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第一章:魔法学園の空間魔導師
謎の少女
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気がつけばそこは真っ白な空間であった────などと小説に出てくるような一文節を思い起こさせるかのような空間に俺はいた。
何故こんなところにいるのかは分からないが、とりあえず記憶を遡った限りでは、俺はテトに刺されて意識を失ったはずだ。
(そうなるとここは〝あの世〟ってわけか?)
「否定する。その推測は違う」
「……あ?」
振り返ればそこには一人の少女がいた。
虚ろげな目で俺を見ている少女は何と言うか……うん、その身の丈には大きすぎる服に身体の至る所に鎖を巻いているという変わった趣味の服装をしていた。
「お前がどこの誰かってのも気になるが、その服装はオシャレか?変わった趣味してんな」
「それも否定する。これはまだ、貴方との繋がりが薄い証拠」
「繋がり?俺とお前に何の繋がりがあるってんだ?つーか、そもそも誰だお前は?そして何処だここは?」
「一度に複数の質問をするのは相手への配慮にかけていると、我はそう思う。しかし我は寛大……それらの質問に答える」
少女はそう言うと、鎖をジャラジャラと鳴らしながらこちらへと近づいてきた。
だが鎖は何処かに繋がっているのか、たった数歩歩いただけで少女はそれ以上こちらへは来れなかった。
その事に少女が不満そうな表情となる。
「むぅ……今はまだそちらへは行けない。少し遠いがそれで良いか?」
「構わねぇよ、その距離からでも聞こえるしな。なんならこっちから行こうか?」
「それは無理だと判断する。でもまぁ、試してみたらいいんじゃない?」
そう言われたので俺の方から少女へと歩み寄ろうとするも、途中で見えない壁か何かにぶつかった。
鼻先を打ったので地味に痛い。
「~~~っ……」
「これで分かったと思う。これ以上の接近は今はまだ不可能」
「あぁ、文字通り痛いほどよく分かったよ……で、質問の回答を聞かせてくれねぇかな?」
「もちろん分かっている。先ず、我は過去に貴方と会っている。それが我と貴方との〝繋がり〟」
「過去に会ってるだと?いったいいつの話だ?」
「その質問に対する回答は出来ない」
「回答するっつってたろうが」
「言葉が足りなかった。〝出来ない〟ではなく、〝答えてやる事が出来ない〟だった。答えようにも答えられない……それが〝出来ない〟という理由」
「なるほど……それじゃあお前が誰だかってのは教えてくれるんだろうな?」
「詳しくは……これも出来ない。ただ、我はこの世界を逸脱した存在とだけは教えられる」
「……神様ってことか?」
「今はまだその認識でいい」
「曖昧な回答だな」
「我としても不本意。けれど今の我ではどうする事も出来ない」
「あ~そーかよ。それで、ここは何処だ?」
「ここは貴方の魂の奥底に存在する空間。もっと分かりやすく言うならば、精神の最下層といったところ」
「どっちもピンとこねぇよ」
「そう……」
少しだけ悲しそうな表情となる少女。
この少女が何者かをどうしても知りたいところだが、少女本人が教える事が出来ないと言っているので、俺がアレコレ考えたところで無駄なだけだろう。
「ちなみに俺は死んだのか?」
「否定する。貴方はまだ死んではいない。ただ深く眠っているだけ。でも、だからこそこうして我と出会えた」
「お前はここに住んでるって事か?」
「肯定する。だが、その理由についてはまだ明かせない。不快だった?」
「いや、別に。まぁ驚いたと言えば驚いたが、別に俺自身に影響はねぇんだろ?」
「そうとも言えるし、そうではないとも言える」
「あやふやだなぁ……」
「別に無理に理解して貰わなくてもいい」
「なんでいきなり不機嫌になってんだ。それより、ここにいるのはお前一人か?」
「肯定する。我はここに一人」
「そうか……なんか寂しいな」
「寂しい……そう思ったことはなかった。我は寂しい存在なのか?」
「俺としてはそう思うけどな。こんな何もねぇ所に一人ぼっちなんて……俺だったら気が狂いそうだ」
「ふむ……しかし我は寂しいと思ったことなど一度たりとて無い。このように直接、貴方と話すことは出来ないけれど、でもここで貴方が見ている景色を見ることは出来る」
「どういうことだ?」
少女の言葉に俺が訝しげな表情をすると、少女は手を翳して目の前に画面のようなものを出した。
そこには一人称視点で俺の家族や瑠璃達の姿が映し出されている。
もしかして……これは俺の目線から見ていた光景か?
「こうして貴方の記憶を通して見ることが出来る。貴方の記憶を見ていると、不思議と我も楽しい気分になる。だから寂しいと思った事は無い」
「そうか……」
そう話す少女だったが、俺から見るにその表情にはどこか寂しさのようなものが含まれていた。
「まぁ、貴方との繋がりが強くなれば、もしかしたら……いや、確証は無い。これ以上は言うのをやめておく」
「気になるなぁ。まぁともかく、お前さんがそれでいいのなら、俺がとやかく言う義理はねぇよ」
この少女が何故ここにいるのか?
そして何が目的なのかは分からない。だが何となく、この少女は敵では無いという事だけは分かる。
そんな事を考えていると、いつの間にか俺の身体は徐々に透け始めてきていた。
「うぉっ、なんだこれ?!」
「どうやら貴方が意識を取り戻すみたい。それはその兆し」
「そうか、それは喜んでいいのやら」
「嬉しくない?」
「いや、嬉しいよ?嬉しいさ。でも、こうしてお前さんと出会えたってのに、満足に話をしてねぇなと思うと……な」
「ふむ……我も、貴方がここに来るまでは何とも思わなかった。けれど貴方と話をしたからか、こうして別れが来たと思うと、どこか寂しい」
「もしかしたら、また会えるかもしれねぇんだろ?」
「可能性は限りなく低い」
「0じゃないだけ良いだろ?まぁ、また今度何かしらで来た時は、たんまりと土産話持ってくるよ」
「そう……それは楽しみ」
完全に翳していた手から少女の姿が見通せるくらいにまで透けている。
そんな時、俺はふとある事を思い出し、それを少女へと言った。
「そういやお前のことを何て呼べばいい?」
「名前?教えられないと言った」
「それは知ってるが、でも呼び名がねぇと困るだろ?」
「そういうもの?」
「そういうものだ」
「ふむ……ならば〝ヨグ〟と、そう呼んで欲しい」
「ヨグか……ヨグね。それじゃあヨグ、ここでお別れだ」
「うむ、さようなら」
ヨグが別れの挨拶をして手を振ったので、俺は首を振って彼女にこう諭す。
「違う違う。そういう時はな、〝さようなら〟じゃなくて〝またな〟って言うんだよ」
「……?何が違う?」
「〝さようなら〟だともう二度と会えねぇみてぇになるだろ?〝またな〟だったら、また会えるような気がして楽しみになるだろ」
「よく分からない。でも、何となく、そっちの方がいいかもしれない」
「そうだろ?それじゃあ〝またな〟ヨグ!」
「うむ、〝またね〟御影」
そうして俺とヨグは互いに別れを告げ、俺の視界は真っ白に染まってゆくのであった。
そして目が覚めた時にはベッドの上だった。
目覚めた俺が身体を起こすと、まだ昼間なのか外が明るい。
「「おにぃ!!」」
そこにいたのか妹達が目に涙を浮かべながら俺に抱きついてきた。
腹にも抱きついてくるので傷口に障って地味に痛い。
「いててててて!!」
「あ、ごめん……」
痛がる俺に二人は申し訳なさそうに離れると、容態は大丈夫なのかと問い詰めてくる。
俺は手を振って無事を伝えると、今度はこちらから二人に質問をした。
「瑠璃達は?」
「瑠璃さん達はお母さんと大岡さん達と一緒にテトちゃんを取り戻しに行ったよ」
「そうか……なら、俺も行かねぇとな」
俺はそう言うとベッドから降りる。
「まだ安静にしてないと駄目だよ!」
「おにぃ、死にかけてた」
「分かってるよ。でも、行かなきゃならねぇからな」
妹達の心配は分かるが、どうしてもテトが……瑠璃達がいるであろう場所に行かねばならないという気がして落ち着かない。
するとそんな俺の背後から父さんが声をかけてきた。
「行くのかい?」
「まぁな」
「母さんもいるし、瑠璃さん達に任せてもいいと思うけれど?」
「あいつらを信じてねぇわけじゃねぇよ。ただ俺自身、自分の手であのいけすかねぇ野郎をぶっ飛ばしてやらなきゃ気がすまねぇんだ」
「はは……そういう所、母さんにそっくりだ」
父さんはそう言って笑うと、俺の側へと来てその手を肩に乗せた。
「行ってきなさい。でも、くれぐれも無理はしないように」
「当たり前だ。あ、それと二人も連れてくけどいいか?」
「どうする?」
「「行く!」」
「二人がこう言ってるし、構わないよ」
「おう、それじゃあ行ってくる」
テトの居場所については既に分かっている。
あの時、こっそりとテトの服に付けた目印を追えば、あとは空間転移で向かえるからな。
俺が御陽と御夜を連れて空間転移を発動しようとする寸前、父さんがまた声をかけてきた。
「御影!」
「今度は何だよ?」
「母さんには〝やり過ぎるな〟と言ったけれど、お前に関しては存分にやってきなさい」
「…………ふっ────了解!」
そうして俺は空間転移を発動した。
一瞬で景色が変わり、目の前ではテトが瑠璃に銃を向けており、咲良と大岡のおっさんも黒服達に取り押さえられていた。
「御陽、御夜、咲良達の方を頼む」
「「分かった」」
俺は空間転移で二人を黒服達の近くへと移動させたあと、自身も空間転移で瑠璃の前へと躍り出し、そしてテトの魔法を無効化させた。
テトは明らかに操られている状態……俺はそれを見て血管が切れそうになるのを堪えながら、優しい表情を瑠璃へと向けたのだった。
何故こんなところにいるのかは分からないが、とりあえず記憶を遡った限りでは、俺はテトに刺されて意識を失ったはずだ。
(そうなるとここは〝あの世〟ってわけか?)
「否定する。その推測は違う」
「……あ?」
振り返ればそこには一人の少女がいた。
虚ろげな目で俺を見ている少女は何と言うか……うん、その身の丈には大きすぎる服に身体の至る所に鎖を巻いているという変わった趣味の服装をしていた。
「お前がどこの誰かってのも気になるが、その服装はオシャレか?変わった趣味してんな」
「それも否定する。これはまだ、貴方との繋がりが薄い証拠」
「繋がり?俺とお前に何の繋がりがあるってんだ?つーか、そもそも誰だお前は?そして何処だここは?」
「一度に複数の質問をするのは相手への配慮にかけていると、我はそう思う。しかし我は寛大……それらの質問に答える」
少女はそう言うと、鎖をジャラジャラと鳴らしながらこちらへと近づいてきた。
だが鎖は何処かに繋がっているのか、たった数歩歩いただけで少女はそれ以上こちらへは来れなかった。
その事に少女が不満そうな表情となる。
「むぅ……今はまだそちらへは行けない。少し遠いがそれで良いか?」
「構わねぇよ、その距離からでも聞こえるしな。なんならこっちから行こうか?」
「それは無理だと判断する。でもまぁ、試してみたらいいんじゃない?」
そう言われたので俺の方から少女へと歩み寄ろうとするも、途中で見えない壁か何かにぶつかった。
鼻先を打ったので地味に痛い。
「~~~っ……」
「これで分かったと思う。これ以上の接近は今はまだ不可能」
「あぁ、文字通り痛いほどよく分かったよ……で、質問の回答を聞かせてくれねぇかな?」
「もちろん分かっている。先ず、我は過去に貴方と会っている。それが我と貴方との〝繋がり〟」
「過去に会ってるだと?いったいいつの話だ?」
「その質問に対する回答は出来ない」
「回答するっつってたろうが」
「言葉が足りなかった。〝出来ない〟ではなく、〝答えてやる事が出来ない〟だった。答えようにも答えられない……それが〝出来ない〟という理由」
「なるほど……それじゃあお前が誰だかってのは教えてくれるんだろうな?」
「詳しくは……これも出来ない。ただ、我はこの世界を逸脱した存在とだけは教えられる」
「……神様ってことか?」
「今はまだその認識でいい」
「曖昧な回答だな」
「我としても不本意。けれど今の我ではどうする事も出来ない」
「あ~そーかよ。それで、ここは何処だ?」
「ここは貴方の魂の奥底に存在する空間。もっと分かりやすく言うならば、精神の最下層といったところ」
「どっちもピンとこねぇよ」
「そう……」
少しだけ悲しそうな表情となる少女。
この少女が何者かをどうしても知りたいところだが、少女本人が教える事が出来ないと言っているので、俺がアレコレ考えたところで無駄なだけだろう。
「ちなみに俺は死んだのか?」
「否定する。貴方はまだ死んではいない。ただ深く眠っているだけ。でも、だからこそこうして我と出会えた」
「お前はここに住んでるって事か?」
「肯定する。だが、その理由についてはまだ明かせない。不快だった?」
「いや、別に。まぁ驚いたと言えば驚いたが、別に俺自身に影響はねぇんだろ?」
「そうとも言えるし、そうではないとも言える」
「あやふやだなぁ……」
「別に無理に理解して貰わなくてもいい」
「なんでいきなり不機嫌になってんだ。それより、ここにいるのはお前一人か?」
「肯定する。我はここに一人」
「そうか……なんか寂しいな」
「寂しい……そう思ったことはなかった。我は寂しい存在なのか?」
「俺としてはそう思うけどな。こんな何もねぇ所に一人ぼっちなんて……俺だったら気が狂いそうだ」
「ふむ……しかし我は寂しいと思ったことなど一度たりとて無い。このように直接、貴方と話すことは出来ないけれど、でもここで貴方が見ている景色を見ることは出来る」
「どういうことだ?」
少女の言葉に俺が訝しげな表情をすると、少女は手を翳して目の前に画面のようなものを出した。
そこには一人称視点で俺の家族や瑠璃達の姿が映し出されている。
もしかして……これは俺の目線から見ていた光景か?
「こうして貴方の記憶を通して見ることが出来る。貴方の記憶を見ていると、不思議と我も楽しい気分になる。だから寂しいと思った事は無い」
「そうか……」
そう話す少女だったが、俺から見るにその表情にはどこか寂しさのようなものが含まれていた。
「まぁ、貴方との繋がりが強くなれば、もしかしたら……いや、確証は無い。これ以上は言うのをやめておく」
「気になるなぁ。まぁともかく、お前さんがそれでいいのなら、俺がとやかく言う義理はねぇよ」
この少女が何故ここにいるのか?
そして何が目的なのかは分からない。だが何となく、この少女は敵では無いという事だけは分かる。
そんな事を考えていると、いつの間にか俺の身体は徐々に透け始めてきていた。
「うぉっ、なんだこれ?!」
「どうやら貴方が意識を取り戻すみたい。それはその兆し」
「そうか、それは喜んでいいのやら」
「嬉しくない?」
「いや、嬉しいよ?嬉しいさ。でも、こうしてお前さんと出会えたってのに、満足に話をしてねぇなと思うと……な」
「ふむ……我も、貴方がここに来るまでは何とも思わなかった。けれど貴方と話をしたからか、こうして別れが来たと思うと、どこか寂しい」
「もしかしたら、また会えるかもしれねぇんだろ?」
「可能性は限りなく低い」
「0じゃないだけ良いだろ?まぁ、また今度何かしらで来た時は、たんまりと土産話持ってくるよ」
「そう……それは楽しみ」
完全に翳していた手から少女の姿が見通せるくらいにまで透けている。
そんな時、俺はふとある事を思い出し、それを少女へと言った。
「そういやお前のことを何て呼べばいい?」
「名前?教えられないと言った」
「それは知ってるが、でも呼び名がねぇと困るだろ?」
「そういうもの?」
「そういうものだ」
「ふむ……ならば〝ヨグ〟と、そう呼んで欲しい」
「ヨグか……ヨグね。それじゃあヨグ、ここでお別れだ」
「うむ、さようなら」
ヨグが別れの挨拶をして手を振ったので、俺は首を振って彼女にこう諭す。
「違う違う。そういう時はな、〝さようなら〟じゃなくて〝またな〟って言うんだよ」
「……?何が違う?」
「〝さようなら〟だともう二度と会えねぇみてぇになるだろ?〝またな〟だったら、また会えるような気がして楽しみになるだろ」
「よく分からない。でも、何となく、そっちの方がいいかもしれない」
「そうだろ?それじゃあ〝またな〟ヨグ!」
「うむ、〝またね〟御影」
そうして俺とヨグは互いに別れを告げ、俺の視界は真っ白に染まってゆくのであった。
そして目が覚めた時にはベッドの上だった。
目覚めた俺が身体を起こすと、まだ昼間なのか外が明るい。
「「おにぃ!!」」
そこにいたのか妹達が目に涙を浮かべながら俺に抱きついてきた。
腹にも抱きついてくるので傷口に障って地味に痛い。
「いててててて!!」
「あ、ごめん……」
痛がる俺に二人は申し訳なさそうに離れると、容態は大丈夫なのかと問い詰めてくる。
俺は手を振って無事を伝えると、今度はこちらから二人に質問をした。
「瑠璃達は?」
「瑠璃さん達はお母さんと大岡さん達と一緒にテトちゃんを取り戻しに行ったよ」
「そうか……なら、俺も行かねぇとな」
俺はそう言うとベッドから降りる。
「まだ安静にしてないと駄目だよ!」
「おにぃ、死にかけてた」
「分かってるよ。でも、行かなきゃならねぇからな」
妹達の心配は分かるが、どうしてもテトが……瑠璃達がいるであろう場所に行かねばならないという気がして落ち着かない。
するとそんな俺の背後から父さんが声をかけてきた。
「行くのかい?」
「まぁな」
「母さんもいるし、瑠璃さん達に任せてもいいと思うけれど?」
「あいつらを信じてねぇわけじゃねぇよ。ただ俺自身、自分の手であのいけすかねぇ野郎をぶっ飛ばしてやらなきゃ気がすまねぇんだ」
「はは……そういう所、母さんにそっくりだ」
父さんはそう言って笑うと、俺の側へと来てその手を肩に乗せた。
「行ってきなさい。でも、くれぐれも無理はしないように」
「当たり前だ。あ、それと二人も連れてくけどいいか?」
「どうする?」
「「行く!」」
「二人がこう言ってるし、構わないよ」
「おう、それじゃあ行ってくる」
テトの居場所については既に分かっている。
あの時、こっそりとテトの服に付けた目印を追えば、あとは空間転移で向かえるからな。
俺が御陽と御夜を連れて空間転移を発動しようとする寸前、父さんがまた声をかけてきた。
「御影!」
「今度は何だよ?」
「母さんには〝やり過ぎるな〟と言ったけれど、お前に関しては存分にやってきなさい」
「…………ふっ────了解!」
そうして俺は空間転移を発動した。
一瞬で景色が変わり、目の前ではテトが瑠璃に銃を向けており、咲良と大岡のおっさんも黒服達に取り押さえられていた。
「御陽、御夜、咲良達の方を頼む」
「「分かった」」
俺は空間転移で二人を黒服達の近くへと移動させたあと、自身も空間転移で瑠璃の前へと躍り出し、そしてテトの魔法を無効化させた。
テトは明らかに操られている状態……俺はそれを見て血管が切れそうになるのを堪えながら、優しい表情を瑠璃へと向けたのだった。
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