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12 繁殖期の人魚

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 故郷に残る選択をした竜人教授を除き、俺たちは無事に帰国した。

 神官はやはり神殿に戻された。誘惑に負けなくて良かった。

 それに、前回と同じ流れなら、俺には別の機会がある。

 「人魚族の繁殖パーティに参加してもらう」

 予想通り。魔法学院の学長に命じられた時も、驚きはなかった。前回俺が参加したのは数年後のことだが、繁殖パーティは毎年あるのだ。いつ参加を求められてもおかしくない。

 人魚は繁殖期になると女性だけが人間の足を持てる。だから子孫を増やすため、人間の男性から精子を貰うのだ。

 人工授精の技術はないから、性交するしかない。個別にする人魚もあるが、王宮主催のパーティは相手となる男性の人選が厳しいため、人魚側から好評だった。
 俺は、暗黒大陸へ行く途中、人魚族に見初められて、種馬としてスカウトされた訳である。

 学院で助教授を務める人魚の姫と、ダークエルフもスタッフとして同行するところまで一緒だ。
 前回と違うのは、人魚助教授がパーティでも俺とやる気満々な点だ。会場に到着した今も、俺の腕に取りついて離れない。

 前回は、BL漫画の資料にすると称し、俺が他の人魚に腰振っているところを、ひたすらデッサンされた。当時はパーティ参加も気乗りしなかった上に、凝視されながらするのも嫌だった。
 今回、とりあえず俺のやる気は十分にある。

 「妊娠が目的だから、あんたとやってる暇なんかないわよ。避妊薬、使っているでしょ」

 助教授に文句を言っているのは、その従姉妹で俺を招待した人魚である。
 今は繁殖期だから足の先まで人間だ。助教授が青みがかった黒髪の静的な印象を与えるのと対照的に、こちらは金髪を大きくうねらせた髪型もあって、動的な印象だった。

 「使ってないもん」

 「嘘。あんたの役割は、男の人魚を生殖可能にすること。妊娠している暇ない筈よ」

 「どうせ産んだら男の人魚が世話してくれるんだから、妊娠したって研究に差し支えないよ。子供は多い方がいいじゃない」

 「くっ。あんたがエロい絵物語ばっかり描いているって知っているわよっ。とっとと彼を渡さないと、あんたの父親に言いつけてやるから」

 助教授は渋々俺の腕を離した。従姉妹がさっと俺の腕を取る。

 「では、早速参りましょうか。ああ、見学なら歓迎するわ。空いている殿方のお相手もしてもらって結構よ。空いていればね」

 「ぐぬぬっ」

 「失礼します。助教授、こちらで参加者の確認をお願いします」

 危うく掴み合いの喧嘩になりそうなところを、ダークエルフが引き離した。その隙に、俺たちは会場へ入る。
 
 中では、既に繁殖が始まっていた。一応、仕切りなどで小部屋に分かれてはいる。
 しかし、海中住まいの人魚たちは、その辺の柱にすがって後ろから突かれたり、床に男性を押し倒して上で腰を振っていたり、自由に振る舞っていた。

 要は乱交パーティであった。

 妊娠を目的とした真面目な集まり、というお題目である。
 避妊具不要の代わりに、顔射や素股、アナルといった特殊プレイも禁止されている。道具を使ったSMなど、論外である。尻叩き、スパンキングも駄目。

 参加する男性陣の性癖も、ある程度調べて選抜しているとの噂である。このような会場で、スカトロマニアの人に来てもらっても、お互い困惑するのは、目に見えている。

 「どこでもできるんだけど‥‥最初は落ち着いた雰囲気でしたいわね」

 腕に取り付いた人魚が言う。
 入り口から一つ一つ、仕切りを覗きながら奥へ進む。空きベッドが見つからない。

 とうとう奥の広間まで来てしまった。

 全面に、マットレスを敷き詰めてある。一度に何組でも詰め込めるような場所となっていた。現に、数組の男女が交わっている。

 中には、四人で絡まっているのもあった。思わずどうなっているのか、まじまじと見てしまった。組み木細工のように、上手いこと繋がっていた。

 人魚、と言っても今は人間の女性だが、全員見た目がバラバラだった。髪の色も銀髪から黒まで、肌も薄い色から濃い色まで、よく見れば、きっと瞳の色もそれぞれ違っただろう。胸の大きさも巨乳から微乳まで揃っており、それでいて各人の顔立ちも体つきも整っている。

 参加男性が選り好みしても、誰かしら相手を見つけられると思われた。
 もちろん、複数の人魚を相手にしても、全く問題はない。むしろ、何人も相手にできるような男性の方が、歓迎された。

 双方の合意は必須要件ではあるが、そもそも女性は妊娠目的で陸へ上がっていて、男性の参加は性交が条件だ。少なくとも、女性から断られる心配は、ない、と言える。

 「あっ、あそこ空いたわ」

 助教授の従姉妹に引っ張られ、仕切りの内側へ連れ込まれた。シーツが乱れたままである。
 スタッフが巡回して適宜メイキングすることになっている筈だが、次から次へと入れ替わるため、間に合わないのが実情だ。

 山積みのタオルを引き出し、シーツの上に敷く。

 「紳士なのね」

 従姉妹人魚は、羽織っていたバスローブ風の布切れをはらりと落とし、ベッドへ飛び乗って足を開いた。もう濡れているのがわかる。
 俺は、その部分を凝視しながら服を脱いだ。性欲が盛り上がるのを感じる。

 「では、始めましょうか」

 「そんな、堅苦しくしなくていいわよ」

 両手で頬を挟み、舌を捩じ込んできた。強引だが、気持ちいい。

 男慣れしている。助教授と違って、こちらは経験豊富のようだ。
 俺のものが湿り気に突き当たり、硬くなる。人魚の手が下へ来て、俺自身を掴み、穴に挿し込んだ。

 ぐじょぐじょだった。
 しかし、緩くはなく、巻き込まれるように陰茎を締め付け、奥へ誘い込む。

 「んむっ」

 「あはっ。いい反応だわ。イっちゃいそう」

 気持ちよさに声を漏らした俺を、愛おしげに見つめる人魚。腰を前へ出すと、亀頭が、更に奥まで押し込まれた。

 ぬちゃっ。ぬちゃっ。
 ぴちゃっ。ぴちゃっ。

 「ああん。いいっ。いいのっ。出してえ、奥までドピュッと」

 舌で俺の口内を刺激しつつ、腰を振り、言葉でも煽る。膣はにゅるにゅるとぬめりつつ、俺を締め付ける。
 俺は、たちまち達した。

 「はあっ。はあっ」

 「よかったわ。もう一回、出来そう?」

 「ええっと。咥えてもらうのは、禁止でしたっけ?」

 「勃たせるためなら、してもいいのよ。じゃあ、お互いにしましょうか」

 人魚は喜んで、頭の位置を変えた。
 俺がクリトリスをちろちろ舐めただけで、もうお互いの準備は整った。

 二回戦が始まった。
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