元部下が男に転生したので女として迫ってみた

在江

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 「僕の部屋へ来てくれ。エイリーク様もいる」

 「わかった」

 ファツィオの寝室に三人集まった。召使はいない。ソファセットや酒瓶の並ぶ棚もある広い部屋だが、大きなベッドが一番目立つ。
 彼とヤった時の記憶が刺激される。なるべく視界に入らないよう、座る位置や向きを調整した。

 「今日は、仮装パーティのようで面白かった。料理も美味しくいただいた。どうもありがとう」

 エイリークが改めて礼を言った。ファツィオは頬を染めて喜んだ。美形が純情そうな反応をすると、子宮にくる。

 「喜んでもらえて良かったです。ところで、今日ルンデン商会から新たな契約書が届きました。どこから聞いたのか、エイリーク様が僕の屋敷に滞在中と知っていました」

 書き物机から、書類挟みを持ってくる。渡されたのはエイリークだが、俺も側へ寄って一緒に読んだ。

 護衛契約だった。ニルスとヘリヤが帰国するに当たり、国内を移動する間だけ一緒に行動する。
 陸路のみ、護衛以外の請負仕事もない単純契約だ。俺とエイリークで一つのチームとして護衛することになっている。
 この間の会見からすると、随分譲歩した内容だった。

 手紙が付いていた。ニルスからで、要約すれば、エイリークと繋がりを持っておきたい、という内容だった。

 「僕が読んだ限りでは、契約自体に問題はない。個人的には、ニルス=ホウ氏とあまり親しくして欲しくないし、ユリアと行かせるのも面白くないし、王都から離れて欲しくないけれど」

 あまりにも正直なファツィオの感想だった。俺も、ニルスとエイリークの距離が縮まるのは歓迎しない。それでも、エイリークが受けたいなら、一緒に行くつもりだ。

 「ユリア様は、ニルス=ホウさんと一緒に居たいのですか?」

 契約書から顔を上げたエイリークの言葉に驚いたのは、俺ばかりではない。

 「あっ。そう言えば、お前、彼とキスしながら腰振っていたじゃないか。そんなに良かったのか?」

 ファツィオに言われて、思い出した。

 「あれは、彼のスキルがめちゃくちゃ高くて、回避できなかっただけ。私が彼を好きな訳じゃない。女にしか使えないみたいだけど、もしかしたらエイリーク相手になら発動するかも」

 言ってから、しまった、と思う。エイリークが赤面したのだ。やはり前世の彼女は、彼に好意があった。
 俺と同じことを、ファツィオも考えたらしい。彼の顔色が変わった。

 「ダメです、エイリーク様。そのようなおつもりなら、契約は認められません」

 彼は書類挟みを取り上げると、契約書を抜き取り、ビリビリと破いてしまった。さすがに俺も唖然とする。俺と同様、呆気に取られたエイリークの隣に座り、正面から顔を覗き込む。

 「いいですか。ニルス=ホウ氏は既婚者です。しかも、妻のヘリヤ=ワン氏は王族の出です。エイリーク様は思い出に一度くらい抱かれてもいい程度にお考えかもしれませんが、あちらの出方によっては、国同士の問題にもなり得ます。どうか、彼のことは諦めてください」

 エイリークはファツィオをしばらく見つめた後、ふと表情を緩めた。

 「わかった。心配してくれてありがとう。誤解されないよう今後、言動に気をつけよう。ところで、その懸念はユリア様を相手とした場合に、より当てまる。子供をはらめば問題は複雑化する。今回の契約は見送った方が良さそうだ。先方への断りを頼んでもいいだろうか」

 「もちろんです」

 ファツィオはあからさまに安堵した。これでニルスに、契約書を破った言い訳をしなくて済む。

 「それはそれとして、明日私は、冒険者ギルドで仕事を探すつもりだ。王都をしばらく留守にするかもしれない」

 どさくさに紛れて、エイリークの手を握ろうとしていた、ファツィオの動きが止まる。

 「危ないですよ」

 「知っている。しかし、冒険者として、自分がどこまでやれるか試したい」

 「ダンジョン潜るなら、魔法使えないと、死ぬよ」

 俺は口を挟んだ。

 「その時は、どこかのパーティに入れてもらいます」

 予想通りの答えが返ってきた。ファツィオが俺を見る。碧眼に苦悩が現れていた。
 愛する人を危険な場所へ行かせたくないが、止められない。代わりに頼める相手は、ライバルだけ。
 心の内が手に取るようにわかって、気の毒にすら思える。

 「じゃあ、しばらく会えないわね。遠出する前に、スッキリした方がいいわね」

 言い終えてから、何を言っているんだ? と自分でも思った。
 エイリークはもちろん、ファツィオも目が点になっている。

 「そ、そうですよ。精液を溜め込み過ぎると、心身に悪影響が出ます。腰が重くて、動きが鈍くなったり」

 さすがにファツィオは、立ち直りが早い。すかさず両手を包み込んで、動きを封じた。
 だが俺は、彼にエイリークを譲るつもりはない。彼が一緒に連れて行ってくれる保証はないのだ。

 「寝込んでいる間に、大分溜まったと思うわ。体力も回復したのだもの。きっと、出たがっているんじゃないかしら。ほら、ぱんぱん」

 俺は回り込んで、ファツィオの反対側に陣取った。
 正確には、俺が触れたせいでエイリークの股間が盛り上がったのだが、性的方面にうとい彼は、困惑中でもあり、細かい違いにまで気が回らない。

 「大丈夫。二人がかりで丁寧に抜いてあげるから、ちゃんと明日には出発できる。ね、ファツィオ」

 「‥‥ああ。エイリーク様は寝ているだけでいいです。で導きます」

 俺の圧に負けて、ファツィオが渋々頷く。二人きりで熱い夜を過ごす妄想を思い描いたのだろう。俺の目の前でそんなことを許す訳がないのに。
 立場を入れ替えてみれば、分かる筈だ。

 俺だって、本当はエイリークを独り占めにしたい。だが、ルンデン商会絡みの件から、看病まで、ファツィオには世話になった。
 何よりも、エイリークに彼を切り捨てる気がない。

 そして、俺に引導を渡す気配もない。さらに悪いことには、放っておいたら、ニルスに取られてしまう恐れがある。ひとたび彼に取り込まれたら、二度と会えない可能性まであった。
 それなら、ファツィオとぬるい取り合いっこをした方がマシだ。

 「寝ているだけって、そういう訳には」

 「エイリーク様」

 ファツィオがそっと唇を重ねた。こういう時、美形は得である。両手を押さえられているせいもあるが、元部下を無碍むげに振り払えないエイリークが、固まる。

 俺は二人の甘美なキスシーンを視界から外し、夜着の合わせを広げて下履きを脱がせた。中から勢いよく陰茎が飛び出した。

 「あ」

 気付いたエイリークが口を開いたところへファツィオが舌を挿し込む。
 俺は淫棒を頬張った。ビクビクとイキのいい反応に、俺の子宮が熱くなる。敏感になった唇が、彼の脈動を感じ取る。口内全体と舌を総動員して、大きなそれを刺激した。
 たちまち口中に涎が溢れ、じゅぼじゅぼ、といやらしい音を立てた。

 「んっんんっ」

 上からエイリークの甘い声が降ってくる。腰が落ち着かなげに動き出した。

 不意に、頭を鷲掴わしづかみにされた。
 先っぽを舌で細かくなぶりながら上目遣いで見ると、エイリークの手が伸びていた。一方の手は、ファツィオと一緒に、彼の陰茎をしごいている。
 手を伸ばして、エイリークの乳首をまさぐった。体が小刻みに震えて反応する。穴から先走りの液がとめどなく漏れていた。ぐい、と頭を押される。喉元まで陰茎が入り込む。口いっぱいになった。

 「エイリーク様、僕、もう」

 「わ、たしも」

 ドピュッと精液が発射された。エイリークのそれは俺が飲み込む。ファツィオの分は、横から来て俺の髪にかかった。反射的に魔法で消し去る。全部取れただろうか。

 「ベッドへ行きましょう」

 「うん。ユリア様、すみません。頭を押してしまって」

 「平気よ。ズボン脱いで」

 俺は敢えて事務的に言った。素直に脱ぐエイリークの下腹部は、今出したばかりなのに、もう隆々と勃っている。

 「ファツィオ。部屋をもう少し暗くして欲しい」

 そう言う声はとろけている。なんだかんだいって、俺とファツィオによって、エイリークの体は調教済みなのかもしれない。
 すると、彼がどちらかに決められないのは、俺たちにも責任がある。

 「もちろんです、エイリーク様」

 ファツィオが魔法で灯りを一気に調整した。エイリークの腰を抱き、首筋にキスをしながらベッドへ導く。俺は不本意ながら、二人の後ろからついていった。
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