人生前のめり♪

ナンシー

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137 日常(ふるさとは遠きにありて…)

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僕たちは、駐屯地内にある官舎に住んでいる。独身者や単身赴任の人など、四人部屋に三人とかで共同生活中だ。

ときおり、ネット注文をして荷物が配送されたり、実家や友人から荷物が届いたりすることがある。
このとき、届け先の住所は間違ってはいけない。住所の最後に官舎の番号が数字でいくつか並んでいるが、これを間違ったり省略したりすると、駐屯地内に荷物を受け取れないことがある…コレ、トテモ重要‼

そして、演習や夜間の警備などで勤務が不規則な僕たちには、日時指定で宅配を頼むのも重要ポイントだ。
僕は、今日届いた荷物を持って娯楽室に向かった。

僕「あ、植野。植野宛にクール便が来てたよ~。」

植野「ありがとうございますー!」

演習や勤務を考慮して荷物が届く日時を指定するということは、みんなの荷物が同じ日に届くことが多いと言うことでもある。
今日はその「あたり」の日のようだ。


須賀「まて、クール便だと?まさかホルモン部宛に届いたホルモンじゃないだろうな?」

いそいそと受け取りに行こうとする植野を、衛生の須賀さんが引き止める。須賀さんは職務に忠実なのだ♪ホルモンとビールによるメタボ予備軍が集まるホルモン部は要注意らしい。

植野「須賀さんは鋭いですねー笑
 でも肉は肉でも、今回は鹿肉なので、カロリー的には大丈夫かとー。」

須賀「鹿肉?!」

植野「はい、ウチの祖母の実家が京都の丹後に近い兵庫県の山奥なので、たまに鹿や猪肉を送ってくるんですよー。」

僕「そう言えば、僕も以前植野とバーベキューしたとき、鹿肉やら猪肉やら食べさせてもらったねぇ♪」

鹿も猪も、塩胡椒や焼肉のタレで抜群に美味しかったのを思い出した(•᎑•)

植野が須賀さんに鹿肉の美味しさを熱弁している。それを楽しく聞いているところへ、R黒田がやってきた。

R黒田「みかん食べませんか?地元の友達んち、みかん農家なもんで。見た目シワあるけど、木で完熟させてからもいだヤツなんで、むっちゃ甘いッス。」

僕たちは、喜んで手を出す。R黒田は、手に下げた袋から2、3個掴んでは分けてくれた。
早速ひとついただきます♪
ヘタをむしり取るように、そのまま中身を半分に割ると案外簡単に白い筋ごと皮が剥ける。
この食べ方もR黒田に教わった。

須賀「甘っ!これは旨いな!」

僕「本当に甘みが強くて美味しいねぇ。」

皆でみかんを食べていると、今度はそこへ香山が箱を抱えてやってきた。

須賀「香山もお裾分けに来たのか?」

香山「…。」

僕「どうしたの?分けにくい物でも入っていたり?」

香山「分けていいのかどうか…。」

皆で宛名の伝票を覗く。それは、北の大地に異動した機甲科戦車乗りの先輩からだ。先輩は元々北の大地出身者だった。

僕「わ、分けたら良いんじゃないかな?」

須賀「いや待て、茹でるか蒸すかしてから分けたらどうか?」

植野「演習の友に持っていけますかねー?」

R黒田「ここじゃ、バーベキューかレンチンしかないッスかね?」

僕「レンジでジャガバターとかありだけどねぇ…」

香山が持ってきた箱の中身は、土付きじゃがいもだった。
北の大地の特産品。煮ても焼いても蒸しても揚げても間違いなく美味しいじゃがいも。
ただし、ここは単身ばかりの男所帯…しかも官舎には電子レンジと、IHコンロがひとつ。

ありがたいがどう調理しよう?

香山「せめてビールも送ってほしかった…」

R黒田「ポテトフライ食べたい…」

うん、北の大地のビール、美味しいよねぇ。ポテトフライはなかなか難しいけど(•᎑•)

取り敢えず、じゃがいもはみんなに配られ、僕たちは次の休みにバーベキューを計画、そのときにじゃがいもも美味しくいただくことに決めたのだった。
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