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58 イベント(師団祭(案))
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大隊長室。
杦本と僕が呼ばれたので、二人で来ている。
デスクに座る大隊長の脇には、中隊長と芳川さん。
ん~、何やら嫌な予感しかしない(•᎑•)
大隊長「楽にしていい。」
杦本・僕「「はい!(休めの姿勢を取る)」」
大隊長「先日の救急搬送、見事な成績だったと聞いた。」
杦本・僕「「…。」」
大隊長「間もなく師団祭があるが、そこで同じことをして見せないか?」
救急搬送では、裏ワザ的なことをやった自覚はあった。74戦車を使った杦本と、リヤカーを使った僕(•᎑•)
大隊長もノリノリで、大いに楽しんでいた様子。でも成績も良かったというのは意外だなぁ(笑)
しかも、あれを師団祭という祭りの場でやれと?
あぁ…中隊長の真顔が怖い…止められなかったんですねぇ。
杦本「74で負傷者の輸送と言うことでしょうか?」
大隊長「そうだ。戦車連隊は今後機動部隊として再編が決まっている。現場で役に立つリアルなところを見せたい。」
杦本「はい。」
僕「74はともかく、僕のやったリヤカーはお笑い担当でしょうか?」
大隊長「お前はヘリの方だ。」
中隊長「お前、降下救助員の資格持っていただろう?」
僕「まさか…ホイストでありますか?」
UH-1J(自衛隊の主力ヘリコプター)で要救助者を救急搬送することがある。
命綱をつけて降下する救助員が要救助者をロープで吊り上げ、ヘリに収容することをホイストと言う。
UH-1Jに搭乗する救助員は准看護師や救急救命士等の公的資格の他、レンジャー資格を有すか、それに準じていなければならない。
大隊長「そうだ。ヘリからリペリング降下もできるだろう?」
僕「はい。要救助者発見、リペリング降下、応急処置、ホイスト。この流れを師団祭でやれと?」
大隊長「そうだ。飛行隊に既知も多いらしいな。」
僕「研修させていただきましたから。しかし、それは難しいのでは…」
大隊長「できるだろう?まさかできんのか?」
僕「できます。しかし…間延びしますよ?」
大隊長「間延び?」
僕「演習場じゃなく運動場で実施するとなると、偵察、撃ち合いからの機動、そこから安全確認、ヘリのホバリングする場の確保、それからリペリング後の応急処置とホイスト準備の間は銃撃戦できないですし…戦車とヘリとの兼ね合いでしーんとする時間が長くなります。」
中隊長「その間援護射撃は…厳しいか。」
杦本「街なかの狭いグランドでは…」
僕「ホイストは僕一人でも、地上で待つ誘導人員も必要です。衛生にはリペリングやホイストできる人員が他にはいません。
戦車が走り回る中に駆けつけるのではどこから何を言われるかわかりませんし…。
74での救急搬送はリアルで面白いと思いますので、派手でよいかと。」
大隊長「わかった。再考する。」
中隊長「戻って良い。」
杦本・僕「「はい!失礼します!」」
大隊長室を後にした杦本と僕はため息をついた。
杦本「お前だけ逃げたな…」
僕「だってやだよ、見た目より大変なのに間延びする地味な展示なんて。
やるとなったら2週間は訓練で缶詰めだろうし。」
杦本「ヘリはともかく、74で搬送はマジやる気だな。」
僕「だねぇ。でも芳川さんが一言も発しなかったのが不気味だよ…(@_@;)」
杦本「簡単には逃げられないだろうから、覚悟しとけ。」
僕「あ、やっぱり?う~ん。でもその前に駐屯地の創立記念が待ってるけどね?」
杦本「…それなんだが、74を9両出せるかとの打診があったぞ。」
僕「え?マジで?!今までの倍か…何する気なんだろう(@_@;)」
師団長は大隊長がまだ戦車乗りだった頃、同じ北海道の旅団で同じ釜の飯を食べた間柄だ。
つまり、師団長も大隊長と同じく戦車命の戦車バカ(あ、失礼!)だもんで、今年の師団祭りはきっとド派手にぶちかますことだろう…。その前に創立記念行事も大変なことになりそうな…今から皆で覚悟しとかなきゃ。
杦本と僕が呼ばれたので、二人で来ている。
デスクに座る大隊長の脇には、中隊長と芳川さん。
ん~、何やら嫌な予感しかしない(•᎑•)
大隊長「楽にしていい。」
杦本・僕「「はい!(休めの姿勢を取る)」」
大隊長「先日の救急搬送、見事な成績だったと聞いた。」
杦本・僕「「…。」」
大隊長「間もなく師団祭があるが、そこで同じことをして見せないか?」
救急搬送では、裏ワザ的なことをやった自覚はあった。74戦車を使った杦本と、リヤカーを使った僕(•᎑•)
大隊長もノリノリで、大いに楽しんでいた様子。でも成績も良かったというのは意外だなぁ(笑)
しかも、あれを師団祭という祭りの場でやれと?
あぁ…中隊長の真顔が怖い…止められなかったんですねぇ。
杦本「74で負傷者の輸送と言うことでしょうか?」
大隊長「そうだ。戦車連隊は今後機動部隊として再編が決まっている。現場で役に立つリアルなところを見せたい。」
杦本「はい。」
僕「74はともかく、僕のやったリヤカーはお笑い担当でしょうか?」
大隊長「お前はヘリの方だ。」
中隊長「お前、降下救助員の資格持っていただろう?」
僕「まさか…ホイストでありますか?」
UH-1J(自衛隊の主力ヘリコプター)で要救助者を救急搬送することがある。
命綱をつけて降下する救助員が要救助者をロープで吊り上げ、ヘリに収容することをホイストと言う。
UH-1Jに搭乗する救助員は准看護師や救急救命士等の公的資格の他、レンジャー資格を有すか、それに準じていなければならない。
大隊長「そうだ。ヘリからリペリング降下もできるだろう?」
僕「はい。要救助者発見、リペリング降下、応急処置、ホイスト。この流れを師団祭でやれと?」
大隊長「そうだ。飛行隊に既知も多いらしいな。」
僕「研修させていただきましたから。しかし、それは難しいのでは…」
大隊長「できるだろう?まさかできんのか?」
僕「できます。しかし…間延びしますよ?」
大隊長「間延び?」
僕「演習場じゃなく運動場で実施するとなると、偵察、撃ち合いからの機動、そこから安全確認、ヘリのホバリングする場の確保、それからリペリング後の応急処置とホイスト準備の間は銃撃戦できないですし…戦車とヘリとの兼ね合いでしーんとする時間が長くなります。」
中隊長「その間援護射撃は…厳しいか。」
杦本「街なかの狭いグランドでは…」
僕「ホイストは僕一人でも、地上で待つ誘導人員も必要です。衛生にはリペリングやホイストできる人員が他にはいません。
戦車が走り回る中に駆けつけるのではどこから何を言われるかわかりませんし…。
74での救急搬送はリアルで面白いと思いますので、派手でよいかと。」
大隊長「わかった。再考する。」
中隊長「戻って良い。」
杦本・僕「「はい!失礼します!」」
大隊長室を後にした杦本と僕はため息をついた。
杦本「お前だけ逃げたな…」
僕「だってやだよ、見た目より大変なのに間延びする地味な展示なんて。
やるとなったら2週間は訓練で缶詰めだろうし。」
杦本「ヘリはともかく、74で搬送はマジやる気だな。」
僕「だねぇ。でも芳川さんが一言も発しなかったのが不気味だよ…(@_@;)」
杦本「簡単には逃げられないだろうから、覚悟しとけ。」
僕「あ、やっぱり?う~ん。でもその前に駐屯地の創立記念が待ってるけどね?」
杦本「…それなんだが、74を9両出せるかとの打診があったぞ。」
僕「え?マジで?!今までの倍か…何する気なんだろう(@_@;)」
師団長は大隊長がまだ戦車乗りだった頃、同じ北海道の旅団で同じ釜の飯を食べた間柄だ。
つまり、師団長も大隊長と同じく戦車命の戦車バカ(あ、失礼!)だもんで、今年の師団祭りはきっとド派手にぶちかますことだろう…。その前に創立記念行事も大変なことになりそうな…今から皆で覚悟しとかなきゃ。
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