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四季の香り
しおりを挟むピロン、と一通のメールが届く。
彼女からだった。
『ごめんなさい。もう限界なの。別れよう』
短く、そう書かれていた。
僕の何が悪かったのか、分からなかった。
デートもちゃんと計画を立てて、楽しいデートだと思ってくれるように頑張った。
一体、何がダメだったのか…。
しかしそうは考えても意味がない。
『分かった』
こちらも短く返した。
すると、すぐに返事が返ってきた。
『何ですら、問いかけてくれないんだね。でも、今までありがとう』
何故と問いかければ良かったのか…。
本当に分からなかった。
~次の日~
今日は運良く学校が休みだ。
元カノと別れたため、休みはとても有り難い。
『流璃(るり)、今日暇?』
昨晩の出来事があまりに現実味を帯びていないため、云々と考えていた時、男友達から一通のメールが届いた。
『暇じゃない』
そう打ったが、一瞬悩み
『愚痴、聞いてくれる?』
と打ち直して友人に送った。
『ん?良いよ~』
返事はすぐに返ってきた。
『じゃ、俺今〇〇公園にいるから来て』
続いて届いてくる。
『分かった』
簡単に返し、〇〇公園へと向かう。
「お~、流璃~」
友達は僕の姿を見つけ、声を掛けた。
「山音(やまね)、お前ボッチなの…?」
友人の山音が一人でボウっとしていた姿が遠くから見えたため、そう聞く。
「んなッ!失礼な!俺はお前が愚痴りたい言ってたから一人なんだよ!俺の親切心!!」
「ははッ、ごめんな。 昨日、彼女と別れたんだ」
「…え…」
唐突に「彼女と別れた」なんて言われれば、大体はキョトンとするだろう。
山音も今、キョトンとしている。
「そうか~…、うん、そうか…」
と山音は言葉を濁し
「まあ、他にも良い相手がいるさ」
そう返した。
「…うん。正直何がダメだったのか、分からないんだ」
「そうか。でも瑠璃も瑠璃なりに頑張ってたもんな。俺は瑠璃の頑張ってるの、よく見てるから知ってる。頑張ったな」
山音はそう言い、瑠璃の頭を撫でた。
「うん…。ありがと、山音」
撫でられながら、瑠璃は涙を流していく。
「山音…、僕、本当に何がダメだったんだろう…?僕は頑張ってるって思ってたのに…。口の利き方とかも色々、考えてた…ッ、なのに、何で…」
気が付くと泣きながら、そう聞いていた。
「そうだな。瑠璃に悪い所はきっと無かったよ。大丈夫大丈夫。瑠璃は今、泣いているだろう?それが本当に頑張って来た印だよ」
と、山音は瑠璃を責めず、慰める。
「もう、終わる恋なんてしたくない…ッ、終わらない恋が、したい…。こんな哀しい結末なんてもう嫌だ…ッ!嫌、だよ…ッ」
瑠璃自身でも、自分が一体何を口走っているのか分からなかった。
ただ分かるのは今、山音に何かを求めている、ということのみ。
「分かった。俺は瑠璃とずっと一緒に居たい。瑠璃は、どう?俺と、ずっと一緒に居たい?」
少し間を置いて山音がそう言った。
「山音…、僕は…ッ」
~数十年後~
「~~ッ!??」
瑠璃は夢を見ていた。
数十年前に恋をしていた相手の夢。
「?瑠璃、どうした?」
寝起きのボヤけた視界がハッキリ見えてくると今のセフレ、優瀬(ゆうせ)が陽の光が差し込んでくるカーテンの近くに服を着て居た。
「嗚呼いや…、昔の夢を見てた。もう大したことのない、ただの思い出」
そう、夢で見たことは全て夢。
アレらはもう、忘れることにしたんだ。
「そうか」
優瀬は軽くそう流し、嗚呼そうだ、と言葉を続ける。
「お前、電話来てたぞ。山音?ってヤツから」
「山音……、嗚呼、昔の友人。同窓会とかかな」
「山音」という言葉を聞き、心臓のドクドクという嫌な音が聴こえてくる。
「へぇ。昔の友人、ねぇ?」
優瀬が意味深な笑みを浮かべながら返す。
「何だよ。別に良いでしょ、僕だって過去に友人だって居たんだ。優瀬にも居たように」
「別に?ただ何となく瑠璃、ソイツのこと好きなのかな~って思っただけ」
図星を突かれ、瑠璃は言い返す言葉が無かった。
「へえ?もしかして当たってた?」
「違う。そもそも、今は好きな人いないし。それに、どうでも良いだろう?」
早くこの話を終わらせたい。
瑠璃の頭の中はその言葉を無意識に繰り返す。
「ん~、そうだな。別にどうでも良いよな。俺はただのセフレだし。まあ、セフレだから今もヤっても良いよな」
「はぁ?今は起きたばっかーーーーーッッッッ!?」
続く(?)
彼女からだった。
『ごめんなさい。もう限界なの。別れよう』
短く、そう書かれていた。
僕の何が悪かったのか、分からなかった。
デートもちゃんと計画を立てて、楽しいデートだと思ってくれるように頑張った。
一体、何がダメだったのか…。
しかしそうは考えても意味がない。
『分かった』
こちらも短く返した。
すると、すぐに返事が返ってきた。
『何ですら、問いかけてくれないんだね。でも、今までありがとう』
何故と問いかければ良かったのか…。
本当に分からなかった。
~次の日~
今日は運良く学校が休みだ。
元カノと別れたため、休みはとても有り難い。
『流璃(るり)、今日暇?』
昨晩の出来事があまりに現実味を帯びていないため、云々と考えていた時、男友達から一通のメールが届いた。
『暇じゃない』
そう打ったが、一瞬悩み
『愚痴、聞いてくれる?』
と打ち直して友人に送った。
『ん?良いよ~』
返事はすぐに返ってきた。
『じゃ、俺今〇〇公園にいるから来て』
続いて届いてくる。
『分かった』
簡単に返し、〇〇公園へと向かう。
「お~、流璃~」
友達は僕の姿を見つけ、声を掛けた。
「山音(やまね)、お前ボッチなの…?」
友人の山音が一人でボウっとしていた姿が遠くから見えたため、そう聞く。
「んなッ!失礼な!俺はお前が愚痴りたい言ってたから一人なんだよ!俺の親切心!!」
「ははッ、ごめんな。 昨日、彼女と別れたんだ」
「…え…」
唐突に「彼女と別れた」なんて言われれば、大体はキョトンとするだろう。
山音も今、キョトンとしている。
「そうか~…、うん、そうか…」
と山音は言葉を濁し
「まあ、他にも良い相手がいるさ」
そう返した。
「…うん。正直何がダメだったのか、分からないんだ」
「そうか。でも瑠璃も瑠璃なりに頑張ってたもんな。俺は瑠璃の頑張ってるの、よく見てるから知ってる。頑張ったな」
山音はそう言い、瑠璃の頭を撫でた。
「うん…。ありがと、山音」
撫でられながら、瑠璃は涙を流していく。
「山音…、僕、本当に何がダメだったんだろう…?僕は頑張ってるって思ってたのに…。口の利き方とかも色々、考えてた…ッ、なのに、何で…」
気が付くと泣きながら、そう聞いていた。
「そうだな。瑠璃に悪い所はきっと無かったよ。大丈夫大丈夫。瑠璃は今、泣いているだろう?それが本当に頑張って来た印だよ」
と、山音は瑠璃を責めず、慰める。
「もう、終わる恋なんてしたくない…ッ、終わらない恋が、したい…。こんな哀しい結末なんてもう嫌だ…ッ!嫌、だよ…ッ」
瑠璃自身でも、自分が一体何を口走っているのか分からなかった。
ただ分かるのは今、山音に何かを求めている、ということのみ。
「分かった。俺は瑠璃とずっと一緒に居たい。瑠璃は、どう?俺と、ずっと一緒に居たい?」
少し間を置いて山音がそう言った。
「山音…、僕は…ッ」
~数十年後~
「~~ッ!??」
瑠璃は夢を見ていた。
数十年前に恋をしていた相手の夢。
「?瑠璃、どうした?」
寝起きのボヤけた視界がハッキリ見えてくると今のセフレ、優瀬(ゆうせ)が陽の光が差し込んでくるカーテンの近くに服を着て居た。
「嗚呼いや…、昔の夢を見てた。もう大したことのない、ただの思い出」
そう、夢で見たことは全て夢。
アレらはもう、忘れることにしたんだ。
「そうか」
優瀬は軽くそう流し、嗚呼そうだ、と言葉を続ける。
「お前、電話来てたぞ。山音?ってヤツから」
「山音……、嗚呼、昔の友人。同窓会とかかな」
「山音」という言葉を聞き、心臓のドクドクという嫌な音が聴こえてくる。
「へぇ。昔の友人、ねぇ?」
優瀬が意味深な笑みを浮かべながら返す。
「何だよ。別に良いでしょ、僕だって過去に友人だって居たんだ。優瀬にも居たように」
「別に?ただ何となく瑠璃、ソイツのこと好きなのかな~って思っただけ」
図星を突かれ、瑠璃は言い返す言葉が無かった。
「へえ?もしかして当たってた?」
「違う。そもそも、今は好きな人いないし。それに、どうでも良いだろう?」
早くこの話を終わらせたい。
瑠璃の頭の中はその言葉を無意識に繰り返す。
「ん~、そうだな。別にどうでも良いよな。俺はただのセフレだし。まあ、セフレだから今もヤっても良いよな」
「はぁ?今は起きたばっかーーーーーッッッッ!?」
続く(?)
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