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病み系男子の一途な想い
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僕はこの世に要らない、要らない存在なんだ。
今日もカッターを手に取り、腕に持って行く。
赤い血、すごく痛い、少し怖い、でもこれで良い。
「…会い、たい……はぁ……」
会いたい人がいる時、どうしても会いたい時、そしてどうしても、会えない時…。
他の人は皆、どうしているのだろうか…?
僕は自傷行為で、気持ちを鎮めている。
僕の好きな人は、好きになっちゃダメな人…。
同性で、大人で、先生なんだから……。
「ずばり!皆、好きな人いる?」
「いきなり何」
「それな」
「えっいや…いるのかなって」
「……いる」
「…僕も、かな」
「…………え!?お前いたの!?」
「~~~ッ失礼な」
僕にだって…。
今まではいなかったけど、でも今は違う。
「どんな感じの人?」
「えっ……カッコいい系…?」
「お前……」
あ…しまった…。
普通は異性を思うよなぁ…。
「カッコいい系ってあんまいないタイプだろ!」
「あっ、え、うん…?」
「でもお前…そういう趣味だったか」
「えっ?どんな?」
「? いじめられたい、みたいな?」
「何それ?」
「は?」
「いや、いじめられたいって何?どういう系でいじめられたいの」
「えっ……」
「? あ、それとも違ってた?」
「いや、何でもない、忘れろ」
「?うん」
「なあなあ、何の話してんの?」
急に入ってきた友人。
「好きな人?がいるか、みたいな?」
「へえ?お前いるの?」
「まあ…一応は?」
「誰?気になる~」
「駿介(しゅんすけ)は?」
「俺?ん~…気になる程度の人なら?」
「へぇ…皆いるんだ?」
「そう言うアツシはどうなんだ?」
「いるけど何か?」
「…皆、一応はいるんだな」
「まあ、ね?」
「えっ何で僕を見るの」
「いんやぁ?まっさか空音(くおん)にもいるなんてなぁって」
「…まあ、結構辛いよね…」
「「え?何で」」
「へ?だって、好きな人いると辛くない?」
「そこまで…?てか、そもそも好きな人いて辛いことなんてない」
「それな」
皆、そんなに辛くないんだ…?
あれ?辛いのって、僕一人だけ?
「会いたい、とか…」
「まあそんくらいだよな」
「……確かに…そこまで辛いか?」
「俺は辛くない、むしろ嬉しい感じ?」
「あ~、ね」
「……そ、そっか…!」
辛いのは、僕だけなのか…。
会いたくて、会いたすぎて辛い、会っても何も出来なくて辛い…それは、違うのか…。
「体育、ダンスやんだってさ」
「うわ~マジか」
「ダンス…!!」
「えっもしかして…ダンス好き?」
「うん、すごく好き!」
えへへ、とわざと明るく笑う。
もうさっきのことはあまり考えないようにしよう、と。
「んじゃあ、一緒にペア組もうぜ」
「うん、やった!」
「ちょっと?俺のこと忘れてねぇ?」
「忘れてねぇって、大丈夫だよ(笑)」
「はい、ペア作って」
「なあなあ、空音」
「ん?何?」
「アツシじゃなくて、俺と組まねぇ?」
「でも、もうアツシと約束したし…」
「いやでも、ほら…アツシ、他の奴と組むらしいし」
駿介が指差した所に、アツシとクラスメイトがいた。
「何だ、忘れてんのかな」
「な?組もうぜ」
「うん」
僕は駿介と組むことになった。
「ねえ、空音」
「ん?」
「何で駿介と組んだ?」
「え?いやだって、アツシ他の人と組もうとしてたじゃん」
「違うよ…向こうが組もうって言ってきたんだけど…断ってたの」
「あ、そうなんだ?何かごめん」
アツシが僕の肩をガッと掴んできた。
「駿介に何か言われた?言われたの?」
「ちょ、どうしたの」
あっ…とアツシが軽く言い、僕の肩から手を離す。
「ううん、ごめん、何でもない…忘れて」
「うん…?」
よく分からなくて曖昧な返し方になってしまった。
「今日って、何曜日?」
「今日?水曜」
「ありがとう」
悟られぬように、心の中でガッツポーズをする。
今日は水曜日。
間違いなく、水曜日。
ちゃんと他の人にも確認した上でも、水曜日!
今日は、あの人がいる日だ!
「?変な空音」
「えっ……へ、変?」
変?なの?
危ない…あの人に会うのに、変な姿じゃ嫌だな…。
「ああいや、見た目が変とかじゃなくてさ」
「?じゃあ何が変なの」
「…いや、やっぱ何でもない」
「??変なのはそっちだよ?大丈夫?」
「あ、あのさ」
「何?」
「まだ、その……やってんの?」
「何を?」
「アームカット?だっけ?」
前に、傷跡を見られたのを思い出す。
「ああ、アムカ?うん、やってるけど…どうしたの」
傷跡を見られてから、僕は包み隠さずちゃんと話した。
「…何でやってんの?」
「………さあ?何でだろうね」
僕だって、やりたくてやってる訳じゃない…。
まあ、だったら辞めればいいだけの話なんだけど…。
あ…いや、前言撤回。
ごめん、やりたくてやってるや。
「自分を傷付けるのって、不適切行動、だっけ?中学で習ったよな?」
ああ、そう言えばそんなのやったっけなぁ。
「うん、でも…何で自分を傷付けたら不適切なんだろうね?他人を傷付けるのは不適切。それは僕すら分かることだけど、何で自分はダメなのかなぁ…」
確か、ずっと疑問に思っていた事だった。
だから覚えていれた。
「もっと…自分を大切にしろってことなんじゃない?」
だからって、不適切はなくないかな?
「ん~……じゃあ聞くけど、自傷行為をしている人が自分を対象としてストレスを解消したりしている訳です。
切ったり、縫ったり?色んな方法で。
ではもしも、その人達が自分を対象と見なさず、他の人を対象としてストレスを解消して行ったら?
それはどうなりますか」
「犯罪…?」
ごめんね、困らせちゃって。
でも、これしか方法がないんだ。
「そう、正解。
まあ仮に、犯罪になっても今自傷行為をしている人達が全員自分を対象と見なさなくなったら…結構危ないでしょう?
だから、僕は分からないかな…自傷行為が不適切な理由が」
ああ…悩んでる…。
本当に、ごめん。
「う、う~ん…そっか…まあでも……う~ん…」
「ごめんね、気にしないで」
「いや…うん」
まあ、変って言われたけど、見た目に問題がないなら良いかな。
続く
今日もカッターを手に取り、腕に持って行く。
赤い血、すごく痛い、少し怖い、でもこれで良い。
「…会い、たい……はぁ……」
会いたい人がいる時、どうしても会いたい時、そしてどうしても、会えない時…。
他の人は皆、どうしているのだろうか…?
僕は自傷行為で、気持ちを鎮めている。
僕の好きな人は、好きになっちゃダメな人…。
同性で、大人で、先生なんだから……。
「ずばり!皆、好きな人いる?」
「いきなり何」
「それな」
「えっいや…いるのかなって」
「……いる」
「…僕も、かな」
「…………え!?お前いたの!?」
「~~~ッ失礼な」
僕にだって…。
今まではいなかったけど、でも今は違う。
「どんな感じの人?」
「えっ……カッコいい系…?」
「お前……」
あ…しまった…。
普通は異性を思うよなぁ…。
「カッコいい系ってあんまいないタイプだろ!」
「あっ、え、うん…?」
「でもお前…そういう趣味だったか」
「えっ?どんな?」
「? いじめられたい、みたいな?」
「何それ?」
「は?」
「いや、いじめられたいって何?どういう系でいじめられたいの」
「えっ……」
「? あ、それとも違ってた?」
「いや、何でもない、忘れろ」
「?うん」
「なあなあ、何の話してんの?」
急に入ってきた友人。
「好きな人?がいるか、みたいな?」
「へえ?お前いるの?」
「まあ…一応は?」
「誰?気になる~」
「駿介(しゅんすけ)は?」
「俺?ん~…気になる程度の人なら?」
「へぇ…皆いるんだ?」
「そう言うアツシはどうなんだ?」
「いるけど何か?」
「…皆、一応はいるんだな」
「まあ、ね?」
「えっ何で僕を見るの」
「いんやぁ?まっさか空音(くおん)にもいるなんてなぁって」
「…まあ、結構辛いよね…」
「「え?何で」」
「へ?だって、好きな人いると辛くない?」
「そこまで…?てか、そもそも好きな人いて辛いことなんてない」
「それな」
皆、そんなに辛くないんだ…?
あれ?辛いのって、僕一人だけ?
「会いたい、とか…」
「まあそんくらいだよな」
「……確かに…そこまで辛いか?」
「俺は辛くない、むしろ嬉しい感じ?」
「あ~、ね」
「……そ、そっか…!」
辛いのは、僕だけなのか…。
会いたくて、会いたすぎて辛い、会っても何も出来なくて辛い…それは、違うのか…。
「体育、ダンスやんだってさ」
「うわ~マジか」
「ダンス…!!」
「えっもしかして…ダンス好き?」
「うん、すごく好き!」
えへへ、とわざと明るく笑う。
もうさっきのことはあまり考えないようにしよう、と。
「んじゃあ、一緒にペア組もうぜ」
「うん、やった!」
「ちょっと?俺のこと忘れてねぇ?」
「忘れてねぇって、大丈夫だよ(笑)」
「はい、ペア作って」
「なあなあ、空音」
「ん?何?」
「アツシじゃなくて、俺と組まねぇ?」
「でも、もうアツシと約束したし…」
「いやでも、ほら…アツシ、他の奴と組むらしいし」
駿介が指差した所に、アツシとクラスメイトがいた。
「何だ、忘れてんのかな」
「な?組もうぜ」
「うん」
僕は駿介と組むことになった。
「ねえ、空音」
「ん?」
「何で駿介と組んだ?」
「え?いやだって、アツシ他の人と組もうとしてたじゃん」
「違うよ…向こうが組もうって言ってきたんだけど…断ってたの」
「あ、そうなんだ?何かごめん」
アツシが僕の肩をガッと掴んできた。
「駿介に何か言われた?言われたの?」
「ちょ、どうしたの」
あっ…とアツシが軽く言い、僕の肩から手を離す。
「ううん、ごめん、何でもない…忘れて」
「うん…?」
よく分からなくて曖昧な返し方になってしまった。
「今日って、何曜日?」
「今日?水曜」
「ありがとう」
悟られぬように、心の中でガッツポーズをする。
今日は水曜日。
間違いなく、水曜日。
ちゃんと他の人にも確認した上でも、水曜日!
今日は、あの人がいる日だ!
「?変な空音」
「えっ……へ、変?」
変?なの?
危ない…あの人に会うのに、変な姿じゃ嫌だな…。
「ああいや、見た目が変とかじゃなくてさ」
「?じゃあ何が変なの」
「…いや、やっぱ何でもない」
「??変なのはそっちだよ?大丈夫?」
「あ、あのさ」
「何?」
「まだ、その……やってんの?」
「何を?」
「アームカット?だっけ?」
前に、傷跡を見られたのを思い出す。
「ああ、アムカ?うん、やってるけど…どうしたの」
傷跡を見られてから、僕は包み隠さずちゃんと話した。
「…何でやってんの?」
「………さあ?何でだろうね」
僕だって、やりたくてやってる訳じゃない…。
まあ、だったら辞めればいいだけの話なんだけど…。
あ…いや、前言撤回。
ごめん、やりたくてやってるや。
「自分を傷付けるのって、不適切行動、だっけ?中学で習ったよな?」
ああ、そう言えばそんなのやったっけなぁ。
「うん、でも…何で自分を傷付けたら不適切なんだろうね?他人を傷付けるのは不適切。それは僕すら分かることだけど、何で自分はダメなのかなぁ…」
確か、ずっと疑問に思っていた事だった。
だから覚えていれた。
「もっと…自分を大切にしろってことなんじゃない?」
だからって、不適切はなくないかな?
「ん~……じゃあ聞くけど、自傷行為をしている人が自分を対象としてストレスを解消したりしている訳です。
切ったり、縫ったり?色んな方法で。
ではもしも、その人達が自分を対象と見なさず、他の人を対象としてストレスを解消して行ったら?
それはどうなりますか」
「犯罪…?」
ごめんね、困らせちゃって。
でも、これしか方法がないんだ。
「そう、正解。
まあ仮に、犯罪になっても今自傷行為をしている人達が全員自分を対象と見なさなくなったら…結構危ないでしょう?
だから、僕は分からないかな…自傷行為が不適切な理由が」
ああ…悩んでる…。
本当に、ごめん。
「う、う~ん…そっか…まあでも……う~ん…」
「ごめんね、気にしないで」
「いや…うん」
まあ、変って言われたけど、見た目に問題がないなら良いかな。
続く
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