1 / 116
王国編
転生しました
しおりを挟む
目を覚ますと見慣れない天井が広がっていた。石造りでランタンのような物が複数垂れ下がっており、周囲を確認しようと体に力を込める。
指が動いてるような気はするが力が入ってる感覚はせず、首の方もうまく回らなかった・・・と、視界に女性の姿が入ったと同時に抱えられる。
女性の隣から男性の声が聞こえてきた。
「無事に生まれたようでよかったよマリナ、頑張ったな」
「あなた・・・どう致しまして、と言っても、この子も頑張ってくれたからですよ」
どうやらこの2人は夫婦のようだが見覚えがない、と言うより、この状況を理解できなかった。
確か仕事から帰宅途中で頭と胸が激しく痛みだし、家についた頃には意識が朦朧とし、ヘッドホンを外さずにベッドの前で倒れた・・・はずだが気がつくとこの状態で目の前には知らない夫婦が笑いかけている。
・・・死・・・だったのだろうか、あっけないものだ、いつ死んでも後悔のないようには生きてきたつもりだが、後悔どころか死の瞬間すら感じなかった・・・。
「この子に、神の御加護のあらんことを」
聞こえてきているのは日本語のようだが、転生先が同じ日本・・・というには女性の銀髪と男性の水色の髪が違うということを物語っている。
外国の可能性もなくはないが、だとしたら日本語なはずはないだろう。
転生者特有のご都合主義な状況だが正直ありがたい・・・前世と言っていいのかはわからないが、外国語は文字通り死ぬまで覚えれなかったから転生先で言葉が分からないというのは勘弁である。
この異世界・・・と確定したわけではないが、ここウィクトール家の子供として生まれ変わったのもある意味では神の御加護と言えるのかもしれない。
正直に言うなら異世界以前に、死後の世界すらないと考えていた驚きを隠せない、自分がそれに立ち会えるとは夢にも思わなかった・・・。
「んー、でもアストとアイリの時と違って泣かない子だな・・・こんな事もあるのかぁ」
「のんびりした子に育ちそうですねぇ」
特に不信がる事もなく呑気に世間話をしだした父と母のような人達、あまり細かいことを気にしない性格なのかもしれないが・・・限度はあると思う。
気にされても困るのでこのままでいてもらっているほうが、とこちらとしても助かるので控え目におぎゃぁと声を出した。
私はフィオナと名付けられ、このウィクトール家の三女として生活している。
しかしながらここがどういう世界なのかも現段階ではよくわかっておらず、体もろくに動かせないので生活を送るという状態でもないわけだが・・・いずれ分かるだろうと母マリナ・ウィクトールの背中で周りの人達の会話を聞きながらこの世界の知識を確認していくのであった。
銀色に三本の黒いラインが混じった髪が生え揃ってきた1歳になる私こと、フィオナ・ウィクトールとして生まれ変わってから、この世界に関してある程度わかったのはここは日本でした・・・なんてことはなく、異世界という認識で間違いないようだ。
建物や風景だけでは外国に転生した可能性もありえるのだろうが、前世ではない感覚がある・・・おそらくは魔力だと思っているのだが。
「さあご飯の時間だぞ~一緒に行こうなぁフィオナ~」
ベビーベッドに横になっていた私を父のノルス・ウィクトールが抱きかかえる。
部屋を出た右手側の階段を降りたところにキッチンや居間があるようだ、ご飯は極力、家族全員揃ってから食べるというこのウィクトール家はとても暖かな家庭であることが伺える。
この家は三階建てらしく二階が家族みんなの寝室と隣の空き部屋、三階は後々姉のアイリ・ウィクトールと私の部屋にする予定みたいだ。
建物は全体的に石造りで、床に絨毯はある程度ひいてあるのだが、ハイハイで移動するには少々膝に優しくない。
立って移動しようとおもえばいけるにはいけるが、まだ体のバランスがうまくとれないので階段でこけようものなら再び死んでしまいかねない。
「父さん、明日の剣の稽古ついて行っていいですか?」
兄アスト・ウィクトールが父ノルスに問いかけていた。
姉は3歳、兄は今5歳みたいだが、アストは凄くしっかりしている。
「わあいいな~私もいきたいー!」
姉のアイリの方は明るく落ち着きがない、だが3歳ならこんなものなのだろう。
兄のアストが5歳にしては落ち着いているのだが、一方私のほうはぽわーとしていてのんびりした子と、そのように見えてるらしい。
「おお、いいぞいいぞ。2人は剣士に興味があるのかなあ?」
「ブンブン振り回してて楽しそうー」
家族団らんを見ながらのんびりご飯を食べている私が今考えているのは、この世界に魔導術なるものがあるらしく、それを扱える者が魔導師と呼ばれている・・・それが気になってしょうがない。
ウィクトール家は剣士の家系らしく話を聞いててもあまり魔導師や魔導術のことが話題に上がらないのが少し残念なところだ、聞くところによると魔導師同様剣士も魔力は使うらしい・・・この世界では常識らしい。
「フィオナも連れていくか、と、思ったが・・・まだ剣士の戦いを見せるには早いか?」
「流石に気が早いですよあなた、1歳になったばかりなのよ?」
まあ中身的には問題はないのだが、子供に剣の打ち合いを見せるのはといいたいところだがここは異世界。
日本現代人の常識で当てはめてもしかたないだろう、兄のアストに至っては5歳でもう剣の練習をしている上、魔物も存在している・・・魔導術という魔法のようなものがある世界と常識が同じなわけもなく。
「じゃああれだ、魔導学院を見学させてみるのはどうだ?」
「それこそ早いと思いますよ?私達もわからない分野ですし・・・」
魔導学院・・・以前剣術学院がどうという話をしていたからもしやとは思っていたのだが、ちょっと気になると声を出そうとしたが、思いとどめておくことにした。
そんなこんなで2年の月日が経ち、私は3歳になったのだが・・・前世のような保育園や幼稚園といったところに通うこともなく日々を過ごしていた。
「えーと、魔導術とは・・・魔力を触媒結晶に送り・・・増幅と放出を起こす事で、術式による火や水のような属性に・・・・・・杖に何かしらの宝石がついているのか?」
口に出しながら読んでいるのは寝室の隣の部屋、現在はアストの部屋になっているが、そこにあった本棚の魔導術に関する本だ。
この2年の間で言葉と違い文字は読めなかった事で、覚えるまでに悪戦苦闘していた、それ故に暇はしなかったが、いざ読めるようになってきたところで内容を理解しきれていないのが現状・・・。
「うーん、この魔導術に必要不可欠であろう術式に関する部分が・・・まったく分からない」
魔法陣のようなものが描かれているから地面に描くか空中に魔力の光みたいなもので描くのかとやってみたものの・・・特になにも起こらない。
この触媒結晶というのを使わないといけないのか、この体に適性がないのかもわからずじまいだが・・・。
「魔力があるというのはなんとなくわかるのに使う方法がいまいちピンとこない、魔力を放出するように念じてみたら体から抜けていく感覚だけはある・・・」
あーだこーだとやってはみるものの、魔力を放出というのはできてるように感じる事から、魔力がないなんてことはないだろう。
この触媒結晶というものに魔力を込めて、その光の軌跡で描くのだろうか・・・それにしてはこの初級の魔法陣の段階で結構複雑である。
魔物と戦うと仮定した場合、これを毎回描いてから魔導術として使うのは厳しくないだろうか・・・?
ゲームで詰まってはやめて、もう一回やってはまた詰まる、遊んでいながらに暇を感じるかのような何とも言えない不毛な日々を過ごし更に1年が過ぎ、気付けば4歳・・・まるで成長していない。
もういっそのこと考え方を変えよう、術式だ触媒結晶だを一切合切無視して自分の中の魔力に意識を強く向けてみる。
その時『色』が見えた・・・目をつむり何も見えないはずのそれは、色と呼ぶにはあまりにも深く黒い何かのように感じられた。
そんなことをしていた最中、姉のアイリが部屋の扉を思いっきり開け、その音で我に返る。
「フィオナー、ママがご飯だってー!」
6歳になっても姉のアイリは相変わらず元気一杯で、落ち着く気配は今のところない。
「は~い今行きまー・・・・・・!?」
返事をしながら目を開けると今まで見たことのない光景を目にした、それは眩い赤い光を放っているアイリの姿だった。
「お、お姉ちゃん!燃えてるー!」
そのあまりの光景に、私は姉の体が燃えていると錯覚してしまい思わず大声を出してしまっていた。
「え!燃えてるってどこどこ!?」
アイリが慌てて周りを見渡すが、何も燃えていないということを確認しほっとした後に言葉を続けた。
「もー驚かさないでよ!どこも燃えてないじゃないフィオナ!」
そんな冗談言うなんて珍しいと姉が言いながら部屋を出ていく、アイリが部屋を出るその時まで確かに姉のアイリからは赤い光・・・オーラみたいなのが放たれていたがそれを燃えていると勘違いしてしまったみたいだ。
「・・・もしかして、あれが魔力なのか・・・?」
特に自分の体から赤いオーラみたいなものは見えないが、もしあれが魔力なのだとしたら私には魔力がないということになってしまうのだが・・・。
しかし前世の感覚にない魔力みたいなのは確かに感じてはいるしと、そんなことを考えながら居間にいくと驚きの光景が更に広がっていた。
「んー、アストといい、剣術学院の生徒たちといい、才能豊かな子たちばかりで鍛えがいがあるなぁ」
椅子に座る父と兄から青白い光が放たれており、食事をテーブルに置いている母からは淡い紫色の光を放っていた。
ここで思い至ったのは、魔力の『色』は人によって違うという事である。
そう仮定して見ると、その色は髪や瞳といった体のどこかしらの部分に共通してる、ようにも見える・・・ノルスやアストにアイリは髪、マリナは瞳の色といった感じだ。
「アイリー、そっちの皿も持ってきてー」
私は何故か安堵を感じながら椅子に座る、赤い光は自分からは確かにでていなかったが、それ一色が魔力ではないという安心感である。
前世にない魔力をこの身で感じてはいたのだから、魔導術の適性についてはまだ可能性があると・・・そう考えていた所でアイリが皿を持ったまま走ってくる。
転んでしまいそうで心配だと頭をよぎったその瞬間、アイリがつまづき料理の盛られた皿が宙に舞った。
「きゃ!」「お姉ちゃん!」
両手をかざして風で受け止める、何故かふとそんなイメージをしたとき、それは起こった。
ひゅぉぉんと風が発生し、アイリと皿が宙で止まった。
「わわわ、なにこれ!」
それは紛れもなく風の魔法・・・魔導術と呼べるものだった。
指が動いてるような気はするが力が入ってる感覚はせず、首の方もうまく回らなかった・・・と、視界に女性の姿が入ったと同時に抱えられる。
女性の隣から男性の声が聞こえてきた。
「無事に生まれたようでよかったよマリナ、頑張ったな」
「あなた・・・どう致しまして、と言っても、この子も頑張ってくれたからですよ」
どうやらこの2人は夫婦のようだが見覚えがない、と言うより、この状況を理解できなかった。
確か仕事から帰宅途中で頭と胸が激しく痛みだし、家についた頃には意識が朦朧とし、ヘッドホンを外さずにベッドの前で倒れた・・・はずだが気がつくとこの状態で目の前には知らない夫婦が笑いかけている。
・・・死・・・だったのだろうか、あっけないものだ、いつ死んでも後悔のないようには生きてきたつもりだが、後悔どころか死の瞬間すら感じなかった・・・。
「この子に、神の御加護のあらんことを」
聞こえてきているのは日本語のようだが、転生先が同じ日本・・・というには女性の銀髪と男性の水色の髪が違うということを物語っている。
外国の可能性もなくはないが、だとしたら日本語なはずはないだろう。
転生者特有のご都合主義な状況だが正直ありがたい・・・前世と言っていいのかはわからないが、外国語は文字通り死ぬまで覚えれなかったから転生先で言葉が分からないというのは勘弁である。
この異世界・・・と確定したわけではないが、ここウィクトール家の子供として生まれ変わったのもある意味では神の御加護と言えるのかもしれない。
正直に言うなら異世界以前に、死後の世界すらないと考えていた驚きを隠せない、自分がそれに立ち会えるとは夢にも思わなかった・・・。
「んー、でもアストとアイリの時と違って泣かない子だな・・・こんな事もあるのかぁ」
「のんびりした子に育ちそうですねぇ」
特に不信がる事もなく呑気に世間話をしだした父と母のような人達、あまり細かいことを気にしない性格なのかもしれないが・・・限度はあると思う。
気にされても困るのでこのままでいてもらっているほうが、とこちらとしても助かるので控え目におぎゃぁと声を出した。
私はフィオナと名付けられ、このウィクトール家の三女として生活している。
しかしながらここがどういう世界なのかも現段階ではよくわかっておらず、体もろくに動かせないので生活を送るという状態でもないわけだが・・・いずれ分かるだろうと母マリナ・ウィクトールの背中で周りの人達の会話を聞きながらこの世界の知識を確認していくのであった。
銀色に三本の黒いラインが混じった髪が生え揃ってきた1歳になる私こと、フィオナ・ウィクトールとして生まれ変わってから、この世界に関してある程度わかったのはここは日本でした・・・なんてことはなく、異世界という認識で間違いないようだ。
建物や風景だけでは外国に転生した可能性もありえるのだろうが、前世ではない感覚がある・・・おそらくは魔力だと思っているのだが。
「さあご飯の時間だぞ~一緒に行こうなぁフィオナ~」
ベビーベッドに横になっていた私を父のノルス・ウィクトールが抱きかかえる。
部屋を出た右手側の階段を降りたところにキッチンや居間があるようだ、ご飯は極力、家族全員揃ってから食べるというこのウィクトール家はとても暖かな家庭であることが伺える。
この家は三階建てらしく二階が家族みんなの寝室と隣の空き部屋、三階は後々姉のアイリ・ウィクトールと私の部屋にする予定みたいだ。
建物は全体的に石造りで、床に絨毯はある程度ひいてあるのだが、ハイハイで移動するには少々膝に優しくない。
立って移動しようとおもえばいけるにはいけるが、まだ体のバランスがうまくとれないので階段でこけようものなら再び死んでしまいかねない。
「父さん、明日の剣の稽古ついて行っていいですか?」
兄アスト・ウィクトールが父ノルスに問いかけていた。
姉は3歳、兄は今5歳みたいだが、アストは凄くしっかりしている。
「わあいいな~私もいきたいー!」
姉のアイリの方は明るく落ち着きがない、だが3歳ならこんなものなのだろう。
兄のアストが5歳にしては落ち着いているのだが、一方私のほうはぽわーとしていてのんびりした子と、そのように見えてるらしい。
「おお、いいぞいいぞ。2人は剣士に興味があるのかなあ?」
「ブンブン振り回してて楽しそうー」
家族団らんを見ながらのんびりご飯を食べている私が今考えているのは、この世界に魔導術なるものがあるらしく、それを扱える者が魔導師と呼ばれている・・・それが気になってしょうがない。
ウィクトール家は剣士の家系らしく話を聞いててもあまり魔導師や魔導術のことが話題に上がらないのが少し残念なところだ、聞くところによると魔導師同様剣士も魔力は使うらしい・・・この世界では常識らしい。
「フィオナも連れていくか、と、思ったが・・・まだ剣士の戦いを見せるには早いか?」
「流石に気が早いですよあなた、1歳になったばかりなのよ?」
まあ中身的には問題はないのだが、子供に剣の打ち合いを見せるのはといいたいところだがここは異世界。
日本現代人の常識で当てはめてもしかたないだろう、兄のアストに至っては5歳でもう剣の練習をしている上、魔物も存在している・・・魔導術という魔法のようなものがある世界と常識が同じなわけもなく。
「じゃああれだ、魔導学院を見学させてみるのはどうだ?」
「それこそ早いと思いますよ?私達もわからない分野ですし・・・」
魔導学院・・・以前剣術学院がどうという話をしていたからもしやとは思っていたのだが、ちょっと気になると声を出そうとしたが、思いとどめておくことにした。
そんなこんなで2年の月日が経ち、私は3歳になったのだが・・・前世のような保育園や幼稚園といったところに通うこともなく日々を過ごしていた。
「えーと、魔導術とは・・・魔力を触媒結晶に送り・・・増幅と放出を起こす事で、術式による火や水のような属性に・・・・・・杖に何かしらの宝石がついているのか?」
口に出しながら読んでいるのは寝室の隣の部屋、現在はアストの部屋になっているが、そこにあった本棚の魔導術に関する本だ。
この2年の間で言葉と違い文字は読めなかった事で、覚えるまでに悪戦苦闘していた、それ故に暇はしなかったが、いざ読めるようになってきたところで内容を理解しきれていないのが現状・・・。
「うーん、この魔導術に必要不可欠であろう術式に関する部分が・・・まったく分からない」
魔法陣のようなものが描かれているから地面に描くか空中に魔力の光みたいなもので描くのかとやってみたものの・・・特になにも起こらない。
この触媒結晶というのを使わないといけないのか、この体に適性がないのかもわからずじまいだが・・・。
「魔力があるというのはなんとなくわかるのに使う方法がいまいちピンとこない、魔力を放出するように念じてみたら体から抜けていく感覚だけはある・・・」
あーだこーだとやってはみるものの、魔力を放出というのはできてるように感じる事から、魔力がないなんてことはないだろう。
この触媒結晶というものに魔力を込めて、その光の軌跡で描くのだろうか・・・それにしてはこの初級の魔法陣の段階で結構複雑である。
魔物と戦うと仮定した場合、これを毎回描いてから魔導術として使うのは厳しくないだろうか・・・?
ゲームで詰まってはやめて、もう一回やってはまた詰まる、遊んでいながらに暇を感じるかのような何とも言えない不毛な日々を過ごし更に1年が過ぎ、気付けば4歳・・・まるで成長していない。
もういっそのこと考え方を変えよう、術式だ触媒結晶だを一切合切無視して自分の中の魔力に意識を強く向けてみる。
その時『色』が見えた・・・目をつむり何も見えないはずのそれは、色と呼ぶにはあまりにも深く黒い何かのように感じられた。
そんなことをしていた最中、姉のアイリが部屋の扉を思いっきり開け、その音で我に返る。
「フィオナー、ママがご飯だってー!」
6歳になっても姉のアイリは相変わらず元気一杯で、落ち着く気配は今のところない。
「は~い今行きまー・・・・・・!?」
返事をしながら目を開けると今まで見たことのない光景を目にした、それは眩い赤い光を放っているアイリの姿だった。
「お、お姉ちゃん!燃えてるー!」
そのあまりの光景に、私は姉の体が燃えていると錯覚してしまい思わず大声を出してしまっていた。
「え!燃えてるってどこどこ!?」
アイリが慌てて周りを見渡すが、何も燃えていないということを確認しほっとした後に言葉を続けた。
「もー驚かさないでよ!どこも燃えてないじゃないフィオナ!」
そんな冗談言うなんて珍しいと姉が言いながら部屋を出ていく、アイリが部屋を出るその時まで確かに姉のアイリからは赤い光・・・オーラみたいなのが放たれていたがそれを燃えていると勘違いしてしまったみたいだ。
「・・・もしかして、あれが魔力なのか・・・?」
特に自分の体から赤いオーラみたいなものは見えないが、もしあれが魔力なのだとしたら私には魔力がないということになってしまうのだが・・・。
しかし前世の感覚にない魔力みたいなのは確かに感じてはいるしと、そんなことを考えながら居間にいくと驚きの光景が更に広がっていた。
「んー、アストといい、剣術学院の生徒たちといい、才能豊かな子たちばかりで鍛えがいがあるなぁ」
椅子に座る父と兄から青白い光が放たれており、食事をテーブルに置いている母からは淡い紫色の光を放っていた。
ここで思い至ったのは、魔力の『色』は人によって違うという事である。
そう仮定して見ると、その色は髪や瞳といった体のどこかしらの部分に共通してる、ようにも見える・・・ノルスやアストにアイリは髪、マリナは瞳の色といった感じだ。
「アイリー、そっちの皿も持ってきてー」
私は何故か安堵を感じながら椅子に座る、赤い光は自分からは確かにでていなかったが、それ一色が魔力ではないという安心感である。
前世にない魔力をこの身で感じてはいたのだから、魔導術の適性についてはまだ可能性があると・・・そう考えていた所でアイリが皿を持ったまま走ってくる。
転んでしまいそうで心配だと頭をよぎったその瞬間、アイリがつまづき料理の盛られた皿が宙に舞った。
「きゃ!」「お姉ちゃん!」
両手をかざして風で受け止める、何故かふとそんなイメージをしたとき、それは起こった。
ひゅぉぉんと風が発生し、アイリと皿が宙で止まった。
「わわわ、なにこれ!」
それは紛れもなく風の魔法・・・魔導術と呼べるものだった。
21
お気に入りに追加
804
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したけどマジに言葉が通じずに詰んだので、山に籠ってたら知らんうちに山の神にされてた。
ラディ
ファンタジー
日本国内から国際線の旅客機に乗り込みたった数時間の空の旅で、言語はまるで変わってしまう。
たった数百や数千キロメートルの距離ですら、文法どころか文化も全く違ったりする。
ならば、こことは異なる世界ならどれだけ違うのか。
文法や文化、生態系すらも異なるその世界で意志を伝える為に言語を用いることは。
容易ではない。
■感想コメントなどはお気軽にどうぞ!
■お気に入り登録もお願いします!
■この他にもショート作品や長編作品を別で執筆中です。よろしければ登録コンテンツから是非に。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる