精神破壊少女

夜桜恋舞

文字の大きさ
上 下
4 / 24

四話、愛されない私は,,,

しおりを挟む
5月6日 日曜、いつも通り静かな5時半丁度に目が覚めた。早く着替えて朝食を作り、時間ぴったりにあの人を起こさなければならない。実際私は、あの人に会いたくない。
だが、会わなければならない、ドアをノックする。
「レイカさん、おはようございます。6時半です。起きてください。朝食も出来てテーブルに置いてあります。」
≪ゴンッッ!!≫
何かの落ちる音がした。
「わったよ!朝っぱらからうっせーんだよ!」
数分後、レイカさんはスーツをきて現れて、私を思いっきり殴る。私は腹部を両手で抱えながら、うずくまった。
そう、虐待だ。
レイカさんは私を産んだ母親だ。父親はもう既に他界している。レイカさんの立場の母親というものは、自分の子供を大切に思うらしい。だが、レイカさんは違う。私のことを邪魔だとしか思っていないのだ。
私の頭をスリッパを履いた足が軽く踏む。
「お前さ、私の安眠妨害していいと思ってんの?」
「そんなことは一度も思った事ありません」
「やっと“お母さん”と呼ばなくなったと思ったら、何なんだよ!!!!」
≪ゴン!!≫
頭が割れるように痛い。さっきまで床から少し浮いていた私の頭を勢いよくレイカさんが踏んだ。
「前なんて、お前が居なければ私は真人と再婚してたんだよ!お前は金がかかるし、雑用を任しても私が満足いくような結果も出せないくせによ!」
そうだ、この前レイカさんが男の人を家に連れて来たとき私は“帰ってくんな”と言われていたことを忘れ帰ってきてしまった。その時リビングでは、レイカさんと男の人が裸体で抱き合い、それで甘ったるい声が部屋中に響き渡っていた。私はドアを開けて、いつもレイカさんのいない家に向かって言う“お母さん、ただいま”なんて台詞を言ってしまった。
男の人はその小さな音を聞き逃さなかった“子持ちと再婚なんて無理だ”と言って服を着て帰ってしまった。それでレイカさんはいつも以上に怒っているのだ。
全身を踏まれて、蹴られて・・もう何が何だか解らなくなってしまって意識が飛んだ。
本当にここはなんら地獄と変わりない。
ここにいるのは母親ではなくてきっと鬼や悪魔の類いなのだ。鬼や悪魔は人を愛さない。私は、愛されなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

ああ、もういらないのね

志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。 それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。 だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥ たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた

リオール
恋愛
だから? それは最強の言葉 ~~~~~~~~~ ※全6話。短いです ※ダークです!ダークな終わりしてます! 筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。 スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。 ※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)

青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。 ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。 さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。 青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

処理中です...