で無事に帰ってくる事を心に決めた。
「その小さい子はわざわざ不安定な所に座って・・・危なくないかい?」
馬車の中ではなく、幌上に座っているのは特に意味はない。
正確にはミリーにユラ、アイリとリアとは別に2人冒険者が乗り合わせており、ディオールの杖でスペースを取ってしまいそうだからという理由だが。
飛んでいけば早いだろうが行ったことのない場所に1人で行くのも不安であった・・・アプリの地図すらあまり使わない人間故、迷子になりかねなかった。
「いや~しかし君達みんな美人だね~、俺共和国出身なんだけど・・・」
「ちょっと、困ってるでしょ・・・ごめんねこいついつもこんな感じで・・・でも本当に美人揃いね」
下でわいわいしてるのを聞きながら、帝都で何と言って別行動をするかを考える。
頻繁に串焼き食べているからちょっと露店探してくるでもいける気がしなくもないが、帝都からアーシルまでどのくらいの距離か分からない以上、ギルドで話を聞いてから考えるとしよう。
「そういえば上にいる子も君達のパーティーかい?ブロンズで帝都まで何の依頼受けたんだ?」
「フィオナは私達と同い年ですわ、アイリさんとリアさんは違いますが」
「・・・フィオナはゴールドだよ、やっぱり王都以外では見た目の印象が勝るみたい」
どうやら仮登録のブロンズで同伴しているように見えたようだ、ギルドカード自体はバッジみたいにすぐ確認が取れないというのも要因だろう。
「え、あの子ゴールドなんだ・・・立派な杖を持ってるなぁとは思ったけど」
「入学前からずっとあの杖ですわ、今でも身長に反して大きいのは変わりませんけれど」
「あの杖、素材全部がディオール樹製に見えたが・・・流石にあの年でそんなもの使えるわけないよな・・・」
今杖から手を離せば馬車の屋根を突き破る事だろう、魔力を通せば軽くなるディオールだが、私は魔力を使ってはいない・・・憶測だがこの大地に根付く希少の樹であることからコーザル領域を認識してるのだろう。
触媒結晶自体は認識しないようで魔力の蓄積は起こらない、悲しいことに私が使ってもこの杖は真価を発揮することがない・・・鈍器として使うなら強力かもしれないが。
男性冒険者が言ってることも間違いではないという、確かに私は杖を使いこなせているとは言い難い。
魔物の襲来・・・・・・が起こることなく4日ほど過ぎたが、野営中に襲われることもなかった。
「中間村までもう少しだな、王都に行くときには鳥型に襲われものたが・・・今んとこ大丈夫みたいだな」
恐らくこの辺りから霊峰山の影響が薄れているよう、リアも気配を抑えているようだから魔物も出るかもしれないな。
「しかしこの辺りは森林地帯がそこらにありますわね、鳥型もそこから飛んできてるみたいですわ」
「そうなの、村の方も被害がでることあるけど・・・あそこは駐屯騎士や冒険者がそれなりに集まる村だから最小限で済むけどね」
王都と帝都の間にある村のようで冒険者も立ち寄るらしく、以前は獣人族とも交流があったそう。
宿屋や食事所もあり、宿屋街の側面が強いみたいだが・・・現在獣人族は王都にまで行くことが少ない。
「王都の下層でたまに見かけるが、定住はしておらぬようじゃな」
「・・・古龍様の気配が苦手なのかも、気配に敏感な種族と聞いた事あるね」
ユラが視線をリアに向けながら言う、アイリは霊狐を撫でながら話に加わる。
「私あまり龍人様以外の種族と話したことないなー、魔族の人とかもいるのかな?」
「あー共和国じゃ珍しくはないんだがな、帝都でもあまり見ないよ」
学院で習いはしたものの、この17年間獣人族も魔族も直接見たことないなと考えていたら・・・馬車が急停車し私は宙に放り出された。
「びっくりしたのです・・・もう着いたのですか?」
放り出された際にそのまま杖に乗って停滞しながら周囲を見回してみる。
「おわ、浮いてる・・・?」
「あの子が王都で有名な空飛ぶ魔導師だったのね、実際に見たの初めてだわ」
遠目に村が見えているが、上空に何か飛んでいるのが見える・・・とアイリの肩に乗っていた霊狐がうなり声をあげていた。
「鳥型がこっちに飛んできていますわね」
ということは村の方で飛んでいるのもそうか・・・駐屯騎士や冒険者もいるなら助けも必要ではなさそうだが。
「フィオナ、一応村の様子を見てきて下さる?」
「・・・こっちは私たちで仕留める」
「了解なのです、では先に行ってくるのですー」
こちらの心配こそ無用だろう、そのまま上昇した後、村に杖を飛ばすのだった。
バシュゥゥンッ
村の上空を飛んでいる鳥型をレーザーライフルで散らしつつ、周囲を見下ろす。
騎士の姿は・・・散開しつつ戦闘をしているようだが、4~6人くらいだろうか、冒険者も数人はいるようだ。
鳥型は既に地面に突っ伏してる3体を除くと10体くらいいるようだ・・・魔導師が使っているのが初級なのは村の被害を抑える為のよう。
調子に乗って適当に撃ち落としたら屋根に穴が空くだろう・・・ミリーみたいに強い魔導術だと魔物以上に被害が及びそうだ。
「鳥型がまた増え・・・・・・いや、人か・・・?」
「あ、確か合同戦の時の子・・・間違いようがないわね」
どう戦うか思案していると鳥型の鉤爪が飛んでくる、回避しながら大鎌ブレードを展開し、突き刺した後に騎士の方へと放り投げる。
とりあえず留めは他の人達に任せよう、魔導師の人が撃ち落とし騎士が剣で切り裂く。
私も下に被害がでないように腰から改造短剣を3本ほどブレードを展開して攻撃する、後方からの鉤爪を上昇して避け、合同戦でミリーにされた時のように至近距離でエア・バレットを撃ち込む。
ふと馬車がいた方角に目を向けると雷光がピカピカ見える・・・ミリーとユラだろう、正面から迫る鳥型2体の片方を杖から射出したレーザーライフルで撃ち落とす、もう1体をすれ違いざまに大鎌ブレードで引っ掛け、近接冒険者の方に蹴り落とす。
そうこうしてる内に魔物の殲滅は完了したのだった。
建物に落ちていないのを確認しつつ、騎士や冒険者が集まってる場所に高度を落とす。
「こんにちわなのです、今日ここに泊まる予定の冒険者なのですが・・・?」
周囲にいた人達の視線が私に集まる・・・10数人の視線が集中するのは魔物以上に怖いものがある。
「鳥型と空中でやり合える奴は初めて見たな・・・」
「ご助力感謝します・・・失礼ですが、ギルド登録されてはいるでしょうか・・・?」
再びブロンズランクと勘違いされる前にカードを見せる、他の冒険者も少し驚いているようだ。
学院卒業生にもそれなりにいるはずなのだが・・・なるほど、やはり私の見た目の問題か。
「人を見た目で判断してはいけないと両親に教わったのです、確かに私は小柄な体型ではありますが」
そう発言した両親が私を見た目で判断してる気がしなくもないが・・・ジオの時にこういう反応はされない事から、やはり見た目の第一印象は強いということか。
「ごめんなさいね・・・君が合同戦の時の空飛ぶ魔導師なのよね?」
「去年の合同戦は凄かったとは聞いたが・・・先の戦闘を見たら納得の腕前だな」
雑談をしている一方で、駐屯騎士達は村の人達に安全を伝える為に駆け回っていた。
「しかし去年の合同戦ということはまだ17歳なのか・・・それであれだけ戦えるのは大したもんだ」
「俺もそれなりに魔導師歴結構長いはずだが、見たことない魔導術だった・・・気のせいか術式が展開されてなかったような・・・」
質問攻めになっていると少し離れた位置に馬車が見え、私はミリー達の元に飛んでその場から離れるのであった。
少しマリナの寂しげな顔が尾を引いてはいるが、快く送り出してくれた事で無事に帰ってくる事を心に決めた。
「その小さい子はわざわざ不安定な所に座って・・・危なくないかい?」
馬車の中ではなく、幌上に座っているのは特に意味はない。
正確にはミリーにユラ、アイリとリアとは別に2人冒険者が乗り合わせており、ディオールの杖でスペースを取ってしまいそうだからという理由だが。
飛んでいけば早いだろうが行ったことのない場所に1人で行くのも不安であった・・・アプリの地図すらあまり使わない人間故、迷子になりかねなかった。
「いや~しかし君達みんな美人だね~、俺共和国出身なんだけど・・・」
「ちょっと、困ってるでしょ・・・ごめんねこいついつもこんな感じで・・・でも本当に美人揃いね」
下でわいわいしてるのを聞きながら、帝都で何と言って別行動をするかを考える。
頻繁に串焼き食べているからちょっと露店探してくるでもいける気がしなくもないが、帝都からアーシルまでどのくらいの距離か分からない以上、ギルドで話を聞いてから考えるとしよう。
「そういえば上にいる子も君達のパーティーかい?ブロンズで帝都まで何の依頼受けたんだ?」
「フィオナは私達と同い年ですわ、アイリさんとリアさんは違いますが」
「・・・フィオナはゴールドだよ、やっぱり王都以外では見た目の印象が勝るみたい」
どうやら仮登録のブロンズで同伴しているように見えたようだ、ギルドカード自体はバッジみたいにすぐ確認が取れないというのも要因だろう。
「え、あの子ゴールドなんだ・・・立派な杖を持ってるなぁとは思ったけど」
「入学前からずっとあの杖ですわ、今でも身長に反して大きいのは変わりませんけれど」
「あの杖、素材全部がディオール樹製に見えたが・・・流石にあの年でそんなもの使えるわけないよな・・・」
今杖から手を離せば馬車の屋根を突き破る事だろう、魔力を通せば軽くなるディオールだが、私は魔力を使ってはいない・・・憶測だがこの大地に根付く希少の樹であることからコーザル領域を認識してるのだろう。
触媒結晶自体は認識しないようで魔力の蓄積は起こらない、悲しいことに私が使ってもこの杖は真価を発揮することがない・・・鈍器として使うなら強力かもしれないが。
男性冒険者が言ってることも間違いではないという、確かに私は杖を使いこなせているとは言い難い。
魔物の襲来・・・・・・が起こることなく4日ほど過ぎたが、野営中に襲われることもなかった。
「中間村までもう少しだな、王都に行くときには鳥型に襲われものたが・・・今んとこ大丈夫みたいだな」
恐らくこの辺りから霊峰山の影響が薄れているよう、リアも気配を抑えているようだから魔物も出るかもしれないな。
「しかしこの辺りは森林地帯がそこらにありますわね、鳥型もそこから飛んできてるみたいですわ」
「そうなの、村の方も被害がでることあるけど・・・あそこは駐屯騎士や冒険者がそれなりに集まる村だから最小限で済むけどね」
王都と帝都の間にある村のようで冒険者も立ち寄るらしく、以前は獣人族とも交流があったそう。
宿屋や食事所もあり、宿屋街の側面が強いみたいだが・・・現在獣人族は王都にまで行くことが少ない。
「王都の下層でたまに見かけるが、定住はしておらぬようじゃな」
「・・・古龍様の気配が苦手なのかも、気配に敏感な種族と聞いた事あるね」
ユラが視線をリアに向けながら言う、アイリは霊狐を撫でながら話に加わる。
「私あまり龍人様以外の種族と話したことないなー、魔族の人とかもいるのかな?」
「あー共和国じゃ珍しくはないんだがな、帝都でもあまり見ないよ」
学院で習いはしたものの、この17年間獣人族も魔族も直接見たことないなと考えていたら・・・馬車が急停車し私は宙に放り出された。
「びっくりしたのです・・・もう着いたのですか?」
放り出された際にそのまま杖に乗って停滞しながら周囲を見回してみる。
「おわ、浮いてる・・・?」
「あの子が王都で有名な空飛ぶ魔導師だったのね、実際に見たの初めてだわ」
遠目に村が見えているが、上空に何か飛んでいるのが見える・・・とアイリの肩に乗っていた霊狐がうなり声をあげていた。
「鳥型がこっちに飛んできていますわね」
ということは村の方で飛んでいるのもそうか・・・駐屯騎士や冒険者もいるなら助けも必要ではなさそうだが。
「フィオナ、一応村の様子を見てきて下さる?」
「・・・こっちは私たちで仕留める」
「了解なのです、では先に行ってくるのですー」
こちらの心配こそ無用だろう、そのまま上昇した後、村に杖を飛ばすのだった。
バシュゥゥンッ
村の上空を飛んでいる鳥型をレーザーライフルで散らしつつ、周囲を見下ろす。
騎士の姿は・・・散開しつつ戦闘をしているようだが、4~6人くらいだろうか、冒険者も数人はいるようだ。
鳥型は既に地面に突っ伏してる3体を除くと10体くらいいるようだ・・・魔導師が使っているのが初級なのは村の被害を抑える為のよう。
調子に乗って適当に撃ち落としたら屋根に穴が空くだろう・・・ミリーみたいに強い魔導術だと魔物以上に被害が及びそうだ。
「鳥型がまた増え・・・・・・いや、人か・・・?」
「あ、確か合同戦の時の子・・・間違いようがないわね」
どう戦うか思案していると鳥型の鉤爪が飛んでくる、回避しながら大鎌ブレードを展開し、突き刺した後に騎士の方へと放り投げる。
とりあえず留めは他の人達に任せよう、魔導師の人が撃ち落とし騎士が剣で切り裂く。
私も下に被害がでないように腰から改造短剣を3本ほどブレードを展開して攻撃する、後方からの鉤爪を上昇して避け、合同戦でミリーにされた時のように至近距離でエア・バレットを撃ち込む。
ふと馬車がいた方角に目を向けると雷光がピカピカ見える・・・ミリーとユラだろう、正面から迫る鳥型2体の片方を杖から射出したレーザーライフルで撃ち落とす、もう1体をすれ違いざまに大鎌ブレードで引っ掛け、近接冒険者の方に蹴り落とす。
そうこうしてる内に魔物の殲滅は完了したのだった。
建物に落ちていないのを確認しつつ、騎士や冒険者が集まってる場所に高度を落とす。
「こんにちわなのです、今日ここに泊まる予定の冒険者なのですが・・・?」
周囲にいた人達の視線が私に集まる・・・10数人の視線が集中するのは魔物以上に怖いものがある。
「鳥型と空中でやり合える奴は初めて見たな・・・」
「ご助力感謝します・・・失礼ですが、ギルド登録されてはいるでしょうか・・・?」
再びブロンズランクと勘違いされる前にカードを見せる、他の冒険者も少し驚いているようだ。
学院卒業生にもそれなりにいるはずなのだが・・・なるほど、やはり私の見た目の問題か。
「人を見た目で判断してはいけないと両親に教わったのです、確かに私は小柄な体型ではありますが」
そう発言した両親が私を見た目で判断してる気がしなくもないが・・・ジオの時にこういう反応はされない事から、やはり見た目の第一印象は強いということか。
「ごめんなさいね・・・君が合同戦の時の空飛ぶ魔導師なのよね?」
「去年の合同戦は凄かったとは聞いたが・・・先の戦闘を見たら納得の腕前だな」
雑談をしている一方で、駐屯騎士達は村の人達に安全を伝える為に駆け回っていた。
「しかし去年の合同戦ということはまだ17歳なのか・・・それであれだけ戦えるのは大したもんだ」
「俺もそれなりに魔導師歴結構長いはずだが、見たことない魔導術だった・・・気のせいか術式が展開されてなかったような・・・」
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