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5 ライバルに突っ込まれる
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俺は棒立ちになった。下履きに半分足を突っ込んでいたエイリークは、さすがの身のこなしで剣に飛びつく。
「動くな。抵抗すれば、命はない」
威厳のある声が、狭い部屋に響いた。発声元は、領主様の警備兵だ。
先ほど、凱旋行列で歩んでいた兵士達と装備は異なるが、ごろつきではない。
エイリークは、ほんの僅か躊躇った後、剣から手を離して両腕を上げた。引き締まった体躯は、衆人の目に晒しても恥ずかしくない美しさだが、武装集団の前では、さぞ落ち着かないことだろう。
俺も、まだちゃんと服を整えていない。
「登録冒険者、エイリークとユリア。この部屋にいたのは、お前たち二人だけか?」
最初に声を出した警備兵が訊いた。この場の指揮官らしい。
俺は頷いた。セックスしていたのだ。3Pとか乱交じゃない限り、二人しかいないに決まっている。
あ、覗きとか、SMでも人数増えるかな。
そんな俺の内心の声が聞こえたみたいに、転がり込んできた兵士が仲間と一緒に、窓の外、ベッドの下まで確認する。当然ながら、誰も隠れていなかった。彼らから報告を受けた指揮官がこちらを見る。
「エイリークとユリア。両名を、これよりラヤバッタ城へ連行する」
「な、何で? 私たち、悪いこと、していない」
「子爵殿のご命令だ。抵抗しなければ、手荒な扱いはしない」
誰だよ子爵って。領主はラヤバッタ伯爵だ。息子か。
エイリークが、こっちを窺っている。俺が逃げると言えば、身を挺して逃すつもりだ。今の俺は、ご主人様じゃなくてセフレみたいなものだから、そこまで義理立てしなくても、いいのに。
そんな悲壮な覚悟をしなくても、鑑定スキルで見る限り、武力では勝てる。
ただ、エイリークは裸。逃げにくいことは確かだ。何なら俺の魔法で脱出してもいいんだけれど、追われる立場も面倒臭い。
逃げるのは今でなくともいい。状況を知りたい。
俺はここまで考えて、両手を上げた。
俺たちが抵抗しない姿勢を見せたからか、兵たちの扱いは、犯罪者の連行の割に、丁寧だった。
エイリークが服を着るまで待ってくれたし、俺もその間に服を整えられた。荷物も持ってくれたし(取り上げられたともいう)、宿の主人がごねたので支払いを立て替えてもくれた(後で俺の財布から抜いておくと言われた)。
それでも一応連行だから、兵に囲まれての移動だ。
まだ凱旋の余韻に浸る街の人々に、色眼鏡で見られるのは、嫌な気分だった。まさか、御坊ちゃまの凱旋パレード中にセックスしていたのが罪ってことはない、と思うのだが。
「まあ、何したのかしらあの人たち」
「いい男なのに、もったいないわねえ」
「女が誑かしたのよ、きっと」
俺が睨みつけると、年増の二、三人が目を逸らした。
兵士の詰所からは、馬車に乗せられて、傍若無人な視線からは逃れられた。
馬車に揺られ、坂道を上って着いた先が、城だった。しかも正面玄関だ。
もしかして本当に、御領主様のご機嫌を損ねたのだろうか。そして、警備担当の子爵に捕縛されたとか?
「お前は、こっちだ」
馬車を降ろされると、俺とエイリークは引き離された。彼は横の方へ連行されて行く。
「エイリーク!」
「お前は、こっち」
振り向いたエイリークが、頭を振った。抵抗するな、の意味らしい。
ここで暴れても、逃げるのは大変だ。俺は言われた通りに、正面から中へ進んだ。
「んまあ、これが‥‥磨けば光るわね。さすがは‥‥見る目がございますわ」
待ち構えていた女どものうち、年嵩の女が両手を揉み合わせながら、目を輝かせた。ステータスからして、侍女頭か家政婦といったところだ。
そこで俺は兵士から引き渡され、今度は女どもに連行された。
「え、何するの?」
数人がかりで、服をひん剥き始めた。
「黙って従いなさい」
先ほどとは違う女が、有無を言わせぬ調子で言った。
俺だって、傍に湯気の立ち上る浴槽が見えれば、何をさせようとするのか予測がつく。ただ、自分で服を脱ぎたかっただけだ。
予想通り、風呂へ入れられた。まるで貴族みたいに、頭のてっぺんから足の先まで俺自身の指一本使わずに洗われた。
プライドの問題を別にすれば、俺も日本人だったし、この世界でまともな風呂へ入るのは初めてで、つい堪能してしまった。
ただ、陰部を洗われるのは、嫌だったけど。
風呂の後は、いい匂いのする液を擦り込まれつつマッサージを受け、爪の手入れも抜かりなく、髪も綺麗に整えてもらい、さながらリゾートスパに来た気分だった。
エイリークも、同じように支度をしてもらっているのかもしれない。
どうやら、御領主様のご機嫌を損ねた訳では、なさそうだ。
この世界、罪人を風呂へ入れて、綺麗にするとは思えない。むしろ、気に入られて謁見に備える感じである。
それにしても何故俺たち? という疑問は残るが。
しかし、湯上がりに着せられた服を見て、リゾート気分に影がさした。
「これでは、人前に出られないわよ」
すっけすけのベールみたいな生地に刺繍を施された、高級品には違いないが着ても着なくても裸と変わらない、しかもどこかエロい感じの服、夜着だった。
「明日になりましたら、きちんとした服をお持ちします。今夜は、こちらでお休みください」
と案内されたのは寝室。
貴族の部屋らしく、天蓋付きのキングサイズベッドだ。枕元には、ナイトキャップまで用意してある。
宿屋の固いベッドとは違う、見るからにふかふかの寝具を目の当たりにして、俺はふらふらとベッドへ近付いた。
「では、ご用がなければ、これで失礼致します」
ガチャリ、とドアの閉まる音を耳に、ベッドへダイブする。
「ふわあ、ふかふか」
無意味にゴロゴロと横回転する。久々の心地よい感触。すぐに眠ってしまいそうだ。でも、エイリークが来るまで待ちたい。
転がった先に、琥珀色の液体の入ったグラスが目についた。あれは、よく眠れるための物だった気がするが、どうせ何もなくても眠いのだから、却って目が覚めるかも。
それに、お貴族様の酒を味見したい。まともな酒も久々だ。
俺はグラスを持つと、一気に飲み干した。口当たりが良すぎて、勝手に手が動く感じだった。飲み終える側から、体に水分が染み渡る感覚と共に、疲労感からか急に眠気が差す。
そこで、俺の記憶は途切れた。
ずちゅっ。ずちゅっ。
下腹部が熱い。
気持ちいいことは気持ちいいけれど、何か、いつもと違う。突っ込まれているモノが、違う?
「前世から、愛していたんです」
無理矢理舌を捩じ込まれる。息が苦しい。あと、手首が痛い。
「ああ、やっと貴女と一つになった。もう、離しません」
乳首を吸われながら、パンパン、と腰を打ちつけられた。イイっ。でも、この声は、エイリークじゃない。誰?
「ふふっ。いっぱい子種を注ぎ込んであげます。僕の子を、たくさん産んでくださいね」
はあっ、はあっ。
荒い息遣いと共に、降り注ぐ声で、意識を取り戻した。
目の前に、金髪で縁取られた美形がいる。知らない青年。その碧眼が見開かれるのと、下半身に入っていたモノが引き抜かれるのは、同時だった。
そして、俺が彼の正体を知ったのも。
「はあんっ」
悔しいが、反射的にエロい声が漏れてしまった。
「お前だったのか。お前が、ユリア? どうなっている?」
「ふ、ファツィオ=カールソン、お前だったか。卑怯者、これ外せっ」
俺の両手はベッドに繋がれていた。金髪碧眼の美形は、狼狽える。
「だって、あの方強いから、このぐらいしないと‥‥あの方はどこだ? 待て。一緒にいた男の名は、エイリークとか言ったな。ユリア、エイリーク様‥‥そういうことか!」
俺を放置したまま夜着だけ羽織り、傍にある扉を開ける。
「おい。この女といた男性は、どうした?」
「はっ。ひとまず牢へ入れてあります」
キビキビとした男の声がした。
護衛とは言え、隣室で聞き耳立てている状態を知りながら、セックスしていたのか。貴族の神経太いな。いや、それどころじゃない。
美形は金髪を掻きむしった。俺も頭に手が届けば、そうしたい。
「何という事を! すぐに出して、こちらの女性と同様、丁重にお休みいただけるよう手配せよ! 後で詫びに伺う、と伝えろ」
「はっ。かしこまりました」
扉を閉めた美形は、俺の側まで戻った。
「説明してもらおうか」
「まず、これを外しなさいよ。エイリークが見たら、怒られるのは、あんただからね」
「くっ。どこから見ても女だな。すっかり騙された」
渋々ながらも手枷を外したこの美形は、前世エイリークの部下だった男である。
年下の部下という武器を最大限利用し、エイリークにまとわりついて離れなかった。
エイリークは前世で俺の部下だったが、それぞれ個人秘書みたいな契約なので、俺と奴の間に主従関係はない。
だから、俺はエイリークと奴の間柄に口を挟めなかった。
前世から、実に面白くない存在だった。
俺は、転生するに当たって、俺とエイリークがいかにイチャイチャするかということしか考えていなかった。したがって、この男の存在など念頭になく、何の対抗策も練っていなかった。大失策だ。
「で、エイリーク様が男に転生したから、お前は女に転生したのか?」
「そうよ。今世は恋人同士よ。転生した日から一緒にいるんだから」
俺は、寿命で死んでからこれまでの事を、ざっと説明した。
ファツィオの反応で、彼も大体俺と同じ流れで前世の記憶を持ったまま、転生してきたことがわかった。ただし、彼は赤ん坊からやり直しであった。さぞかし、ここまで長かったろう。
俺は棒立ちになった。下履きに半分足を突っ込んでいたエイリークは、さすがの身のこなしで剣に飛びつく。
「動くな。抵抗すれば、命はない」
威厳のある声が、狭い部屋に響いた。発声元は、領主様の警備兵だ。
先ほど、凱旋行列で歩んでいた兵士達と装備は異なるが、ごろつきではない。
エイリークは、ほんの僅か躊躇った後、剣から手を離して両腕を上げた。引き締まった体躯は、衆人の目に晒しても恥ずかしくない美しさだが、武装集団の前では、さぞ落ち着かないことだろう。
俺も、まだちゃんと服を整えていない。
「登録冒険者、エイリークとユリア。この部屋にいたのは、お前たち二人だけか?」
最初に声を出した警備兵が訊いた。この場の指揮官らしい。
俺は頷いた。セックスしていたのだ。3Pとか乱交じゃない限り、二人しかいないに決まっている。
あ、覗きとか、SMでも人数増えるかな。
そんな俺の内心の声が聞こえたみたいに、転がり込んできた兵士が仲間と一緒に、窓の外、ベッドの下まで確認する。当然ながら、誰も隠れていなかった。彼らから報告を受けた指揮官がこちらを見る。
「エイリークとユリア。両名を、これよりラヤバッタ城へ連行する」
「な、何で? 私たち、悪いこと、していない」
「子爵殿のご命令だ。抵抗しなければ、手荒な扱いはしない」
誰だよ子爵って。領主はラヤバッタ伯爵だ。息子か。
エイリークが、こっちを窺っている。俺が逃げると言えば、身を挺して逃すつもりだ。今の俺は、ご主人様じゃなくてセフレみたいなものだから、そこまで義理立てしなくても、いいのに。
そんな悲壮な覚悟をしなくても、鑑定スキルで見る限り、武力では勝てる。
ただ、エイリークは裸。逃げにくいことは確かだ。何なら俺の魔法で脱出してもいいんだけれど、追われる立場も面倒臭い。
逃げるのは今でなくともいい。状況を知りたい。
俺はここまで考えて、両手を上げた。
俺たちが抵抗しない姿勢を見せたからか、兵たちの扱いは、犯罪者の連行の割に、丁寧だった。
エイリークが服を着るまで待ってくれたし、俺もその間に服を整えられた。荷物も持ってくれたし(取り上げられたともいう)、宿の主人がごねたので支払いを立て替えてもくれた(後で俺の財布から抜いておくと言われた)。
それでも一応連行だから、兵に囲まれての移動だ。
まだ凱旋の余韻に浸る街の人々に、色眼鏡で見られるのは、嫌な気分だった。まさか、御坊ちゃまの凱旋パレード中にセックスしていたのが罪ってことはない、と思うのだが。
「まあ、何したのかしらあの人たち」
「いい男なのに、もったいないわねえ」
「女が誑かしたのよ、きっと」
俺が睨みつけると、年増の二、三人が目を逸らした。
兵士の詰所からは、馬車に乗せられて、傍若無人な視線からは逃れられた。
馬車に揺られ、坂道を上って着いた先が、城だった。しかも正面玄関だ。
もしかして本当に、御領主様のご機嫌を損ねたのだろうか。そして、警備担当の子爵に捕縛されたとか?
「お前は、こっちだ」
馬車を降ろされると、俺とエイリークは引き離された。彼は横の方へ連行されて行く。
「エイリーク!」
「お前は、こっち」
振り向いたエイリークが、頭を振った。抵抗するな、の意味らしい。
ここで暴れても、逃げるのは大変だ。俺は言われた通りに、正面から中へ進んだ。
「んまあ、これが‥‥磨けば光るわね。さすがは‥‥見る目がございますわ」
待ち構えていた女どものうち、年嵩の女が両手を揉み合わせながら、目を輝かせた。ステータスからして、侍女頭か家政婦といったところだ。
そこで俺は兵士から引き渡され、今度は女どもに連行された。
「え、何するの?」
数人がかりで、服をひん剥き始めた。
「黙って従いなさい」
先ほどとは違う女が、有無を言わせぬ調子で言った。
俺だって、傍に湯気の立ち上る浴槽が見えれば、何をさせようとするのか予測がつく。ただ、自分で服を脱ぎたかっただけだ。
予想通り、風呂へ入れられた。まるで貴族みたいに、頭のてっぺんから足の先まで俺自身の指一本使わずに洗われた。
プライドの問題を別にすれば、俺も日本人だったし、この世界でまともな風呂へ入るのは初めてで、つい堪能してしまった。
ただ、陰部を洗われるのは、嫌だったけど。
風呂の後は、いい匂いのする液を擦り込まれつつマッサージを受け、爪の手入れも抜かりなく、髪も綺麗に整えてもらい、さながらリゾートスパに来た気分だった。
エイリークも、同じように支度をしてもらっているのかもしれない。
どうやら、御領主様のご機嫌を損ねた訳では、なさそうだ。
この世界、罪人を風呂へ入れて、綺麗にするとは思えない。むしろ、気に入られて謁見に備える感じである。
それにしても何故俺たち? という疑問は残るが。
しかし、湯上がりに着せられた服を見て、リゾート気分に影がさした。
「これでは、人前に出られないわよ」
すっけすけのベールみたいな生地に刺繍を施された、高級品には違いないが着ても着なくても裸と変わらない、しかもどこかエロい感じの服、夜着だった。
「明日になりましたら、きちんとした服をお持ちします。今夜は、こちらでお休みください」
と案内されたのは寝室。
貴族の部屋らしく、天蓋付きのキングサイズベッドだ。枕元には、ナイトキャップまで用意してある。
宿屋の固いベッドとは違う、見るからにふかふかの寝具を目の当たりにして、俺はふらふらとベッドへ近付いた。
「では、ご用がなければ、これで失礼致します」
ガチャリ、とドアの閉まる音を耳に、ベッドへダイブする。
「ふわあ、ふかふか」
無意味にゴロゴロと横回転する。久々の心地よい感触。すぐに眠ってしまいそうだ。でも、エイリークが来るまで待ちたい。
転がった先に、琥珀色の液体の入ったグラスが目についた。あれは、よく眠れるための物だった気がするが、どうせ何もなくても眠いのだから、却って目が覚めるかも。
それに、お貴族様の酒を味見したい。まともな酒も久々だ。
俺はグラスを持つと、一気に飲み干した。口当たりが良すぎて、勝手に手が動く感じだった。飲み終える側から、体に水分が染み渡る感覚と共に、疲労感からか急に眠気が差す。
そこで、俺の記憶は途切れた。
ずちゅっ。ずちゅっ。
下腹部が熱い。
気持ちいいことは気持ちいいけれど、何か、いつもと違う。突っ込まれているモノが、違う?
「前世から、愛していたんです」
無理矢理舌を捩じ込まれる。息が苦しい。あと、手首が痛い。
「ああ、やっと貴女と一つになった。もう、離しません」
乳首を吸われながら、パンパン、と腰を打ちつけられた。イイっ。でも、この声は、エイリークじゃない。誰?
「ふふっ。いっぱい子種を注ぎ込んであげます。僕の子を、たくさん産んでくださいね」
はあっ、はあっ。
荒い息遣いと共に、降り注ぐ声で、意識を取り戻した。
目の前に、金髪で縁取られた美形がいる。知らない青年。その碧眼が見開かれるのと、下半身に入っていたモノが引き抜かれるのは、同時だった。
そして、俺が彼の正体を知ったのも。
「はあんっ」
悔しいが、反射的にエロい声が漏れてしまった。
「お前だったのか。お前が、ユリア? どうなっている?」
「ふ、ファツィオ=カールソン、お前だったか。卑怯者、これ外せっ」
俺の両手はベッドに繋がれていた。金髪碧眼の美形は、狼狽える。
「だって、あの方強いから、このぐらいしないと‥‥あの方はどこだ? 待て。一緒にいた男の名は、エイリークとか言ったな。ユリア、エイリーク様‥‥そういうことか!」
俺を放置したまま夜着だけ羽織り、傍にある扉を開ける。
「おい。この女といた男性は、どうした?」
「はっ。ひとまず牢へ入れてあります」
キビキビとした男の声がした。
護衛とは言え、隣室で聞き耳立てている状態を知りながら、セックスしていたのか。貴族の神経太いな。いや、それどころじゃない。
美形は金髪を掻きむしった。俺も頭に手が届けば、そうしたい。
「何という事を! すぐに出して、こちらの女性と同様、丁重にお休みいただけるよう手配せよ! 後で詫びに伺う、と伝えろ」
「はっ。かしこまりました」
扉を閉めた美形は、俺の側まで戻った。
「説明してもらおうか」
「まず、これを外しなさいよ。エイリークが見たら、怒られるのは、あんただからね」
「くっ。どこから見ても女だな。すっかり騙された」
渋々ながらも手枷を外したこの美形は、前世エイリークの部下だった男である。
年下の部下という武器を最大限利用し、エイリークにまとわりついて離れなかった。
エイリークは前世で俺の部下だったが、それぞれ個人秘書みたいな契約なので、俺と奴の間に主従関係はない。
だから、俺はエイリークと奴の間柄に口を挟めなかった。
前世から、実に面白くない存在だった。
俺は、転生するに当たって、俺とエイリークがいかにイチャイチャするかということしか考えていなかった。したがって、この男の存在など念頭になく、何の対抗策も練っていなかった。大失策だ。
「で、エイリーク様が男に転生したから、お前は女に転生したのか?」
「そうよ。今世は恋人同士よ。転生した日から一緒にいるんだから」
俺は、寿命で死んでからこれまでの事を、ざっと説明した。
ファツィオの反応で、彼も大体俺と同じ流れで前世の記憶を持ったまま、転生してきたことがわかった。ただし、彼は赤ん坊からやり直しであった。さぞかし、ここまで長かったろう。
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