人生前のめり♪

ナンシー

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34 業務(演習場整備)

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本日の業務は、演習場の整備。
間もなく行われる実弾訓練のため、戦車道等の動線を確保し、標的を設置する。
これらは、すでに決定している訓練内容によって伐採や盛り土、草刈りも含めて隊員総出で行われる。
もちろん標的も隊員による手作りである。

今回は受閲部隊(検閲を受けるメインの敵陣営の隊)から、確認のためスナイパー中邑も来ていた。今は赤の台(的場)の方にいるはず。

僕「ん~、この角度だと伐採予定はあの木だと思うんだけどなぁ。」

杦本「…敵陣の方向は合っているが、砲台の高さから考えるとその隣の木じゃないか?印はついてないのか?」

僕「ああ、なるほど。場所はこの辺りなんだけど木の直径が指定のものより細いんだよね。」

香山「切るか( ✧Д✧)」

植野「切りましょう( ✧Д✧)」

僕「いや、そろそろ面倒くさくなってきただけでしょ?でもまあ、杦本が言うなら切るか♪」

香山「へいへいほ~♪」

植野「へいへいほー♪」

戦車道から車体を隠しながら移動し、敵陣を狙う。その際、弾道の邪魔にならないように、弾道上にある木を伐採していく。
本当の有事ならそんな事はするはずもないが、訓練のため、もし木に当たって砲弾が逸れたり暴発したりしたら…大事になることは間違いない。

そして、もうひとつ伐採に対して慎重になるのには理由がある。
それは、木の幹がある規定の太さ以上になると、国の財産ということで伐採するにも処分するにも許可が必要なのだ。
だから、予め調査し、許可のための書類を作成し、申請し、それが通って初めて伐採が可能になる。

僕「あ…やっぱり違った(-_-;)」

杦本「隣の木か?」

僕「もう一本奥の方の、あれ。」

杦本「あ…本当だ。あれ邪魔。」

植野「あー、太さは?あ、セーフ。」

香山「規定より細い!助かった…。」

間違って切ってしまうこともある。その間違った木が規定より太い場合、新たに申請をしなければならないからとても面倒なのだ(汗)

こちらはほぼ終わったので、標的の設置場所を見に行った。
すると、そこでは何やら揉めている?

隊員A「だから、角度が甘いって言ってるんです。規則には従ってやり直してください。」

隊員B「3度違うって誤差の範囲だろ?」


あー、なるほど。
僕らは近くで様子を見ていた中邑と合流した。

中邑「お疲れ様です。」

僕「乙~。暑い中ますますヒートアップしてるみたいだねぇ。」

中邑「できるんだけど、暑いしあんな言い方されては…って感じですよ。」

杦本「…戦車から見たら3度位変わらんが。」

香山「そもそも角度の規定は安全性を保つためという理由から来てるからな、3度違っていることで危険度が増すかと言われたら微妙だが。」

中邑「細かいこと言うなら自分でやれ!と言いたいところです。」

僕「そうだねぇ。中邑に言われるとみんな耳が痛いよ(笑)」

香山「そうだな、正確無比、ロボット中邑だもんな。」

中邑「俺は人には強要しませんが納得行くまでやりたい方ですから。」

射撃大会で日本一のスナイパー(狙撃手)中邑、演習の際はキッチリ自分とスポッター(狙撃手のバディ)の隠れる分の壕を掘る。
そして、銃口が収まる分だけキッチリ草を刈る。
それはもうキッチリ、そこに中邑がいると分かって凝視しても姿が見つけられないくらいキッチリ隠れ、何時間でも動かない。職人技を超え、その射撃の腕とも合わされば『ロボット』と称賛される正確無比な几帳面さである。

結局標的はきっちり3度修正されていました。
仕事とはいえ…乙~。
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