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※注意※非常に鬱な話なので暗い話が苦手な人は閲覧を控えて下さい。
自分自身の生まれ持った性別を素直に「好きだ」と思える人がいたら羨ましいと思う。
自分の場合は「No」だ。
大人になった今でも、自分が女だと言う事実に吐き気や嫌悪を感じてしまう。
向いていない、資格が無いのに自分に合わないものを押し付けられて、まるで障害を持って生まれて来た気分になる。
かと言って「女」と言う種族そのものが嫌いなわけではない。
寧ろ、見た目も心も、素直に女性らしい人を見るととてもキラキラしていて綺麗だと感じる。これが「本当」だ「真実」だと感じる。
だが、自分に目を移すと、やはり紛い物がそこにいると感じてしまう。
自分の性別が歪んだ理由は何だろう。
殆ど男から虐めを受ける事が多かったせいか?
それか、それとは関係なく昔から、「女の子はスカートで、可愛いものを好み、男の子の後ろに立って愛されるように振る舞い、愛しているから何でも我慢しなさい」と言うような、教科書や周りからの圧力が苦手で、それから逃げ出すような事を選んでいたから元からだったかも知れない。
異性に興味を持つのも遅かったかも知れない。
高校生までは男性的なものより、女性的なものにドキドキする方が多かった。でも多分それは体が未発達だったせいだと思う。
でも、そこまでならまだマシで、それだけの事ならばまだ引き返せたかも知れない。
あの出来事が無ければここまで酷く壊れたものにならなかっただろう。
高校生の時、一時だけ絵画の教室に通っていた。
ある時、そこで講師に自分の描いた絵を見てもらった。男の講師だった。
生と死をテーマにアクリル絵の具で描いた白い椿と枯れた椿の抽象画。宇宙の誕生とかそう言ったものが自分なりに描けて気に入っていた。
しかし、貰った言葉は良いものではなかった。
「ああ、女が考えそうな内容の絵だな。」
講師はつまらない物を見るかのように言い放った。
そしてその言葉の意味が今ひとつ理解出来ない、いや理解を拒否してる内に、進路の話も出て来てこう言われた。
「まあ君には君の人生があるし、絵を描く人生なんかやめて、普通に結婚とかして女としての人生でも考えたら?」
講師は馬鹿にしたように笑いながら言っていた。
まだ、単純に救いようがない下手さとか、配色をもっと研究しろとか、そう言うアドバイスだったら素直に聞けただろう。
講師の言葉や態度を考えた末、彼が「女の考える事に価値なんてない」と言ってるのだと思ってしまった。
また、女や結婚というのを負け犬の行き先のように言っているようにも聞こえてしまった。
その言葉は思うよりも自分を悪い方に変えてしまったように思える。
大人の今の自分だったら広い目で「昔の固い考えだな」で切り替え出来たと思うが、その頃の自分は年齢的にも精神的にも幼く、先生は正しいと思っていたから、言われるままそれが正しくて自分は間違いだと思い込んでしまった。
今の時代のように気軽にSNSで誰かに相談できれば良かったが、当時は家のネット環境も良くなく、時代的にもSNSは出たばかりでそれが出来る所ではなかった。
私はその事件の後、絵を伸び伸びと描けなくなった。
アイディアが浮かんでも、女性的で、理性が伴ってなければ止めた。いつしかそう言ったものを切り捨てる癖がついた。
「女みたいな絵」と馬鹿にされるのが怖かったからだ。
わざと、本質的に向いていないのに、男が好みそうな絵を描くようになって行った。性的過ぎる女性の裸も、下品過ぎるものも、描けないと駄目なんだと思って描くようになった。
最初は自分でも引いていた、でもこれが正しいと思い込んで、もう一人の自分が止めてたかも知れないものを心の隅に追いやるようになった。
他、似たような事件としてこんな事があった。
子供の頃、好きな少年漫画家がいて、その作者が女性だと判明した時の事。
運の悪い事に民度の悪い掲示板の記事を見てしまった。
そこに書かれていたのは「女だから戦闘が面白くない」「女だからエロが描けない」「女だからこれが分からない」「女だから子供や出産シーンを描きたがる」など見ていて苦しい言葉ばかりだった。
これも今ならば、偏見に過ぎず反対側にある良い所をに目を瞑っているだけ、と自己処理出来たかも知れない。
ここで自分が学んだ事は、女が男の扱うものに首を突っ込むと、批判をされるという事。
だから、自分を女だと周りに言うのを絶対止めよう。バレないように振舞おうと考えるようになった。
この過去の出来事の後、私はそのトラウマと言うべき教訓を背に創作を続けた。
そして男のフリをする、歪な存在になった。
やがて現代になって--。
今では女性が少年漫画を描こうが、女性が男の物を作ったりしようが、あまり批判をされなくなった。
自分の性別を公表しながら、好きな事をやれる価値観に時代が変わっていた。
つまり、自分のやって来た事に、多分、もう意味はなかったのだ。
価値観が変化し過ぎて、今更、女性らしいもので面白いものを作る事も出来ない。
そして、体と心は年を取る程、生殖器からくるホルモンの働きや体力の変化によって歪められて女になっていき、男向けのものなど作る事は難しくなっていった。
どっちにもなれない存在。そんな要らない自分だけが残った。
今までの生き方に後悔しているかどうかはもう分からない。あまりにも長い時間が過ぎてしまったから。
似た境遇がおらず恐らく相談も出来ない。自業自得という言葉だけが返ってくるのは確か。
このまま行くか、終わらせるか。
目の前は吹雪いていて、暫く見えそうにない。
自分自身の生まれ持った性別を素直に「好きだ」と思える人がいたら羨ましいと思う。
自分の場合は「No」だ。
大人になった今でも、自分が女だと言う事実に吐き気や嫌悪を感じてしまう。
向いていない、資格が無いのに自分に合わないものを押し付けられて、まるで障害を持って生まれて来た気分になる。
かと言って「女」と言う種族そのものが嫌いなわけではない。
寧ろ、見た目も心も、素直に女性らしい人を見るととてもキラキラしていて綺麗だと感じる。これが「本当」だ「真実」だと感じる。
だが、自分に目を移すと、やはり紛い物がそこにいると感じてしまう。
自分の性別が歪んだ理由は何だろう。
殆ど男から虐めを受ける事が多かったせいか?
それか、それとは関係なく昔から、「女の子はスカートで、可愛いものを好み、男の子の後ろに立って愛されるように振る舞い、愛しているから何でも我慢しなさい」と言うような、教科書や周りからの圧力が苦手で、それから逃げ出すような事を選んでいたから元からだったかも知れない。
異性に興味を持つのも遅かったかも知れない。
高校生までは男性的なものより、女性的なものにドキドキする方が多かった。でも多分それは体が未発達だったせいだと思う。
でも、そこまでならまだマシで、それだけの事ならばまだ引き返せたかも知れない。
あの出来事が無ければここまで酷く壊れたものにならなかっただろう。
高校生の時、一時だけ絵画の教室に通っていた。
ある時、そこで講師に自分の描いた絵を見てもらった。男の講師だった。
生と死をテーマにアクリル絵の具で描いた白い椿と枯れた椿の抽象画。宇宙の誕生とかそう言ったものが自分なりに描けて気に入っていた。
しかし、貰った言葉は良いものではなかった。
「ああ、女が考えそうな内容の絵だな。」
講師はつまらない物を見るかのように言い放った。
そしてその言葉の意味が今ひとつ理解出来ない、いや理解を拒否してる内に、進路の話も出て来てこう言われた。
「まあ君には君の人生があるし、絵を描く人生なんかやめて、普通に結婚とかして女としての人生でも考えたら?」
講師は馬鹿にしたように笑いながら言っていた。
まだ、単純に救いようがない下手さとか、配色をもっと研究しろとか、そう言うアドバイスだったら素直に聞けただろう。
講師の言葉や態度を考えた末、彼が「女の考える事に価値なんてない」と言ってるのだと思ってしまった。
また、女や結婚というのを負け犬の行き先のように言っているようにも聞こえてしまった。
その言葉は思うよりも自分を悪い方に変えてしまったように思える。
大人の今の自分だったら広い目で「昔の固い考えだな」で切り替え出来たと思うが、その頃の自分は年齢的にも精神的にも幼く、先生は正しいと思っていたから、言われるままそれが正しくて自分は間違いだと思い込んでしまった。
今の時代のように気軽にSNSで誰かに相談できれば良かったが、当時は家のネット環境も良くなく、時代的にもSNSは出たばかりでそれが出来る所ではなかった。
私はその事件の後、絵を伸び伸びと描けなくなった。
アイディアが浮かんでも、女性的で、理性が伴ってなければ止めた。いつしかそう言ったものを切り捨てる癖がついた。
「女みたいな絵」と馬鹿にされるのが怖かったからだ。
わざと、本質的に向いていないのに、男が好みそうな絵を描くようになって行った。性的過ぎる女性の裸も、下品過ぎるものも、描けないと駄目なんだと思って描くようになった。
最初は自分でも引いていた、でもこれが正しいと思い込んで、もう一人の自分が止めてたかも知れないものを心の隅に追いやるようになった。
他、似たような事件としてこんな事があった。
子供の頃、好きな少年漫画家がいて、その作者が女性だと判明した時の事。
運の悪い事に民度の悪い掲示板の記事を見てしまった。
そこに書かれていたのは「女だから戦闘が面白くない」「女だからエロが描けない」「女だからこれが分からない」「女だから子供や出産シーンを描きたがる」など見ていて苦しい言葉ばかりだった。
これも今ならば、偏見に過ぎず反対側にある良い所をに目を瞑っているだけ、と自己処理出来たかも知れない。
ここで自分が学んだ事は、女が男の扱うものに首を突っ込むと、批判をされるという事。
だから、自分を女だと周りに言うのを絶対止めよう。バレないように振舞おうと考えるようになった。
この過去の出来事の後、私はそのトラウマと言うべき教訓を背に創作を続けた。
そして男のフリをする、歪な存在になった。
やがて現代になって--。
今では女性が少年漫画を描こうが、女性が男の物を作ったりしようが、あまり批判をされなくなった。
自分の性別を公表しながら、好きな事をやれる価値観に時代が変わっていた。
つまり、自分のやって来た事に、多分、もう意味はなかったのだ。
価値観が変化し過ぎて、今更、女性らしいもので面白いものを作る事も出来ない。
そして、体と心は年を取る程、生殖器からくるホルモンの働きや体力の変化によって歪められて女になっていき、男向けのものなど作る事は難しくなっていった。
どっちにもなれない存在。そんな要らない自分だけが残った。
今までの生き方に後悔しているかどうかはもう分からない。あまりにも長い時間が過ぎてしまったから。
似た境遇がおらず恐らく相談も出来ない。自業自得という言葉だけが返ってくるのは確か。
このまま行くか、終わらせるか。
目の前は吹雪いていて、暫く見えそうにない。
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