人生前のめり♪

ナンシー

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68 競技会(銃剣道)

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部隊内の幹部会議の日。
小隊長、班長レベルのメンバーと中隊長による来月までの業務やイベント、休暇の日程調整等が話し合われる。
下からの要望などをこの会議でかけて、上奏することもある。

秋から冬にかけては、イベント盛り沢山。
まずは健康診断と、銃剣道の競技会がある。
銃剣道とは、剣道のような防具を身に着け、ライフル型の長銃の先に銃剣を装着した形の木銃を用いて戦う競技である。
大会の内容としては、男女別、階級別の個人戦と、連隊別の団体戦で、選手は抽選により選抜される。

うちの部隊の男性陣はそこそこ強いメンバーが揃っている。中でも指導官でもある黄瀬さんは、職務で足を痛めるまでは全国でも有数のジュウケンダー(銃剣道の選手)として名を馳せていた。

黄瀬「昨年は師団競技会で団体優勝したから、今年来られた大隊長が連覇せよ、いや、連覇したら嬉しいな~と(笑)」

僕「鋭意努力します。…予備自の訓練と見学者用の射撃訓練等ありますので、その対応や消防(宿直)勤務で、抽選をうまく配慮してくだされば…」

杦本「待て。見学者用の射撃訓練とは何か?」

僕「あ、今回外からの情報を入手。念頭に置いてほしいと思っていた案件である。
 管轄内の地方協力本部のツ○ートに上がっていた模様。来月頭の土曜から3週連続で射撃訓練見学者募集のお知らせが…。」

中隊長「何だそれ?聞いてないぞ。」

その場にいた全員がスマホで確認を始めた。たしかに、間違いなく、『見学者募集!』の文字と戦車が射撃した瞬間の写真が掲載されていた。
僕はハルさんから聞いていたのだが、実施する側がまさか誰も知らないとは…(;´Д`)

杦本「マジか…。外の人の方が先に知っているなんて…(-_-;)」

僕「あぁ~と、仮説で恐縮ですが、先々週この地区で自衛隊パレードを実施した際、師団長が参加されたことに関係があるのでは?」

中隊長「…有り得る。」

トップ トゥ ダウンで話が降りてくるのはよくあること。しかも師団長が自衛官募集や市民への広告塔として戦車を活かしたいと思っていることは、周知している。

中隊長「あー、この件は確認するとして、銃剣道に話を戻すと、女性の団体戦は今年こそ出せないか?」

黄瀬「それは…出すからには優勝を狙うということですね?」

もちろん、と言う顔で頷く中隊長に、皆は難しい顔をした。
うちの部隊は機甲科がメインで、設備や整備など後方支援の人間も多く必要となるせいか、普通科に比べて女性隊員率が高い方である。普通科の方が圧倒的に体力勝負なのが理由かもしれない。
例えるならば、大型トラックの運転手に女性は多く存在するが、ドカタの現場は男性が多い、と言ったところか?

人数的に団体戦が組めないことはないのだが、優勝できるかと言われると…。
フルマラソンを走るハルさんやハルさんの友人達を見ていると、女性隊員ワックより体力があるんじゃないかと思う。
いや、むしろ、女性隊員の体力のなさに驚く程なのだ。

黄瀬「もし連覇を狙うなら、ワックは個人戦に留めておいたほうがいいと思います。」

中隊長「なぜだ?一ヶ月以上あるから、今から鍛えれば…」

黄瀬「伸びしろを鑑みてもワックの優勝は厳しいかと。そちらに時間を使うより男性隊員の団体メンバーを鍛えたほうが確実に連覇に近づけるのでは?」

僕「自分もそう思います。運動能力と体力が、機甲科と普通科では比べ物にならないのが実情です。男性隊員ならば去年の実績もあるので、連覇も夢ではないと。」

中隊長「うぅむ、そうか。了解した。では、抽選に向けて全隊員訓練に励むこと。あとは業務との兼ねあいで調整するように。」

…う~ん、ハルさんに一度体力検定の内容について話をしてみたいな。彼女なら、全科目1級取れちゃうんじゃないだろうか?
同じ内容で一緒に運動してみないかな?(•᎑•)
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