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淡雪 嵐を呼ぶ文を受け取る
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はぁ~、もう自分の部屋にいても安らげないなんて、最悪だよ。
午後のお茶を飲んで、ほけ~としてると、何を勘違いしたのか淡路が
「淡雪様、宝珠を頂くまでお寂しいでしょうが《《、宝珠を頂いた暁には、直江様と心ゆくまでお睦み、励まれあそばせ」
「淡雪様が西蓮寺家のお血筋にお心をくだかれたのです。私共、西蓮寺家侍女一丸となり、閨でのお勤めをお助けいたしますからご安心くださりませ。」
と含みを持った表情でいうのだ。
ただ本当にほけ~としてただけなのに・・・
女性から赤裸々に性生活を後押しされる日が来るなんて・・・
そういうところはデリケートな問題で、秘するとか、暈すとこじゃないか?
それを開けすけに、しかも真っ昼間から平然というって、ちょっと信じられないんですけど。
淡路から日常的にセクハラ紛いにいわれるそのせいか、僕の周りの侍女達も何らや含みを持った目で僕を見ている気がする。
被害妄想かもしれないけどさ、何というか、興味津々で他人の寝室を覗き見るようなイヤらしい視線っていうかさ、そういうの。
その中に晒されてみろよ。
そんなことはないものまでそう思えて、恥ずかしさに転げ回り、何をするにも居たたまれなくて一挙手一投足にビクついてしまう。
それはもう、ごっそりと僕から安らぎを削っていくのだから、もうね、精神的にヘロヘロ。
身体を休めないもの辛いけど、精神的に安らげないのはもっと辛いと身を持って知ったわ。
元気ハツラツなのは、直江の初子に燃える淡路と斜め67度の思考の九重にふたりに感化されて何故か盛り上がった晴、随行の侍女達だけだ。
都筑が女性陣の盛り上がりにドン引きして、反対に冷静なのが唯一の救いだよ。
えっ?直江?
・・・察してください・・・
僕は清いままです。
その直江といえば、陛下に召されたにも関わらず、まだ御前に伺候していない。
というか、帝都に着いて、直ぐに衣を改め参内したのだが、陛下の病状が芳しくないため、”暫し、帝都に逗まるように。追って日を知らせる“といわれたそうだ。
いつ命が下されるかわからないため、身動きがとれず、神殿に宝珠を授かりに行くこともできない。
無為な日を送る直江のイライラはピークに達していて機嫌が悪い悪い。
日々の鍛錬はいまやストレス緩和の一環となり、厳しさを増して怪我人が続出しているとか。
はぁ~、どうしてこうなったんだか。
そんな中、一通の文が西蓮寺家帝都邸に嵐を巻き起こした。
「あ、淡雪様~い、いっ、一大事です~」
叫び声まがいの晴の声とドタンという派手な音が聞こえた。
あっ、晴、転んだな。
何をそんなに慌てる必要があるんだろう?
考えられるとしたら、直江がとうとうブチ切れて殴り込みにいった?いやいや、いくらなんでもそれは無いわ~。
殴り込む前に光顕や忠勝が止めるだろう。
第一、直江はどっちかというと、”もういい“とばかりに領地に引き揚げるタイプだし、引き揚げ支度でここまで慌てる必要もない。
なら何だ?
ドアが勢いよく開き、晴が引っった真っ青な顔をして飛び込んできた。
「あ、淡雪様~・・・先ずは~こちらを」
と差し出してきた1輪の白い萩に結ばれた紅紫色の文。
焚き染められた華やか艷やかな香り。
ひと目みて、高貴な辺からの物だとわかった。
う~ん、僕にこんな優美な文を送ってくる知り合いは千秋を除くと皆無だ。
その千秋の文なら晴がここまで慌てふためくことはないし。
なら、誰だよって話になる。
はっ、まさか、巷で流行りの変質者か?
なら、晴がこんなに焦るのも無理はない。
ヤだな、そんな人物からの文。
燃やすか・・・いや、燃やしたら後が怖そうだ。
「やんごとなき辺からの~御文なれば~速やかに御返事を~」
「はぁっ?やんごとなきって、どのあたりだよ」
「後宮からです~」
「こうきゅう・・・硬いボールから文が?」
「そうです~、頭に当たると~ものすご~く痛いって違います~」
「違ったか、ごめん。そうだよな、晴がこうきゅうというのなら、お手当が高いお給料だよね。けどさ、我が家だってそれなりに払ってるよ」
「そうですけど~淡雪様の奇行に~付き合うとなると~ちょっと~って違います~・・・淡雪様・・・」
晴がジトりとした目で睨んだ。
「判ってるよ。ちょっとここ最近のストレスを発散しただけだよ。そんなに睨まなくてもいいじゃないか。あれだろ。陛下の皇妃や妃嬪がドッチャリいて、権謀術数、愛憎渦巻く権力闘争の館」
「・・・そんな身も蓋もない言い方を~」
「事実だよ。で、その後宮の誰からの文だよ」
「皇妃様からの御文なれば」
「皇妃様だって!?」
僕は思わず、素っ頓狂な声をあげた。
見たことも言葉を交わしたこともない雲の遥か上の御方から何故文が届くんだよ。
「ですから~御返事・・・」
「淡雪に後宮から文が届いたとは、本当か」
直江が部屋に入ってくるなり厳しい顔で晴の言葉を遮った。
異様に神経が尖っているのが伺えた。
「私の伺候と被せてきたか・・・」
えっ?何。何かマズいの?
午後のお茶を飲んで、ほけ~としてると、何を勘違いしたのか淡路が
「淡雪様、宝珠を頂くまでお寂しいでしょうが《《、宝珠を頂いた暁には、直江様と心ゆくまでお睦み、励まれあそばせ」
「淡雪様が西蓮寺家のお血筋にお心をくだかれたのです。私共、西蓮寺家侍女一丸となり、閨でのお勤めをお助けいたしますからご安心くださりませ。」
と含みを持った表情でいうのだ。
ただ本当にほけ~としてただけなのに・・・
女性から赤裸々に性生活を後押しされる日が来るなんて・・・
そういうところはデリケートな問題で、秘するとか、暈すとこじゃないか?
それを開けすけに、しかも真っ昼間から平然というって、ちょっと信じられないんですけど。
淡路から日常的にセクハラ紛いにいわれるそのせいか、僕の周りの侍女達も何らや含みを持った目で僕を見ている気がする。
被害妄想かもしれないけどさ、何というか、興味津々で他人の寝室を覗き見るようなイヤらしい視線っていうかさ、そういうの。
その中に晒されてみろよ。
そんなことはないものまでそう思えて、恥ずかしさに転げ回り、何をするにも居たたまれなくて一挙手一投足にビクついてしまう。
それはもう、ごっそりと僕から安らぎを削っていくのだから、もうね、精神的にヘロヘロ。
身体を休めないもの辛いけど、精神的に安らげないのはもっと辛いと身を持って知ったわ。
元気ハツラツなのは、直江の初子に燃える淡路と斜め67度の思考の九重にふたりに感化されて何故か盛り上がった晴、随行の侍女達だけだ。
都筑が女性陣の盛り上がりにドン引きして、反対に冷静なのが唯一の救いだよ。
えっ?直江?
・・・察してください・・・
僕は清いままです。
その直江といえば、陛下に召されたにも関わらず、まだ御前に伺候していない。
というか、帝都に着いて、直ぐに衣を改め参内したのだが、陛下の病状が芳しくないため、”暫し、帝都に逗まるように。追って日を知らせる“といわれたそうだ。
いつ命が下されるかわからないため、身動きがとれず、神殿に宝珠を授かりに行くこともできない。
無為な日を送る直江のイライラはピークに達していて機嫌が悪い悪い。
日々の鍛錬はいまやストレス緩和の一環となり、厳しさを増して怪我人が続出しているとか。
はぁ~、どうしてこうなったんだか。
そんな中、一通の文が西蓮寺家帝都邸に嵐を巻き起こした。
「あ、淡雪様~い、いっ、一大事です~」
叫び声まがいの晴の声とドタンという派手な音が聞こえた。
あっ、晴、転んだな。
何をそんなに慌てる必要があるんだろう?
考えられるとしたら、直江がとうとうブチ切れて殴り込みにいった?いやいや、いくらなんでもそれは無いわ~。
殴り込む前に光顕や忠勝が止めるだろう。
第一、直江はどっちかというと、”もういい“とばかりに領地に引き揚げるタイプだし、引き揚げ支度でここまで慌てる必要もない。
なら何だ?
ドアが勢いよく開き、晴が引っった真っ青な顔をして飛び込んできた。
「あ、淡雪様~・・・先ずは~こちらを」
と差し出してきた1輪の白い萩に結ばれた紅紫色の文。
焚き染められた華やか艷やかな香り。
ひと目みて、高貴な辺からの物だとわかった。
う~ん、僕にこんな優美な文を送ってくる知り合いは千秋を除くと皆無だ。
その千秋の文なら晴がここまで慌てふためくことはないし。
なら、誰だよって話になる。
はっ、まさか、巷で流行りの変質者か?
なら、晴がこんなに焦るのも無理はない。
ヤだな、そんな人物からの文。
燃やすか・・・いや、燃やしたら後が怖そうだ。
「やんごとなき辺からの~御文なれば~速やかに御返事を~」
「はぁっ?やんごとなきって、どのあたりだよ」
「後宮からです~」
「こうきゅう・・・硬いボールから文が?」
「そうです~、頭に当たると~ものすご~く痛いって違います~」
「違ったか、ごめん。そうだよな、晴がこうきゅうというのなら、お手当が高いお給料だよね。けどさ、我が家だってそれなりに払ってるよ」
「そうですけど~淡雪様の奇行に~付き合うとなると~ちょっと~って違います~・・・淡雪様・・・」
晴がジトりとした目で睨んだ。
「判ってるよ。ちょっとここ最近のストレスを発散しただけだよ。そんなに睨まなくてもいいじゃないか。あれだろ。陛下の皇妃や妃嬪がドッチャリいて、権謀術数、愛憎渦巻く権力闘争の館」
「・・・そんな身も蓋もない言い方を~」
「事実だよ。で、その後宮の誰からの文だよ」
「皇妃様からの御文なれば」
「皇妃様だって!?」
僕は思わず、素っ頓狂な声をあげた。
見たことも言葉を交わしたこともない雲の遥か上の御方から何故文が届くんだよ。
「ですから~御返事・・・」
「淡雪に後宮から文が届いたとは、本当か」
直江が部屋に入ってくるなり厳しい顔で晴の言葉を遮った。
異様に神経が尖っているのが伺えた。
「私の伺候と被せてきたか・・・」
えっ?何。何かマズいの?
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