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124 山に行く (自己認識 その2)※ちょっぴりシリアス注意
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男の声「すみません!だ、大丈夫ですか?」
ハル「タカさーん。タカさん聞こえますか?」
僕「…ハルさん…」
ハル「はい。ハルですよー。
黒田君、ロープ出して下さい。」
R黒田「っ!はい!」
何だろう…心臓が痛いくらいドキドキしている。息も苦しい。
あ、そうか。落石。怪我。ショック状態。
石が、僕の、額に、当たった。
意識が飛んだのは一瞬だったと思う。
短い呼吸を無視して、一気に息を吐く。それに伴って生理的に息を吸いこめば、酸素が入ってくるのと同時に全身に血が回るのが分かった。
ドキドキする心臓と連動するように額もドキドキズキズキ痛む。
僕の目の前には、自分の両手。
急斜面で両手両膝をついて四つん這いの姿勢だ。
ハル「タカさん、右に身体開いて、座りましょう。木に寄りかかれます。ロープ張ったから落ちませんよ。」
僕「うん、大丈夫。ありがとう。」
状況を把握しよう。
山の斜面上からの落石が、僕の額に当たった。
頭にはBUFF(チューブタイプのバンダナ)を巻いていたが、それと左眉の間の隙間が痛い。そんな隙間に当たるなんて、運が悪かったなぁ。
左目は見えているから大丈夫。気持ち悪いこともない。
ハルさんの柔らかな呼びかけと補助に合わせて、体の向きを変える。
そして背後の木に寄りかかる。
ハルさんがスリングで身体を固定して、ずり落ちないよう支えてくれた。
ふっと力を抜いて顔を上げると、若い男性と目が合った。トレイルランニングでもしていたのだろうか、半そでにハーフパンツ、ザックも小さいなぁ…軽装だ。
男「すみません、大丈夫ですか、本当にすみません。」
その男性は焦った顔をしておろおろしている。ああ、彼が落石しちゃった人なのか。
R黒田「出血しています。応急処置が必要です。」
僕「待って、ワンコ、ハルさん。大丈夫だから、少しだけ待って。」
僕は、固い顔をしながらもテキパキ応急処置の準備をするワンコとハルさんを留める。ふたりとも何か言いたげではあるが僕の様子を黙って見守ることに決めてくれたようだ。
そして僕は、目の前の男性に声をかけた。
僕「君、学生さん?ひとり?」
男「は、はい」
僕「うん、救急キット持ってる?貸して。」
男「え、あ…も、持ってません。すみませんっ!」
僕「そっか。じゃあ僕のザックから出してくれるかな?」
男「あ、え、」
男性は、ワンコとハルさんを見た。
ワンコはペットボトルの水とタオルを手にしている。
ハルさんは赤い救急キットからガーゼか三角巾らしきものを出している。
それを使えばいいのにと思うよね、うん。
でも、二人は動かない。ハルさんは口元を引き締めて、僕を睨むように見ている。
うん、もう少しだけ待ってね。
僕「ここは山の中で、君と僕だけしかいなかったら。君、手伝ってくれますか?それとも逃げますか?」
男「は、いえ、手伝います。すみません。」
学生さんは、震える手で指示に従いだす。
ザックを開けてもらうと、一番上にある赤い袋を出してもらう。救急セットは赤というのは、お約束だ。
僕「あ、まずその水僕の手にかけてくれるかな。応急処置、したことありますか?」
男「…いえ、すみません。」
僕「そっか。手当とか見ていてね。」
土汚れの手を洗い、ガーゼやテーピングを出す。
学生さんをみると、まだ手が震えている。あーとりあえず、ここまでかな。タオルと水を受け取り、手当てを始める。
ハル「まず、傷口を洗って、確認しますね。」
ハルさんに向かって頷くと、すぐワンコと連携して動き出す。僕の顔…傷口の下…にタオルを当て、傷口を真水で洗う。
その間も、学生さんは何度もすみませんと謝っている。
僕「うん、謝ってほしい訳じゃないんだ。僕達は、君に学んで欲しいだけなんだよ。」
僕は、できるだけ静かに語りかける。
僕「君は、いくつかの失敗をしている。まずここは、一般登山道じゃない。所謂、バリエーションルートです。だから、不安定な道しかない、崩れやすい。」
男「あ、オレ、み、道を見失って…でもピンクの目印見つけたから、登山道だと思って。」
僕「そっか。登山の計画書は提出してあるかな?地図やGPSは持ってきた?道を見失ったと思ったとき、確認したかな?」
男「計画書は、書いてません。地図はスマホのアプリで…こっちにもルートがありそうだったから…」
僕「そっか。計画書書いてないなら、エスケープルートを、確認してあったわけではないね。
この道もどんなルートかまでは確認しなかったよね。こんな、崩れやすいところで、駆け下りたら、落石するよね。」
男「誰も来ないと思って…本当にすみません」
僕「『誰も来ないと思った』から、石を落としてもいい?『迷ってもなんとかなると思った』かな?
『自分は怪我なんてしないだろう』から、救急キットを持ち歩かないし、怪我の手当を学んだこともない。
君の失敗の原因は、その認識の甘さだと言えるよね。」
学生さんは、言葉も出ないようだ。それでも僕は、知って欲しかった。学んで欲しかった。罪悪感に押し潰されそうになっていようとも、いやだからこそ今、理解して欲しかった。
僕「日帰りでも登山届を出せば、応急処置やビバークの準備さえあれば、万が一遭難しても、救助が間に合う確率が上がるんです。
ましてや、誰かが怪我をしたとき、見捨てなくて済むでしょ?」
ハル「終わりました。傷口は小さいし、ほぼ出血は止まっています。」
処置してくれたハルさんにお礼を言うと、彼女は学生さんに向き直った。
ハル「私は、トレランの大会に何度か出ています。だから、覚えておいてください。
山を走りたいなら、誰にも迷惑をかけないことと、山を荒らさないのが絶対条件です。
誰かがトレランで迷惑をかける事で、トレランが出来なくなることもありますし。」
そこでハルさんは深呼吸した。
ハル「まず周りをよく見ながら行動すること。道迷いしないため、そして人がいるかどうか、確認できないときは走るのを止めること。
山の中での大きな音は相手を驚かせてしまいますし、落石の危険もあります。
落石をさせるような走り方は、危険なのはもちろん、登山道が荒れます。だから、走り方も速ければいいのではありません。」
僕は、ギューッと握り込んで力の入ったままのハルさんの手に、そっと触れた。
僕「彼女はいろんなトレランの大会で入賞もしているような人だから、参考になると思うよ。大会のレギュレーション(必須な持ち物等の規則)も調べた方がいい。」
男「本当にすみません」
僕は、もう一度「謝って欲しいわけじゃない」と学生さんに笑って、先に山を降りるよう伝えた。下まで、病院まで、付き添うと言ってくれたけれど、そう言ってくれたから、もういいや。
少し体調を整えてから下りることを伝え、下山ルートについても確認してから、彼を見送った。
ワンコが大きく息を吐き出す。
僕「ワンコ、悪かったね。病院に行くほどではないと思うけど、今日はクライミング中止…」
R黒田「そんなの良いんです!病院行きましょう!」
僕「んー、そうだねぇ。後で傷の大きさ見てかなぁ。」
R黒田「それより、自分のことは良いッスから!」
ワンコがチラチラ見ているのは、ハルさんの方だった。僕は握っていたハルさんの手から、力が抜けていないことに気づいて顔を上げた。
あぁ…泣かしちゃった。
ハルさんは、口を結んだまま、ポロポロ涙を溢していた。
僕「ハルさん、心配かけてごめんなさい。
我慢させてごめんなさい。僕が彼に伝えたいこと、優先してくれてありがとう。山で死ぬ人減らしたいもんね。あの学生さんも、分かってくれたよ、きっと。」
ハル「うぅ…」
僕「大丈夫だよ。応急処置、ありがとう。」
ハル「う、ん…」
僕「ワンコも、びっくりしただろうに、すぐ動き出してくれてありがとう。」
R黒田「…ッス。」
正常バイアスじゃないけれど、山で自分だけは大丈夫とか、絶対大丈夫とかは、あり得ない。
どれだけ準備万端であっても、怪我や事故はなくならないし、失敗することも巻き添えを喰らうこともある。
それでも、失敗しても生きていれば学べると思う。
そして学んだら実践するのはもちろん、誰かにそれを伝えてほしい。
山で友人を亡くしたことのあるハルさん、災害派遣でいろんな救助に携わってきた僕やR黒田…僕達は普段から、自分がどうあるべきか、どう生きたいか、話をしている。
後悔したくないから。
悲しい思いや悔しい気持ちを知っているから。
だからこそ準備を怠らない。
直接知らなくても、想像することで回避できる悲しみもある筈だ。
失敗しても、やり直せるなら、それでいい。それがいい。
僕の小さな傷が、いつか起きるかもしれない事故を防ぐのにちょっとでも役に立つなら、この痛みも無駄じゃないと思いたい。
そして、山に登る人皆が真摯に山と人と向き合って、皆で楽しめたらいいと心から願うんだ。
下山後、僕はハルさんに連れられて病院へ。
縫うほどの怪我ではなくて、やはり大したことはなかったけれど、今後はハルさんに心配かけないように気をつけようと思う。
ハル「タカさーん。タカさん聞こえますか?」
僕「…ハルさん…」
ハル「はい。ハルですよー。
黒田君、ロープ出して下さい。」
R黒田「っ!はい!」
何だろう…心臓が痛いくらいドキドキしている。息も苦しい。
あ、そうか。落石。怪我。ショック状態。
石が、僕の、額に、当たった。
意識が飛んだのは一瞬だったと思う。
短い呼吸を無視して、一気に息を吐く。それに伴って生理的に息を吸いこめば、酸素が入ってくるのと同時に全身に血が回るのが分かった。
ドキドキする心臓と連動するように額もドキドキズキズキ痛む。
僕の目の前には、自分の両手。
急斜面で両手両膝をついて四つん這いの姿勢だ。
ハル「タカさん、右に身体開いて、座りましょう。木に寄りかかれます。ロープ張ったから落ちませんよ。」
僕「うん、大丈夫。ありがとう。」
状況を把握しよう。
山の斜面上からの落石が、僕の額に当たった。
頭にはBUFF(チューブタイプのバンダナ)を巻いていたが、それと左眉の間の隙間が痛い。そんな隙間に当たるなんて、運が悪かったなぁ。
左目は見えているから大丈夫。気持ち悪いこともない。
ハルさんの柔らかな呼びかけと補助に合わせて、体の向きを変える。
そして背後の木に寄りかかる。
ハルさんがスリングで身体を固定して、ずり落ちないよう支えてくれた。
ふっと力を抜いて顔を上げると、若い男性と目が合った。トレイルランニングでもしていたのだろうか、半そでにハーフパンツ、ザックも小さいなぁ…軽装だ。
男「すみません、大丈夫ですか、本当にすみません。」
その男性は焦った顔をしておろおろしている。ああ、彼が落石しちゃった人なのか。
R黒田「出血しています。応急処置が必要です。」
僕「待って、ワンコ、ハルさん。大丈夫だから、少しだけ待って。」
僕は、固い顔をしながらもテキパキ応急処置の準備をするワンコとハルさんを留める。ふたりとも何か言いたげではあるが僕の様子を黙って見守ることに決めてくれたようだ。
そして僕は、目の前の男性に声をかけた。
僕「君、学生さん?ひとり?」
男「は、はい」
僕「うん、救急キット持ってる?貸して。」
男「え、あ…も、持ってません。すみませんっ!」
僕「そっか。じゃあ僕のザックから出してくれるかな?」
男「あ、え、」
男性は、ワンコとハルさんを見た。
ワンコはペットボトルの水とタオルを手にしている。
ハルさんは赤い救急キットからガーゼか三角巾らしきものを出している。
それを使えばいいのにと思うよね、うん。
でも、二人は動かない。ハルさんは口元を引き締めて、僕を睨むように見ている。
うん、もう少しだけ待ってね。
僕「ここは山の中で、君と僕だけしかいなかったら。君、手伝ってくれますか?それとも逃げますか?」
男「は、いえ、手伝います。すみません。」
学生さんは、震える手で指示に従いだす。
ザックを開けてもらうと、一番上にある赤い袋を出してもらう。救急セットは赤というのは、お約束だ。
僕「あ、まずその水僕の手にかけてくれるかな。応急処置、したことありますか?」
男「…いえ、すみません。」
僕「そっか。手当とか見ていてね。」
土汚れの手を洗い、ガーゼやテーピングを出す。
学生さんをみると、まだ手が震えている。あーとりあえず、ここまでかな。タオルと水を受け取り、手当てを始める。
ハル「まず、傷口を洗って、確認しますね。」
ハルさんに向かって頷くと、すぐワンコと連携して動き出す。僕の顔…傷口の下…にタオルを当て、傷口を真水で洗う。
その間も、学生さんは何度もすみませんと謝っている。
僕「うん、謝ってほしい訳じゃないんだ。僕達は、君に学んで欲しいだけなんだよ。」
僕は、できるだけ静かに語りかける。
僕「君は、いくつかの失敗をしている。まずここは、一般登山道じゃない。所謂、バリエーションルートです。だから、不安定な道しかない、崩れやすい。」
男「あ、オレ、み、道を見失って…でもピンクの目印見つけたから、登山道だと思って。」
僕「そっか。登山の計画書は提出してあるかな?地図やGPSは持ってきた?道を見失ったと思ったとき、確認したかな?」
男「計画書は、書いてません。地図はスマホのアプリで…こっちにもルートがありそうだったから…」
僕「そっか。計画書書いてないなら、エスケープルートを、確認してあったわけではないね。
この道もどんなルートかまでは確認しなかったよね。こんな、崩れやすいところで、駆け下りたら、落石するよね。」
男「誰も来ないと思って…本当にすみません」
僕「『誰も来ないと思った』から、石を落としてもいい?『迷ってもなんとかなると思った』かな?
『自分は怪我なんてしないだろう』から、救急キットを持ち歩かないし、怪我の手当を学んだこともない。
君の失敗の原因は、その認識の甘さだと言えるよね。」
学生さんは、言葉も出ないようだ。それでも僕は、知って欲しかった。学んで欲しかった。罪悪感に押し潰されそうになっていようとも、いやだからこそ今、理解して欲しかった。
僕「日帰りでも登山届を出せば、応急処置やビバークの準備さえあれば、万が一遭難しても、救助が間に合う確率が上がるんです。
ましてや、誰かが怪我をしたとき、見捨てなくて済むでしょ?」
ハル「終わりました。傷口は小さいし、ほぼ出血は止まっています。」
処置してくれたハルさんにお礼を言うと、彼女は学生さんに向き直った。
ハル「私は、トレランの大会に何度か出ています。だから、覚えておいてください。
山を走りたいなら、誰にも迷惑をかけないことと、山を荒らさないのが絶対条件です。
誰かがトレランで迷惑をかける事で、トレランが出来なくなることもありますし。」
そこでハルさんは深呼吸した。
ハル「まず周りをよく見ながら行動すること。道迷いしないため、そして人がいるかどうか、確認できないときは走るのを止めること。
山の中での大きな音は相手を驚かせてしまいますし、落石の危険もあります。
落石をさせるような走り方は、危険なのはもちろん、登山道が荒れます。だから、走り方も速ければいいのではありません。」
僕は、ギューッと握り込んで力の入ったままのハルさんの手に、そっと触れた。
僕「彼女はいろんなトレランの大会で入賞もしているような人だから、参考になると思うよ。大会のレギュレーション(必須な持ち物等の規則)も調べた方がいい。」
男「本当にすみません」
僕は、もう一度「謝って欲しいわけじゃない」と学生さんに笑って、先に山を降りるよう伝えた。下まで、病院まで、付き添うと言ってくれたけれど、そう言ってくれたから、もういいや。
少し体調を整えてから下りることを伝え、下山ルートについても確認してから、彼を見送った。
ワンコが大きく息を吐き出す。
僕「ワンコ、悪かったね。病院に行くほどではないと思うけど、今日はクライミング中止…」
R黒田「そんなの良いんです!病院行きましょう!」
僕「んー、そうだねぇ。後で傷の大きさ見てかなぁ。」
R黒田「それより、自分のことは良いッスから!」
ワンコがチラチラ見ているのは、ハルさんの方だった。僕は握っていたハルさんの手から、力が抜けていないことに気づいて顔を上げた。
あぁ…泣かしちゃった。
ハルさんは、口を結んだまま、ポロポロ涙を溢していた。
僕「ハルさん、心配かけてごめんなさい。
我慢させてごめんなさい。僕が彼に伝えたいこと、優先してくれてありがとう。山で死ぬ人減らしたいもんね。あの学生さんも、分かってくれたよ、きっと。」
ハル「うぅ…」
僕「大丈夫だよ。応急処置、ありがとう。」
ハル「う、ん…」
僕「ワンコも、びっくりしただろうに、すぐ動き出してくれてありがとう。」
R黒田「…ッス。」
正常バイアスじゃないけれど、山で自分だけは大丈夫とか、絶対大丈夫とかは、あり得ない。
どれだけ準備万端であっても、怪我や事故はなくならないし、失敗することも巻き添えを喰らうこともある。
それでも、失敗しても生きていれば学べると思う。
そして学んだら実践するのはもちろん、誰かにそれを伝えてほしい。
山で友人を亡くしたことのあるハルさん、災害派遣でいろんな救助に携わってきた僕やR黒田…僕達は普段から、自分がどうあるべきか、どう生きたいか、話をしている。
後悔したくないから。
悲しい思いや悔しい気持ちを知っているから。
だからこそ準備を怠らない。
直接知らなくても、想像することで回避できる悲しみもある筈だ。
失敗しても、やり直せるなら、それでいい。それがいい。
僕の小さな傷が、いつか起きるかもしれない事故を防ぐのにちょっとでも役に立つなら、この痛みも無駄じゃないと思いたい。
そして、山に登る人皆が真摯に山と人と向き合って、皆で楽しめたらいいと心から願うんだ。
下山後、僕はハルさんに連れられて病院へ。
縫うほどの怪我ではなくて、やはり大したことはなかったけれど、今後はハルさんに心配かけないように気をつけようと思う。
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