人生前のめり♪

ナンシー

文字の大きさ
上 下
120 / 161

119 日常 (デート ケーキを食べに行く)

しおりを挟む
白馬大雪渓は、針ノ木雪渓、剱沢雪渓と並ぶ日本三大雪渓として有名だ。
毎年の夏山シーズンには、大雪渓を目指して多くの登山者が訪れる。
積雪する冬期はバックカントリースキー場に変わり、スキーヤーやスノーボーダーが大雪渓の滑りを楽しむ。
梅雨明け近くまで滑ることができる、そんな雪の殿堂。


僕「雪渓とか雪とかって、なんでワクワクするのかなぁ(•᎑•)」

ハル「なんでですかね?ワクワクですね~(*^^*)」


僕とハルさんの眼の前には、快晴の青空を写して白く輝く白馬大雪渓が広がっている。
広大な雪渓を登りつめた先に聳える白馬岳。

僕たちは夏山テント泊縦走登山中。
今回は、猿倉の登山口から白馬大雪渓を白馬岳まで登り、白馬大池へ向かう。
白馬頂上山荘と白馬大池で、それぞれ一泊ずつテント泊をして、その後蓮華温泉登山口に下山する二泊三日の計画だ。

雪渓では、軽アイゼンを装着する。ザクザクと硬い雪を喰むアイゼンの刃。
テントや食料、防寒着などでザックは重く、歩みは遅いが、ザクザクザク…雪の上を歩くのは楽しい♪
真夏の日差しは暑いが、雪の上を渡る風は爽やかで、絶好の登山日和だ。

僕「ハルさん、落石注意だよ。」

ハル「はい!思ってるより落石大きくて多いから、ちょっと怖いですね…あれとか落ちてきたら…」

ハルさんが指をさしたその先には、人一人分ほどもある大きな岩がある。雪の上にあるからには、あれも落石だ。
こぶし大の物から人より大きな物まで、いくつもの岩石が転がっている。

僕「だから、雪渓は下るより登るほうが安全だと言われるはずだよ。落石に背中は見せたくないもんねぇ。」

ハルさんもコクコク頷いている。
でも、登り切った先には、ご褒美が待っているのだ。

ハル「ふふ♪」

僕「どうしたの?」

にこにこ笑っているハルさん。

ハル「ここに来る前に、タカさんが『ケーキ食べに行かない?』って言ったから。」

僕「うん。ケーキ楽しみだねぇ♪」

ハル「そこじゃなくて(笑)
 『ケーキを食べに行く』って聞いて、白馬岳に登るとは、考えもしなかったなあって思ったら可笑しくて。」

僕「そう?僕は『ハルさんと白馬山荘のチーズケーキが食べたいなぁ』って思ったから、誘ったんだけど?(•᎑•)」

そう、今回の登山の目的は、『白馬山荘にケーキを食べに行く』ことなのだ。
以前、白馬山荘でケーキを食べたのだが、これが美味しかったのだ。
ふと思い出したら食べたくなって、ハルさんを誘った。

ハル「ちょっとそこらでデートかな?と思ったら、ガッツリお山だったんだもの…(。>﹏<。)」

『デート』という言葉に照れているハルさん、可愛いなぁ(•᎑•)

僕「もちろんデートですよ?
 山にも登って、ケーキも食べられたら一石二鳥でしょ?」

ハル「ぶ、ぶれませんね(笑)」

テント泊装備をガッツリ背負って、汗をかきながら山に登る。頂上に到着したら、お昼ごはんを食べて、食後のデザートにケーキ♪
立派にデートです(•᎑•)


ハル「…今度、スイカも食べに行きませんか?」

僕「いいねぇ♪燕岳(※)も美味しいし楽しいし?」

ハル「はい!あ、つけ麺も食べに行きたいな~」

僕「いいねぇ♪じゃあ、燕岳から槍ヶ岳まで縦走しようか(笑)」

ハル「ふふ(*^^*)デート、楽しみです。」

ねぇ、ハルさん。
僕らのデートは、壮大だね(•᎑•)



※ 燕岳に登る途中にある合戦小屋の名物は『スイカ🍉』です。
 槍ヶ岳からすぐ下につけ麺の美味しいヒュッテもあります。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

「今日でやめます」

悠里
ライト文芸
ウエブデザイン会社勤務。二十七才。 ある日突然届いた、祖母からのメッセージは。 「もうすぐ死ぬみたい」 ――――幼い頃に過ごした田舎に、戻ることを決めた。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...