同性愛者楽園

雪だるま

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生徒会の王子様3

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「紹介してあげるよ。

   村上 夏樹をね。ただし、条件付きでね」

「……は?」
「本当だよ。実は知り合いだったんだ」
「前の学校が同じとか?」
「違うかな」
「危ない目にあった時に助けてもらったとか?」
「それも違う」
「じゃあ、その逆?」
「さぁね?」
「んで、条件って?」
「卓球部じゃなくて吹奏楽部に入って」
「なんでだよ…」
「卓球部だけはダメ絶対!いい?」
「……まあ…別に……」
「大丈夫、良い結果になるから」
「……あいつが居ない部活に入って何になるんだ…?」
「大丈夫だって!」
「………まぁ、いいか。それで、紹介してくれるよな?」
「うん、いいよ。明日は、休みだよね?空いてる?」
「明日…は…確か空いてる」
「じゃあ、明日午前九時に〇〇動物園集合」
「なんで動物園?」
「夏樹が動物好きでさ、よく行ってるんだよ」
ズキッ
夏樹…夏樹さんじゃないんだな…。
もう普通に名前を呼び合ってる仲か…。
俺もそうなれるかな…?
名前を呼び合うだけじゃなくて…恋人としてデートしたり出来ないかな…?

~翌日~

「三宮君!こっちこっち」
「あ、ああ…」
「…あれ?君、ティッシュ落とした一年生?」
「よく覚えてますね」
「そういう性格でね」
「そうですか…」
「じゃあ、水族館行こ~!」
「…え、動物園は?」
「あれは悪魔でも集合のため。ここから出てるバス一本で水族館に行けるんだよ」
「なるほど」
「はは、全く…水族館好きは変わってないな」
ズキンッ
水族館好きは変わってないな…?
変わってないなってどういう事…?
もしかして普通に遊びに行ってた仲?
それとも交際していた仲?
それにしては気まずい雰囲気が出てないな…。
ああ、何か嫌だな…。
せっかく好きな村上さんが居るっていうのに…。
こんな事でヤキモチ妬くなんてダメだな。
「はぁ…」
「ん?バス酔い?」
「…あ、え~っと…多分、バス酔いです」
「タメ口で良いよ。三宮君」
み、三宮君って言ってた!?
ヤバい、めっちゃ嬉しいんだけど!!
「わ、分かりました…あ、分かった」
「僕の事、夏樹でも村上でも呼んでいいよ」
「じゃあ、夏樹で」
「うん、いいよ。改めてよろしく。三宮君」
「よろしく、夏樹!」
もうめっちゃ嬉しい!
夏樹って呼べる、普通に話せてる、一緒に居る!
もう今日は良い一日になりそうだなぁ。
「三宮君はどの部活に入ろうとしてるの?」
「卓球…じゃなくて、吹奏楽部に入ろうかなって」
「吹部なの?僕、吹部なんだ。一緒だね」
「…え?卓球部の部活紹介に居たよね?」
「あー、あれは…卓球部が危機的状況下にあるからって、僕が何故か出る事になっちゃってさ。何か僕が居る部活は部員が多くなるらしいから」
「モテモテだから…?」
「モテを狙って行動した事なんて無いなぁ…」
「ツンデレだから?」
「ツンデレ?僕が?」
「あ、いや、忘れて」
「…クスッ…本当なんだね」
「…え?」
「僕に好意を持ってるって事」
「だ、だ、誰から聞いて…!?」
「内緒。いいよ、僕で良ければ」
「え…?」
「付き合ってあげても良いよ」
「……」
嬉しかった言葉のはずなのに、何か嫌だ…。
「いや、結構です。今の気持ちのまま恋人になっても長続きしないし。それに俺、追う恋初めてだから、どれが正しいのか分からないけど…きっと今の言葉をバカ正直に信じていたらダメじゃないかって思って…」
「…フフ、やっぱり本当だ。うん、僕もまだ恋人になるつもりないよ」
「そ…ですか」
やっぱりか…あーあ…くそ。
嘘でも付き合ってる設定作ったほうが良かったのか??
でも…夏樹の気持ちが…あぁぁぁあ!!
なんでだよ!!
惚れさせちまえばいいだろ!?
男らしく無ェよ、これじゃあ!!
「完全に僕のこと忘れてるよね…」
「え、あ、いや…忘れてなんかナイヨ~」
「ごめんごめん、ちょっと話が深くなっちゃってたね」
「まぁ、別にいいさ。早く水族館に入ろ」
「あ、もう開館時間だ」
「快感時間?」
「変換が間違ってるよ…。開館時間。水族館が開く時間」
「あ~、なるほど」
コソッと俺に水野(名前忘れたァ!)が耳打ちしてきた。
「気を付けろよ、夏樹さ、水族館とかに行ったらマジヤバいから」
「あ、ああ…」
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