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初更

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 男は、次の新月の晩まで来なかった。グゥェンドラは相変わらず、父王の組んだ花嫁修行を続けていた。刺繍の仕方や短剣の扱い方、毒薬の種類とその見分け方などというのも勉強した。

 グゥェンドラが目を開けると、ベッドの端に男が腰掛けて、短剣を弄んでいた。

 「出掛けるから、支度をしろ」

 グゥェンドラは、ベッドの上に用意されていた小間使いが着るような服に着替えた。髪型は、男が小間使いのような頭に整えてくれた。男は、化粧まで施してくれた。すっかり小間使いになった。

 「お前はエラ」

 鏡を覗き込んでいるグゥェンドラに、男が言った。エラは頷いた。
 窓の外には、樽が浮いていた。2人はそれに乗り込んで、何処か他の国のお城へきた。王族ではないが、有力な貴族の城らしい。真夜中だというのに、所々灯が点いている。

 樽は、城楼の一つに降り立った。男はエラに説明した。

 「ここには、遠い国から亡命してきた一人の婦人が住んでいる。今夜はパーティが開かれているが、人前に出られないのだ。ご婦人は淋しがっている。エラ、お慰めしてきなさい」

 口調が柔らかい。ついついエラは頷いてしまった。

 男の後について、塔の中へ入り込む。男の手にかかると、窓も鍵も易々と開いてしまうのであった。
 塔の一室には、男の説明通り、エラより一回り年上の貴婦人がいた。彼女は男とエラに気付いて慌てて本を閉じた。男が何やら外国の言葉で説明すると、貴婦人はエラに向かって微笑んだ。

 「このご婦人の言う通りにしなさい。危険になったら、俺が助ける」

 そう言って、男はろうそくの灯が届かない隅の暗がりに溶け込んだ。貴婦人が手招きしてエラを近付けた。

 貴婦人は、エラをそっと抱き締めた。何とも柔らかい心地よさがエラを包んだ。幼少期以来、エラを抱き締めてくれる人はいなかった。幼少期でさえ、そんなことがあったのか、自信がなかった。

 エラは力を抜いて、貴婦人にもたれた。貴婦人がエラを抱き締めたまま、両頬に接吻をした。無礼者!と怒る声が遠い闇の底からかすかに聞こえたが、エラは小間使いである。気にしなかった。
  だから、貴婦人の唇が柔らかくエラの唇を割って、舌を絡め取られたときも、少し驚いただけで、されるがままになっていた。それについては別段気持ちがよかった訳ではなかった。

 その間に貴婦人の手はエラの胸を撫で擦り、ベッドへ押し倒していた。小間使いの服は簡単に脱がされてしまった。エラの適度な丸みを帯びた乳房を貴婦人の左手が柔らかく揉む。右手は、あちこちより道しながら下がって行き、今は太ももの内側を撫でていた。唇は相変わらず合わさったままである。

 エラは徐々に気持ちが高ぶってきた。よくわからないが、じっとしていられないような気がした。落ち着こうとして、息を大きく吸った。唇が塞がれているので、静かに鼻から空気を出した。心臓がドキドキしてきた。

 唇が離れた。と同時に、両足の付け根に貴婦人の手が触れ、唇はエラの乳房に吸い付いた。エラの右乳が貴婦人のよだれで濡れ光った。

 両足の付け根にある貴婦人の右手は、爪が伸びていて痛かったが、エラは我慢した。
 もしかして、同じことをしないといけないのだろうか、と、ふと気付いて、左手で貴婦人の腰を抱き締めながら右手を貴婦人の足の間に入れた。

 もじゃもじゃとした感触、それから、ぬめっとしたものが触れて、エラは危うく手を引っ込めるところであった。溝に沿って辺りを探しているうちに、貴婦人が息を荒くして身動きし始めたので、はずみでエラの指がどこかの穴にずぼっと入ってしまった。

 「☆△×!」

 貴婦人がのけぞった。そしてエラの右手をしっかり掴んで、腰を上下に動かし始めた。エラの指は、ぬめぬめした穴を出たり入ったりした。エラは、呆気にとられて紅潮した貴婦人の顔を見つめていた。

 「A○□×!」

 貴婦人が急にぐったりとして、エラの上にのしかかった。部屋の隅から男が現れた。

 「行くぞ」

 エラは、そっと身体をずらして、貴婦人のベッドから降りた。脇に、手水鉢があったので、手を洗って、小間使いの服を着た。そして、再び樽に乗った。

 「どんな気分だった、グゥェンドラ?」

 男が尋ねた。

 「不思議な感じ」
 「そうか」



 次の新月の晩まで、グゥェンドラはひたすら花嫁修行の日課をこなしていた。己の家系図や縁戚関係を覚えたり、自国の経済状況を学んだりするほか、舞踏会の練習も随分行った。

 グゥェンドラが疲れ果てて眠っていると、冷たい刃で頬を軽く叩かれた。

 「出掛けるぞ。支度をしろ」

 男が、ベッドの端に腰掛けていた。着替えが用意されていたが、レースを重ねて作った高価なドレスで、ただし着てみると身体が丸見えだった。

 「お前は、ドーラだ」

 艶麗な化粧を施した男が呼びかけた。ドーラは頷いた。
 樽に乗ってついた先は、郊外の大きな屋敷であった。屋根裏部屋から、2人は中へ入った。

 「この屋敷の主人は、隠居した金貸しだ。妻に先年死なれて、寂しい思いをしている。行って、慰めてきなさい」

 主人の寝室の前で男は命令し、扉を開けた。
 中には天蓋付きの豪華な寝台が据え付けてあり、貴族の屋敷のようであった。
   ドーラが幕を上げると、眠っていた男が半目を開けた。年をとり、ひからびた男であった。

 「ドーラ、戻ってきてくれたのか」

 ドーラは名前を呼ばれて少し驚いたが、すぐに男の妻の名と了解して、黙って寝台に乗った。

 「ドーラ、わしは寂しかった。戻ってきてくれて、嬉しい。おお、お前の身体は、前にも増して美しいな」

 高価なドレスを脱がせ、ひからびた男はしげしげとドーラを眺めた。

 「この白い手で、わしの息子を優しく慰めておくれ」

 ひからびた男は、ドーラの手を掴んで自らの股間へ導いた。そこには見たことのない、黒ずんでひからびた細長い物があった。ドーラはその細長い物を握らされ、両手で上下にこするよう指示された。

 「そのままこするのは大変だろう。わしの上で腹ばいになりなさい」

 言われた通りにうつ伏せになると、黒々としたものがドーラの顔の前に来た。周りに生えている毛が、ちくちくとドーラの頬を刺した。ドーラは一生懸命言われた通りに細長い物を両手で上下にこすった。柔らかくて、擦りにくかった。

 ひからびた男は、ドーラの尻を鷲掴みにして、股間に顔を埋めていたが、そのうちドーラの股間からピチャピチャという音が聞こえてきた。ドーラの背筋を、快感が這い登った。今までに感じたことのない、形容し難い快感であった。ドーラは思わず、黒々としたものを離して、男の両足にしがみついた。
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