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懺悔3.5
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子どもらが、ようやく寝入った。つい先刻まで、畳の上を転げ回って、暴れたり笑ったり泣いたり、と姦しかったのに、急に眠りにつくのは、毎度のことである。
一度寝入ると、少々荒い音を立てても起きないのに、ふとした拍子に目覚めることもある。そうして一度起きれば、すっかり目覚めて走り回れるほど元気を発揮するのが常であった。油断はならない。
しかし、今は、布団の上で寝息を立てている。
うち二人はキリの子ども、残る一人はオミの預かる甥であった。三人三様の寝相である。
こうして並べて見ると、歳が近いこともあって、兄弟に見えなくもない。
「寝ましたね」
「ああ。寝たな」
寝顔を確かめた後、ふと顔を見合わせた。
どちらからともなく顔を近付け、唇が合わさる。
すぐに離れたものの、キリの瞳は既に潤み、オミの頬は上気していた。
立ち上がる主の目に引き上げられるように、オミも立つ。その帯の下から、尖ったモノが着物の布地を持ち上げていた。
キリは、その膨らみに目を落とし、すぐに逸らすと、隣の部屋へ移った。オミが後から従い、後ろ手に、襖を閉めた。
隣室は、文机と書架のある座敷である。子どもらが寝る合間に、ここで書類仕事などを進めるのが常のことであった。いたずらされないよう、普段から片付いている。
「この間見つけた古い書き付けを、整理したい。まず、内容ごとに並べてみようかと思う」
「承知しました」
まるで接吻などなかったかのように振る舞うキリに、オミも同様に応じる。顔色は元に戻っている。
しばらく二人で作業すると、部屋の半分が墨書きの和紙で埋まった。
「ふうむ」
俯瞰で眺めていたキリが、畳に手をついて四つ這いになる拍子に、尻が、後ろで控えるオミの硬いモノに引っかかった。
「あ」
軽く触れた程度なのに、キリが腰砕けとなって、顔を畳へ伏せるようにする。着物に包まれた尻が、突き出されたような格好となった。
「キリ様、お怪我は」
オミが、側に跪き、腰の辺りに触れる。ぴくり、と主の体が反応した。
「怪我は、ない。だが、脚が」
「失礼します」
キリの裾を少しだけめくり、足首を見るオミ。見た目に異状はなく、そっと触れてみる。
「違う。もっと、上の方だ」
「この辺ですか」
手を着物の下に滑らせ、膝の裏辺りまで伸ばす。
着物を捲らないよう気遣い、却って主を抱えるような不自然な体勢になっている。
「もっと、上だ。見なければ、わからない」
キリの抑えた声に、淫らな湿り気が含まれていた。ここで漸くオミは、主の求めを理解し、再び顔を染めた。
無言で着物を帯まで捲り上げる。二人の子を生み出した尻は、たっぷりとした肉付きで、見る者の欲情をそそった。オミは、その丸みに十指を食い込ませ、唇をつけて、弾力を味わった。
両手の間に挟まれた肉塊の隙間から、主の匂いが立ち上る。オミの口から舌が出て、誘われるように源へと這い進んだ。
「ふ、う」
鼻から漏れる息に反応し、主の体が震える。穿たれた穴からは、みるみる愛液が染み出して、オミは垂らさないよう、啜り取った。じゅるり、と音が立つ。
「子どもらが起きないよう、静かにせねば」
そうは言っても、次から次へと送り出される汁を舐め取るのに、オミは忙しい。返事ができない。懐から、手拭いを出して充てる。
「弱った。栓でもして貰わねば、治るまい」
そう言うキリの声は、心底困ったように聞こえる。
「では、懐紙を揉みますので、しばしこちらを」
オミは、手拭いを押さえて貰おうと、手に軽く力を込める。しかし、主はそちらへ手を伸ばさない。
「いや。それでは硬すぎる。お前が持っている、太い方を使ってみてくれ」
「キリ様」
意味は、本能的に察したが、まさかという思いで、オミは主を見る。主は、剥き出しの尻を高く突き出したまま、顔を畳へ伏せていた。その顔が、赤い。
「オミ、早く」
「は、はい」
手拭いの隙間から、勃起した陰茎をそっと当てる。だけのつもりだったが、その熱い蜜に先端を包まれた途端、オミは我慢できず、根元までずっぽり突き入れてしまった。
「うっ。ぴったり嵌ったな」
キリが、囁いた。声が悦びを帯びている。溢れかえる粘液が、オミのそれにまとわりつく。もっと、中を。隅々まで己の体で確かめたい。
オミは、腰を振ろうとして、固まった。
廊下に、人の近付く気配を感じたのである。間もなく、障子に影が差した。
主もまた、顔を心持ち上げたまま、動かない。
「茶菓をお持ちしました」
奉公人の声がした。若い娘である。
きゅっ、と陰茎を締め付けられ、オミは声を上げるのを必死に堪えた。
「待て、開けるな」
キリは命じると、自ら障子に手をかけ、隙間を作った。オミの栓は、ますます締め上げられる。
「見ての通り、書類を広げているところだ。散っては敵わん。盆ごと、そこへ置いてくれ。折りを見て中へ入れる」
言うだけ言って、障子を閉めた。
「承知しました」
オミからは、奉公人の姿は見えなかった。影が、手に持った物を下へ置くのを、障子越しに認めただけである。
影が廊下を立ち去っても、主の締め付けは緩まなかった。オミは、少しく腰を引いてみる。
ぬちゃり、と抵抗があった。
「今一度、挿してみよ」
そう囁くキリの声は、ほとんど吐息で出来ている。
「一度では、ご満足いただけるかどうか」
オミも囁き返す。
「では、落ち着くまで試して貰おう」
「かしこまりました」
主の声に呼応するように、下の口は、ひくつきながら、咥え込んだオミを引き込もうとする。
オミは、主の許しを得て、思い切りそれを突き入れた。
「うぐぐっ。もっと、勢いよくせねば、嵌るまい」
「は、い」
言われるまでもなく、オミの勢いは止まらない。キリの腰をがっちり掴んでおかなければ、前へ飛ばしてしまいそうなほど、腰を幾度も打ち付ける。
「ふっ、ふっ、ふっ」
ぐちょ、ぐちょ、ぐちょっ。
主もオミも、声を出さないよう、息を詰めるようにしている。襖の向こうに眠る子供達を起こさぬよう、そして、家の中を動き回る幾人もの奉公人に気取られぬよう、注意を払う必要があった。
それでも、高まる快感に、呼吸の荒くなるのは抑えられなかった。
「はっ、はっ、はっ」
「うっ、ぐっ、ぐっ」
オミの興奮が頂点に達しようとする。
「キ、キリ様。そろそろ」
「中へ」
「よろしいので」
「許す」
抉り込むように最後のひと突きを入れ、オミはキリの中へ存分に放出した。
また別の日。
子どもらが学校へ通う間、オミはキリの部屋で、仕事を手伝っていた。
「ここを違えているぞ」
「すぐに直します」
「疲れているのではないか。少し、休もうか。今、茶を淹れよう」
「では、私が」
と、互いに伸ばした手が触れ合い、火傷したように、素早く引っ込む。目を逸らし、膝をさりげなく崩したオミを、主は見逃さない。
「オミ、立て」
「キリ様」
動揺するオミに容赦なく、命令を繰り返すキリ。立ち上がった着物の中ほどに、不自然な膨らみが出来ている。
「褌でも猿股でも、オミが飛び出すのを防ぐことは出来ぬのだな」
「修養不足にて、お目汚しを」
「今更、修養もない。しかし、仕事の集中も欠いている。仕置きは必要だ。そこへ、直れ。裾は捲っても良いぞ」
「は、はい」
主の指示通りに座ると、怒張する勢いで褌から飛び出した陰茎が、にょっきりと両脚の間に屹立した。
キリは、その前に立ち、無言で見下ろす。オミの先端から、じわじわと透明な汁が湧き出した。
「我慢が足りぬようだな」
「申し訳ございません」
キリは、ぴらりと前を開けた。オミの目の前に、黒々とした茂みが出現する。
ぶわりと鼻腔を刺激する主の匂いに、オミは生唾を飲み下すより他ない。喉を下る唾液を追うように、茂みが、ゆるゆると下方へ進む。と、見る間に亀頭へと覆い被さった。ずぶずぶと呑み込まれるオミの敏感な皮膚を取り囲む膣壁は、熱く潤っていた。
「ううっ」
後ろ手を畳へ付いて腰を浮かしたオミの頬を、主の手が挟み込む。
「むっ、んっんっんっ」
口と口を隙間なく付けられ、舌で口中を舐め回された。膝が痛い。だが、主と繋がる快感とない混ぜになり、オミの意識を霞ませる。
「苦しいか。足を崩すのを、許してやろう」
キリが、耳に舌を伸ばしながら囁く。オミは、主と瞬時も離れないよう、慎重に脚の位置を変えた。下から伸びた陰茎が、重みで自然と奥まで挿さる。
「ああ、良い」
キリが腰を動かす。オミも主をしっかりと抱え、下から突き上げた。
にちゃっ、にちゃっ。
二人の粘液が混じり合う。
「キリ様」
「声を、抑えるのだ」
主が忠告する側から、人が廊下を渡る気配を、オミは聞きつけた。
「人が来ます」
と、奉公人の名を告げる。キリは腰の動きを止めた。互いに頭をもたせかけ、息を潜める。すぐに、障子の向こうに影が差し、部屋のすぐ前まで進み来った。
「キリ様。昼餉の支度が整いました。こちらへお持ちしますか」
障子を閉めたまま、声がかかる。仕事に差し支えがあるとて、奉公人には、そのように習慣付けていた。
「いや。ここを片付け次第、そちらへ行く。給仕の者を除き、順次食事を、始めて、良い」
「承知しました」
奉公人の足音が遠ざかると、キリはオミを軽く睨んだ。
「戯れが過ぎる」
主が話す間、オミは首筋を唇で愛撫し、耳たぶを舌と共にねぶっていた。更には、密かに手を花芯へ忍ばせ、指で弄んでいたのである。
「仕置きが足らないようです」
オミの声が、快楽の震えを帯びる。その下にきつく咥え込まれた合わせ目から、愛液が続々と溢れ出し、しとどに濡れそぼっているのを、指でも感じ取っていた。
「では、急ぎ済ませることとしよう」
キリは、これまで以上に、激しく腰を揺り動かした。
「仕置きじゃないだろう」
キヨカが呆れたように言った。
「良いじゃないか。どうせ妄念だ」
オミが、不貞腐れたように応じる。
「それより、怒らないのか。私が、キリ様と、その」
「実際にしなかったのなら、怒る理由がない。私とてオミの事を責められぬ」
「ま、まさか」
「ふふ。言わぬよ」
二人は、和綴の本が壁一面を覆う、オミの部屋にいた。向かい合って炬燵に足を入れているが、互いに触れぬよう、上手く避けていた。
台の上には、湯呑み一つ、ない。
「それより、心の秘密を打ち明けたのだから、約束通り、渡してもらおうか」
オミが伸ばした掌に、キヨカがガラスの小瓶を載せた。
「これだ」
「ありがたい。有意義に使わせてもらう」
キヨカが瓶から手を離さないので、受け取ろうとするオミの手が、彼女の手を握り込む形となった。
「む。鳥肌が立たないな。宗旨替えしたのか」
「握手ぐらいなら、平気だ。オミが相手なら、尚更」
そう言って、キヨカは、ゆっくりと手を引いた。小瓶は、オミの懐へ入った。
「長年のお勤め、ご苦労様でした」
キヨカが改まって、頭を下げた。
「うむ。キヨカも、よく仕えてくれた。礼を言う」
オミは、晴れやかに笑った。
一度寝入ると、少々荒い音を立てても起きないのに、ふとした拍子に目覚めることもある。そうして一度起きれば、すっかり目覚めて走り回れるほど元気を発揮するのが常であった。油断はならない。
しかし、今は、布団の上で寝息を立てている。
うち二人はキリの子ども、残る一人はオミの預かる甥であった。三人三様の寝相である。
こうして並べて見ると、歳が近いこともあって、兄弟に見えなくもない。
「寝ましたね」
「ああ。寝たな」
寝顔を確かめた後、ふと顔を見合わせた。
どちらからともなく顔を近付け、唇が合わさる。
すぐに離れたものの、キリの瞳は既に潤み、オミの頬は上気していた。
立ち上がる主の目に引き上げられるように、オミも立つ。その帯の下から、尖ったモノが着物の布地を持ち上げていた。
キリは、その膨らみに目を落とし、すぐに逸らすと、隣の部屋へ移った。オミが後から従い、後ろ手に、襖を閉めた。
隣室は、文机と書架のある座敷である。子どもらが寝る合間に、ここで書類仕事などを進めるのが常のことであった。いたずらされないよう、普段から片付いている。
「この間見つけた古い書き付けを、整理したい。まず、内容ごとに並べてみようかと思う」
「承知しました」
まるで接吻などなかったかのように振る舞うキリに、オミも同様に応じる。顔色は元に戻っている。
しばらく二人で作業すると、部屋の半分が墨書きの和紙で埋まった。
「ふうむ」
俯瞰で眺めていたキリが、畳に手をついて四つ這いになる拍子に、尻が、後ろで控えるオミの硬いモノに引っかかった。
「あ」
軽く触れた程度なのに、キリが腰砕けとなって、顔を畳へ伏せるようにする。着物に包まれた尻が、突き出されたような格好となった。
「キリ様、お怪我は」
オミが、側に跪き、腰の辺りに触れる。ぴくり、と主の体が反応した。
「怪我は、ない。だが、脚が」
「失礼します」
キリの裾を少しだけめくり、足首を見るオミ。見た目に異状はなく、そっと触れてみる。
「違う。もっと、上の方だ」
「この辺ですか」
手を着物の下に滑らせ、膝の裏辺りまで伸ばす。
着物を捲らないよう気遣い、却って主を抱えるような不自然な体勢になっている。
「もっと、上だ。見なければ、わからない」
キリの抑えた声に、淫らな湿り気が含まれていた。ここで漸くオミは、主の求めを理解し、再び顔を染めた。
無言で着物を帯まで捲り上げる。二人の子を生み出した尻は、たっぷりとした肉付きで、見る者の欲情をそそった。オミは、その丸みに十指を食い込ませ、唇をつけて、弾力を味わった。
両手の間に挟まれた肉塊の隙間から、主の匂いが立ち上る。オミの口から舌が出て、誘われるように源へと這い進んだ。
「ふ、う」
鼻から漏れる息に反応し、主の体が震える。穿たれた穴からは、みるみる愛液が染み出して、オミは垂らさないよう、啜り取った。じゅるり、と音が立つ。
「子どもらが起きないよう、静かにせねば」
そうは言っても、次から次へと送り出される汁を舐め取るのに、オミは忙しい。返事ができない。懐から、手拭いを出して充てる。
「弱った。栓でもして貰わねば、治るまい」
そう言うキリの声は、心底困ったように聞こえる。
「では、懐紙を揉みますので、しばしこちらを」
オミは、手拭いを押さえて貰おうと、手に軽く力を込める。しかし、主はそちらへ手を伸ばさない。
「いや。それでは硬すぎる。お前が持っている、太い方を使ってみてくれ」
「キリ様」
意味は、本能的に察したが、まさかという思いで、オミは主を見る。主は、剥き出しの尻を高く突き出したまま、顔を畳へ伏せていた。その顔が、赤い。
「オミ、早く」
「は、はい」
手拭いの隙間から、勃起した陰茎をそっと当てる。だけのつもりだったが、その熱い蜜に先端を包まれた途端、オミは我慢できず、根元までずっぽり突き入れてしまった。
「うっ。ぴったり嵌ったな」
キリが、囁いた。声が悦びを帯びている。溢れかえる粘液が、オミのそれにまとわりつく。もっと、中を。隅々まで己の体で確かめたい。
オミは、腰を振ろうとして、固まった。
廊下に、人の近付く気配を感じたのである。間もなく、障子に影が差した。
主もまた、顔を心持ち上げたまま、動かない。
「茶菓をお持ちしました」
奉公人の声がした。若い娘である。
きゅっ、と陰茎を締め付けられ、オミは声を上げるのを必死に堪えた。
「待て、開けるな」
キリは命じると、自ら障子に手をかけ、隙間を作った。オミの栓は、ますます締め上げられる。
「見ての通り、書類を広げているところだ。散っては敵わん。盆ごと、そこへ置いてくれ。折りを見て中へ入れる」
言うだけ言って、障子を閉めた。
「承知しました」
オミからは、奉公人の姿は見えなかった。影が、手に持った物を下へ置くのを、障子越しに認めただけである。
影が廊下を立ち去っても、主の締め付けは緩まなかった。オミは、少しく腰を引いてみる。
ぬちゃり、と抵抗があった。
「今一度、挿してみよ」
そう囁くキリの声は、ほとんど吐息で出来ている。
「一度では、ご満足いただけるかどうか」
オミも囁き返す。
「では、落ち着くまで試して貰おう」
「かしこまりました」
主の声に呼応するように、下の口は、ひくつきながら、咥え込んだオミを引き込もうとする。
オミは、主の許しを得て、思い切りそれを突き入れた。
「うぐぐっ。もっと、勢いよくせねば、嵌るまい」
「は、い」
言われるまでもなく、オミの勢いは止まらない。キリの腰をがっちり掴んでおかなければ、前へ飛ばしてしまいそうなほど、腰を幾度も打ち付ける。
「ふっ、ふっ、ふっ」
ぐちょ、ぐちょ、ぐちょっ。
主もオミも、声を出さないよう、息を詰めるようにしている。襖の向こうに眠る子供達を起こさぬよう、そして、家の中を動き回る幾人もの奉公人に気取られぬよう、注意を払う必要があった。
それでも、高まる快感に、呼吸の荒くなるのは抑えられなかった。
「はっ、はっ、はっ」
「うっ、ぐっ、ぐっ」
オミの興奮が頂点に達しようとする。
「キ、キリ様。そろそろ」
「中へ」
「よろしいので」
「許す」
抉り込むように最後のひと突きを入れ、オミはキリの中へ存分に放出した。
また別の日。
子どもらが学校へ通う間、オミはキリの部屋で、仕事を手伝っていた。
「ここを違えているぞ」
「すぐに直します」
「疲れているのではないか。少し、休もうか。今、茶を淹れよう」
「では、私が」
と、互いに伸ばした手が触れ合い、火傷したように、素早く引っ込む。目を逸らし、膝をさりげなく崩したオミを、主は見逃さない。
「オミ、立て」
「キリ様」
動揺するオミに容赦なく、命令を繰り返すキリ。立ち上がった着物の中ほどに、不自然な膨らみが出来ている。
「褌でも猿股でも、オミが飛び出すのを防ぐことは出来ぬのだな」
「修養不足にて、お目汚しを」
「今更、修養もない。しかし、仕事の集中も欠いている。仕置きは必要だ。そこへ、直れ。裾は捲っても良いぞ」
「は、はい」
主の指示通りに座ると、怒張する勢いで褌から飛び出した陰茎が、にょっきりと両脚の間に屹立した。
キリは、その前に立ち、無言で見下ろす。オミの先端から、じわじわと透明な汁が湧き出した。
「我慢が足りぬようだな」
「申し訳ございません」
キリは、ぴらりと前を開けた。オミの目の前に、黒々とした茂みが出現する。
ぶわりと鼻腔を刺激する主の匂いに、オミは生唾を飲み下すより他ない。喉を下る唾液を追うように、茂みが、ゆるゆると下方へ進む。と、見る間に亀頭へと覆い被さった。ずぶずぶと呑み込まれるオミの敏感な皮膚を取り囲む膣壁は、熱く潤っていた。
「ううっ」
後ろ手を畳へ付いて腰を浮かしたオミの頬を、主の手が挟み込む。
「むっ、んっんっんっ」
口と口を隙間なく付けられ、舌で口中を舐め回された。膝が痛い。だが、主と繋がる快感とない混ぜになり、オミの意識を霞ませる。
「苦しいか。足を崩すのを、許してやろう」
キリが、耳に舌を伸ばしながら囁く。オミは、主と瞬時も離れないよう、慎重に脚の位置を変えた。下から伸びた陰茎が、重みで自然と奥まで挿さる。
「ああ、良い」
キリが腰を動かす。オミも主をしっかりと抱え、下から突き上げた。
にちゃっ、にちゃっ。
二人の粘液が混じり合う。
「キリ様」
「声を、抑えるのだ」
主が忠告する側から、人が廊下を渡る気配を、オミは聞きつけた。
「人が来ます」
と、奉公人の名を告げる。キリは腰の動きを止めた。互いに頭をもたせかけ、息を潜める。すぐに、障子の向こうに影が差し、部屋のすぐ前まで進み来った。
「キリ様。昼餉の支度が整いました。こちらへお持ちしますか」
障子を閉めたまま、声がかかる。仕事に差し支えがあるとて、奉公人には、そのように習慣付けていた。
「いや。ここを片付け次第、そちらへ行く。給仕の者を除き、順次食事を、始めて、良い」
「承知しました」
奉公人の足音が遠ざかると、キリはオミを軽く睨んだ。
「戯れが過ぎる」
主が話す間、オミは首筋を唇で愛撫し、耳たぶを舌と共にねぶっていた。更には、密かに手を花芯へ忍ばせ、指で弄んでいたのである。
「仕置きが足らないようです」
オミの声が、快楽の震えを帯びる。その下にきつく咥え込まれた合わせ目から、愛液が続々と溢れ出し、しとどに濡れそぼっているのを、指でも感じ取っていた。
「では、急ぎ済ませることとしよう」
キリは、これまで以上に、激しく腰を揺り動かした。
「仕置きじゃないだろう」
キヨカが呆れたように言った。
「良いじゃないか。どうせ妄念だ」
オミが、不貞腐れたように応じる。
「それより、怒らないのか。私が、キリ様と、その」
「実際にしなかったのなら、怒る理由がない。私とてオミの事を責められぬ」
「ま、まさか」
「ふふ。言わぬよ」
二人は、和綴の本が壁一面を覆う、オミの部屋にいた。向かい合って炬燵に足を入れているが、互いに触れぬよう、上手く避けていた。
台の上には、湯呑み一つ、ない。
「それより、心の秘密を打ち明けたのだから、約束通り、渡してもらおうか」
オミが伸ばした掌に、キヨカがガラスの小瓶を載せた。
「これだ」
「ありがたい。有意義に使わせてもらう」
キヨカが瓶から手を離さないので、受け取ろうとするオミの手が、彼女の手を握り込む形となった。
「む。鳥肌が立たないな。宗旨替えしたのか」
「握手ぐらいなら、平気だ。オミが相手なら、尚更」
そう言って、キヨカは、ゆっくりと手を引いた。小瓶は、オミの懐へ入った。
「長年のお勤め、ご苦労様でした」
キヨカが改まって、頭を下げた。
「うむ。キヨカも、よく仕えてくれた。礼を言う」
オミは、晴れやかに笑った。
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