人生前のめり♪

128 訓練 (CPX その2)

今週は指揮所訓練CPXだ。
別の駐屯地に所属する普通科連隊と、うちの駐屯地に所属する機甲科、更には航空部隊も含めての演習計画だから、摺り合わせにも時間がかかるのは仕方がない。
初日から、なかなか進まない計画に、僕はなかなか口を挟むタイミングがなかったが。

そして、今日も朝からハラハラ・ドキドキ(•᎑•)
後方支援や衛生隊による救急搬送についての計画が話し合われていた。
隣で衛生隊の須賀さんが努めて冷静に参加している。いや、僕には『ヌルい！』と叫ぶ須賀さんの心の声が聞こえる。笑顔が怖いです。

須賀「…普通科さんは患者集合点を500m毎に設置と言うが、ざっと挙げただけでも50ポイントにもなる…そんな覚えきらんだろ」

僕「実効性がないですね。後尾収容にしたら？」

須賀「収容しきらんくなるに決まってる。わかりやすいランドマークをピックアップポイントにしとくか…」

普通科の移動距離と機甲科の展開範囲を一緒に考えると、普段の訓練や考え方の違いで齟齬が出てしまう。その最も顕著なものが、距離感だ。
負傷者を衛生隊がピックアップし、医師の待機場所や医療機関まで送り届ける。
そのためのピックアップポイントを前もって決めていくのだが、その土地を知らなくて地図上で決めても現地で迷わない、そんな場所を見つける…それが、いざというときに命を救うことになるのだから、皆…得に衛生隊は真剣だ。

もともと広げてあった地図の上に、10万分の１の地図を乗せ、普通科の指揮官を呼び込む。
僕たちのほうが地の利はあるので、彼らが見てもわかるランドマークを指定してもらったほうが早い。

須賀「詳細な地図にしか乗っていない目標物は除外する。マークは主力中央の後方、直射火器の、半致傷距離に設定。」

つまり、衛生隊による収容ポイントは、狙って撃たれて当たっても、致命傷率50パーセント以下の距離をとるということだ。
じゃないと、ミイラ取りがミイラになる。

まだ距離にこだわるのか、なかなかのポイント数になっている。
それでも、須賀さんが生き生きしてきたのがわかる。困難になればなるほど、立ち向かってやると、獰猛に笑う。

須賀「意地でも全数搬送してやる。」

燃えている須賀さんは、とてもカッコいいと、僕は思うのだ。