人生前のめり♪

ナンシー

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114 日常 今週末(クライミング)

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ある晴れた日、ハルさんと僕はとある山の岩場に来ている。
この岩場は、クライミングスポットとして有名なため、ロープを使って登ったり(リードクライミング、トップロープでのクライミング等)の他、ボルダリングができる。
いわゆる、バリエーションルートで、山岳救助訓練にも使われることもあるが、今日はまだ寒いためか?昨日の雨のせいか?僕たちの貸切状態♪

まずは登攀のための準備をする。
安全ベルトハーネスを装着しながら、ハルさんと僕は先日来の『スキー場での案件』について話をしていた。

僕「…何度か香山に話を振ってはみたんだけど、白いスキーの王子様は『たいしたことしてないから、礼はいらない』とおっしゃっておいでです(笑)」

ハル「さすがは王子!と言うか、タカさん?
 香山さんのこと、からかい過ぎたのでは?」

僕「…反省しています。」

ハーネスのつぎは、ヘルメットの顎紐を調整しながら、僕は香山の顔を思い出し苦笑い。
『仕事で女性と話す時は平気なんだから、仕事だと思えば大丈夫なのでは?』と言ってみたこともある。
反応としては悪くなかったんだけど、結局は女性に対する苦手意識に塩を塗り込んだ結果になったようで、ちょっと申し訳ない。

ハル「うーん、美希にどう説明しようかな。
 『どうしても会わせてほしい!』と言われたら、タカさん、もう一度伝えてみてくれますか?」

僕「そうだねぇ…でもまぁ、今すぐとは言わず、短時間でちょこっとくらいならなんとかなるんじゃないかなぁ?ハルさんの友達なら、変にグイグイ来ないだろうし(•᎑•)」

ハル「はい。無理のないようにお願いします♪」


話が一段落したところで、僕は岩を見上げた。
岩場にはいくつもの登攀ルートがある。途中に命綱であるクイックドローやロープを掛けるためのボルトが打ってあるのでそれもルートの目安になる。
クイックドローは何本必要かなぁ。プーリーも持たなきゃ。
陽射しがあるけれど、まだ岩は冷たいなぁ。


ハルさんは、ロープを出して結び目ができないよう、丁寧に端っこを繰り出している。
ハーネスには、いくつものギア。

僕「ハルさん、お互いチェックしようか?」

ハル「はい!」

元気に返事をすると、その場でゆっくり回ってみせるハルさん(*^^*)うん、かわいい♪

セルフビレイ用のPASSは正しく装備され、テープスリングやプーリー、予備のカラビナなど抜かりなさそう♪

ハル「最初はタカさん、トップお願いします。」

僕「はい♪じゃあ、ハーネス見てくれる?」

ハル「はい!捻れなし、緩みなし!」

まずは僕が登るので、ハルさんはビレイヤー(ロープを操作して、僕が落ちないように補助する役目)だ。
僕もハルさんのハーネスを確認し、それぞれのギアの確認をしてから、ロープを結びつける。
ハルさんはロープの結び目が解けそうにないことを確認後、確保器ビレイデバイスを装着。
今度は僕が、ハルさんの確保器ビレイデバイスをチェック。
二人はバディ。お互いの命を預けるのだから、お互いの装備をチェックし合う。
さて、これで登攀準備完了だ。

まずは無理せず、優しいルートを僕がリードで登る。この時ハルさんが下でビレイ。
登った僕は上でアンカーを確保してから懸垂下降。
その後ハルさんがトップロープで登るのを、僕が下でビレイするつもりだが、もう一本のロープを設置して、リードクライミングの練習をしてもいいなぁ。

クライミング歴は、職業柄もあって(笑)僕の方に一日の長がある。
ハルさんは、地元山岳会の講習会に参加したり、山岳会の人と何度か登りに行ったりしているが、『まだ連れて行ってもらってばかりです(^_^;)』との言。
他には誰もいないし、いろいろ試すいい機会にしてほしい♪

僕はどんどん登ってはクイックドローを引っ掛け、ロープを通す。

うん、登りやすい(•᎑•)
ハルさんのロープ出しや張り具合も丁度いい♪
岩も乾いていて、手がかり、足がかりもしっかりしている。

僕「ゴール♪テンション!(手を離しても大丈夫な状態をキープしてもらう時の合図)」

ハル「はい!テンション………OKです!どうぞ!」

僕「はーい!」

一番上まで登った僕は、セルフビレイを取る。そして、アンカー構築、ハルさんに再度声を掛けた。

僕「ビレイ解除!」

ハル「はい!ビレイ解除…しました!」


そして、僕、懸垂下降♪得意技です(•᎑•)

下につくと、ハルさんはニコニコ携帯で録画していた…いつの間に(笑)

ハル「タカさんの懸垂…むふふ~♪」

おおぅ、マニアがいる♪
迷彩服じゃなくてもいいのか(笑)

僕「ほら、ハルさんも登ってみよう♪」

ハル「はい!お願いします(*^^*)」 



という訳で、しっかりクライミングを堪能した僕達は、帰りに山道具のお店に立ち寄った。

山に行くと、ギアを買い足したくなるのです。
そして、山道具は見ているだけでも楽しいのです。

気付けばギアに集中していて、ハルさんとバラバラになっていた。

僕「あれ?香山」

ロープ類のコーナーに香山を発見。
香山も僕に気付いた。

香山「おう。」

僕「仕事用の細引き(細い紐程度のロープ)見てるの?」

香山「いや、補助ロープがほしいんだが、太さをどうしようかと…」

僕「何に使うかによるねぇ…」

ハル「あ、タカさん!美希と偶然会いまして…あ、お友達ですか?」

僕「美希さん?」

ハルさんの声に振り返ると、ハルさんと、そのすぐ後ろにはもうひとりの女性がいた。
ハルさんと同じくらいの身長で、ふわふわのウェーブが掛かった長めの髪、彼女が美希さんか。

美希「こんにちは、初めまして。」

香山「?!」

…あ、後ろで香山が固まった!
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