40 / 50
淡雪、宣旨に惨敗からの〜
しおりを挟む
人間、悪い予感ほどよく当たるっていうのは、どうなんだろう・・・そんなとりとめのないことを考えながら僕は御簾の隙間から外を観ていた。
晩夏とはいえ、強い陽が降り注ぐ厳しい暑さの中、バテもせずに蝉達は大合唱をしている。
ただでさえ、気分が苛ついているときにミンミンだかジージーだか大音量で鳴かれると余計に苛ついてくる。
“木に登って叩き落としてやろうか”
苛ついて知らず知らずのうちに爪先を噛んでいた。
「淡雪様~爪の形が悪くなりますよ~」
「ほっといて」
「そうはいわれましても~」
晴は丁寧に畳んだ衣装を長櫃に収納しながら困惑顔をした。
本当なら今頃はと思うと、ついぞため息が出た。
あの夜、宣旨が届いてからの西蓮寺家はてんやわんやの大騒ぎだった。
宣旨は陛下からの意向や命令、言葉を下に伝える文書である。
これが届いたら例え、皇族であろうと拝跪して受取り、従わなければならない。
従わないと反逆や謀叛の意思ありとみなされ、降格ならまだしもお取り潰しや討伐対象となり、家の浮沈にかかわってくる。
故に届いた宣旨は絶対なのだ。
で、その宣旨が寄りにもよって、いざ、初夜本番開始!というところで届きゃ・・・届いたのだ。
で、拝領した宣旨に書かれていた内容が、近況報告を求めるみたいなどうでもいいことなら放っておくけど、病状が悪化し、直接会うのは最後かもしれないから伴侶と直ちに上洛し、禁中に上がれと記されていたからもう大変。
宣旨を読むなり直江は難しい表情するし、光顕や忠勝も眉を寄せていたが、周囲は勝手に
“すわっ、御譲位か!?”
と想像し、慌てふためいたのだった。
そうなるともう僕と直江の初夜なんて、二の次さんの次。
初夜どころの話ではなくなり、上洛の仕度で大混乱になった。
それもそのはずで、西蓮寺家の当主は滅多に上洛せず、直江の父、直彰が叙爵した時と父親の直彰が身罷った旨の報告、喪明けに直江が大公家を後継する許しを得る時の三回だけだと。
いや~驚いた。最低でも年に四回は上洛するのが貴族の常識だ。
それを・・・
新年の挨拶とかどうしてたんだろうと光顕に聞いたら、病を理由に挨拶文のみで終わらせていたんだと。
不敬以外の何ものでもないな、それ。
我が家がそれをすれば、軽くて殿上差止め。悪くすれば降爵、最悪は奪爵で平民だよ。
大体、そう都合よく病にはならないし。
きっと、陛下は解っていても何もいわずに許しているのだと思う。
その度量の広さは感動ものだよ。
あっ、話が脱線した。
家の浮沈に係る事案の前では僕と直江の初夜なんて塵の如く吹き飛んだ。
要するに上洛が終わるまでは、お預けのままなのだ。
もうさ、なんか呪われてるとしか言いようがないよ。
せっかく、その気になったに。
面白くないったらないぞ!
「淡雪様~大公家の奥方様が~そのように不貞腐れたお顔をするのはどうかと~」
「好きで不貞腐れているわけじゃないよ」
「そういう~態度をしていると~遠のきますよ~」
「ふん、これ以上どうやったら遠のくんだよ」
「言いたくないんですけど~一度あることは~二度ある。二度あることは~三度あるって~言いますし~」
晴がいやに確信ありげに断言するように言いきった。
な、なんという事を言うんだ、僕の侍女のくせに。
不吉すぎるじゃないか。
「淡雪様は~恋愛関係に関しては~疎いところがありますよね~」
したり顔いう晴が小憎らしい。
「晴、お前だって、その方面は僕と似たりよったりじゃないか」
「えぇ~っ、心外です~。私は~淡雪様よりは~知識はあります~。なにせ~生きた教材資料、恋愛至上主義の姉を~直で見てますから~」
確かに、晴の姉五月の恋愛遍歴は凄いらしい。
毎回「これは運命の恋よ」といっては、息を吸うように恋に落ち、フラれては「失恋は女を磨く試練」と泣き叫ぶ。
確かに、そういう肉親を物心つく前から見ている晴は無駄に知識を得ているよな。
僕が反論しないものだから、うんうんと頷きながら、
「ああいうことは~その場のノリを逃すと~妙に白けきってしまいますからねぇ~」
僕の不安を煽る。
そういわれると僕も段々と不安になってくる。
そりゃ、婚礼の夜はちょっとした行違いというか、勘違いというか知識不足で初夜どころじゃなかった。
けど、今回はお互いが盛り上がって、さぁ!!ってときに特大の横やりが入ってきただけで・・・
「大公様は~大丈夫だとは思いますけど~男性の中には~、ここぞという時を逃すとなんといいますか~シラけて~もう、こいつとはどうでもいいかぁ~らしいですよ~」
「・・・」
「ヤレない女よりヤレる女~。その傾向が~強い男ほど俗物~屑~塵芥です~。どれほど高貴でご立派でも~男の下半身に~気品と理性と我慢は~ありません~据え膳食わねば~男の恥~とはよくいったもんです~」
身近で生きた恋愛遍歴を見てきた晴の言葉は重みがある。
確かに、そういう言葉はあるし、父上もちょこちょこ浮気紛いのことをしては母上にシメられてたし・・・。
自慢じゃないが、同じ男だけど僕はいままで婚姻や恋愛に興味のキョの字もなかったから知識の欠片もない。
世の中、そんな男ばかりじゃない!と強く否定できないところが辛い。
しかも、晴は直江は違うといいながら、男の下半身に気品と理性と我慢はない、疑いの余地なし!と言い切り、暗にもしかしたらもう初夜はないかもと匂わせている。
それが否が応でも不安を煽った。
このまま、直江とはなにもないままに・・・一気に血の気が引いた。
い、いや別に僕は、ヤりたいといっているわけじゃないぞ。
たとえ、夫婦となったふたりの間にナニもなくとも、心と心の繋がりこそが大事で、お互いに支え合い、慈しみあって過ごせればそれは究極の理想系。
けど、この世の中、それじゃ済まないこともある。
殊に皇家や貴族などは後継をいかに残すか、血統第一主義的なところがある。当主となった者の重要な責務の一つに子孫を残すことがあるくらいだ。この僕だってそこのところは父上から嫌というほど、
「はぁ~、嫁取りをするか嫁に行くかどっちかわからんお前だが、いいか、縁づいたらどういう形であれ子をなすんだぞ」
とか、
「とりあえず、ヤッてしまえばこちらの勝ちだ」
とか、
「桃栗三年、柿八年。子づくり三年、腹一年。運が良ければ二毛作」
などと、わけのわからないことを聞かされた。
子どもは神の実を食べて、寝てたらそのうちにできると思っていた僕は、父上の桃栗三年の台詞を聞いた時は、頭の脳みそを誰かが白味噌に変えたんじゃないか?大丈夫か、父上と思ってたんだよな。
ああ、あの時の僕は清らかだった・・・
なんて感慨に浸ってる場合じゃない。
一度目は仕方ないとしても二度目がダメになったことで晴の言葉が現実味醸し出している。
まさか、このまま・・・
僕は根暗な迷路に陥り、ぐるぐると陰々滅々な思考の中を周回していた。
「なんですか、この淀んだおどろおどろしい空気は」
「二度あることは三度ある。三度あるなら永遠に続く・・・遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃・・・」
と、ぶつぶつ呟き陰鬱状態の僕に部屋に入ってきた九重は眉をひそめた。
自分のいったことで落ち込む僕におろおろとしていた晴は九重に助けを求めた。晴から事情を聞いた九重は呆れたようにいう。
「そんなことですか」
「九重は当事者じゃないからね」
鼻で嗤われたような気がしてキレた僕は噛みついた。
「ええ、当事者ではありません」
「こ、九重さん⁉」
慌てる晴を九重は軽くいなしていった。
「だからこそ、視えることもございます」
「えっ?」
「要は邪魔されず、初夜をヤれればいいんですよね」
こ、九重~、そんな身も蓋もない言い方しないでくれるかな。
それじゃ僕が淫乱みたいじゃないか。
「私に名案がございます」
「へっ?」
「首尾よくいけば、誰にも邪魔されず、直江様と後朝を迎えられるかと」
「ほ、本当?!」
「ええ、おまかせください、淡雪様」
九重がいやに力強く、きっぱりと断言した。
晩夏とはいえ、強い陽が降り注ぐ厳しい暑さの中、バテもせずに蝉達は大合唱をしている。
ただでさえ、気分が苛ついているときにミンミンだかジージーだか大音量で鳴かれると余計に苛ついてくる。
“木に登って叩き落としてやろうか”
苛ついて知らず知らずのうちに爪先を噛んでいた。
「淡雪様~爪の形が悪くなりますよ~」
「ほっといて」
「そうはいわれましても~」
晴は丁寧に畳んだ衣装を長櫃に収納しながら困惑顔をした。
本当なら今頃はと思うと、ついぞため息が出た。
あの夜、宣旨が届いてからの西蓮寺家はてんやわんやの大騒ぎだった。
宣旨は陛下からの意向や命令、言葉を下に伝える文書である。
これが届いたら例え、皇族であろうと拝跪して受取り、従わなければならない。
従わないと反逆や謀叛の意思ありとみなされ、降格ならまだしもお取り潰しや討伐対象となり、家の浮沈にかかわってくる。
故に届いた宣旨は絶対なのだ。
で、その宣旨が寄りにもよって、いざ、初夜本番開始!というところで届きゃ・・・届いたのだ。
で、拝領した宣旨に書かれていた内容が、近況報告を求めるみたいなどうでもいいことなら放っておくけど、病状が悪化し、直接会うのは最後かもしれないから伴侶と直ちに上洛し、禁中に上がれと記されていたからもう大変。
宣旨を読むなり直江は難しい表情するし、光顕や忠勝も眉を寄せていたが、周囲は勝手に
“すわっ、御譲位か!?”
と想像し、慌てふためいたのだった。
そうなるともう僕と直江の初夜なんて、二の次さんの次。
初夜どころの話ではなくなり、上洛の仕度で大混乱になった。
それもそのはずで、西蓮寺家の当主は滅多に上洛せず、直江の父、直彰が叙爵した時と父親の直彰が身罷った旨の報告、喪明けに直江が大公家を後継する許しを得る時の三回だけだと。
いや~驚いた。最低でも年に四回は上洛するのが貴族の常識だ。
それを・・・
新年の挨拶とかどうしてたんだろうと光顕に聞いたら、病を理由に挨拶文のみで終わらせていたんだと。
不敬以外の何ものでもないな、それ。
我が家がそれをすれば、軽くて殿上差止め。悪くすれば降爵、最悪は奪爵で平民だよ。
大体、そう都合よく病にはならないし。
きっと、陛下は解っていても何もいわずに許しているのだと思う。
その度量の広さは感動ものだよ。
あっ、話が脱線した。
家の浮沈に係る事案の前では僕と直江の初夜なんて塵の如く吹き飛んだ。
要するに上洛が終わるまでは、お預けのままなのだ。
もうさ、なんか呪われてるとしか言いようがないよ。
せっかく、その気になったに。
面白くないったらないぞ!
「淡雪様~大公家の奥方様が~そのように不貞腐れたお顔をするのはどうかと~」
「好きで不貞腐れているわけじゃないよ」
「そういう~態度をしていると~遠のきますよ~」
「ふん、これ以上どうやったら遠のくんだよ」
「言いたくないんですけど~一度あることは~二度ある。二度あることは~三度あるって~言いますし~」
晴がいやに確信ありげに断言するように言いきった。
な、なんという事を言うんだ、僕の侍女のくせに。
不吉すぎるじゃないか。
「淡雪様は~恋愛関係に関しては~疎いところがありますよね~」
したり顔いう晴が小憎らしい。
「晴、お前だって、その方面は僕と似たりよったりじゃないか」
「えぇ~っ、心外です~。私は~淡雪様よりは~知識はあります~。なにせ~生きた教材資料、恋愛至上主義の姉を~直で見てますから~」
確かに、晴の姉五月の恋愛遍歴は凄いらしい。
毎回「これは運命の恋よ」といっては、息を吸うように恋に落ち、フラれては「失恋は女を磨く試練」と泣き叫ぶ。
確かに、そういう肉親を物心つく前から見ている晴は無駄に知識を得ているよな。
僕が反論しないものだから、うんうんと頷きながら、
「ああいうことは~その場のノリを逃すと~妙に白けきってしまいますからねぇ~」
僕の不安を煽る。
そういわれると僕も段々と不安になってくる。
そりゃ、婚礼の夜はちょっとした行違いというか、勘違いというか知識不足で初夜どころじゃなかった。
けど、今回はお互いが盛り上がって、さぁ!!ってときに特大の横やりが入ってきただけで・・・
「大公様は~大丈夫だとは思いますけど~男性の中には~、ここぞという時を逃すとなんといいますか~シラけて~もう、こいつとはどうでもいいかぁ~らしいですよ~」
「・・・」
「ヤレない女よりヤレる女~。その傾向が~強い男ほど俗物~屑~塵芥です~。どれほど高貴でご立派でも~男の下半身に~気品と理性と我慢は~ありません~据え膳食わねば~男の恥~とはよくいったもんです~」
身近で生きた恋愛遍歴を見てきた晴の言葉は重みがある。
確かに、そういう言葉はあるし、父上もちょこちょこ浮気紛いのことをしては母上にシメられてたし・・・。
自慢じゃないが、同じ男だけど僕はいままで婚姻や恋愛に興味のキョの字もなかったから知識の欠片もない。
世の中、そんな男ばかりじゃない!と強く否定できないところが辛い。
しかも、晴は直江は違うといいながら、男の下半身に気品と理性と我慢はない、疑いの余地なし!と言い切り、暗にもしかしたらもう初夜はないかもと匂わせている。
それが否が応でも不安を煽った。
このまま、直江とはなにもないままに・・・一気に血の気が引いた。
い、いや別に僕は、ヤりたいといっているわけじゃないぞ。
たとえ、夫婦となったふたりの間にナニもなくとも、心と心の繋がりこそが大事で、お互いに支え合い、慈しみあって過ごせればそれは究極の理想系。
けど、この世の中、それじゃ済まないこともある。
殊に皇家や貴族などは後継をいかに残すか、血統第一主義的なところがある。当主となった者の重要な責務の一つに子孫を残すことがあるくらいだ。この僕だってそこのところは父上から嫌というほど、
「はぁ~、嫁取りをするか嫁に行くかどっちかわからんお前だが、いいか、縁づいたらどういう形であれ子をなすんだぞ」
とか、
「とりあえず、ヤッてしまえばこちらの勝ちだ」
とか、
「桃栗三年、柿八年。子づくり三年、腹一年。運が良ければ二毛作」
などと、わけのわからないことを聞かされた。
子どもは神の実を食べて、寝てたらそのうちにできると思っていた僕は、父上の桃栗三年の台詞を聞いた時は、頭の脳みそを誰かが白味噌に変えたんじゃないか?大丈夫か、父上と思ってたんだよな。
ああ、あの時の僕は清らかだった・・・
なんて感慨に浸ってる場合じゃない。
一度目は仕方ないとしても二度目がダメになったことで晴の言葉が現実味醸し出している。
まさか、このまま・・・
僕は根暗な迷路に陥り、ぐるぐると陰々滅々な思考の中を周回していた。
「なんですか、この淀んだおどろおどろしい空気は」
「二度あることは三度ある。三度あるなら永遠に続く・・・遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃・・・」
と、ぶつぶつ呟き陰鬱状態の僕に部屋に入ってきた九重は眉をひそめた。
自分のいったことで落ち込む僕におろおろとしていた晴は九重に助けを求めた。晴から事情を聞いた九重は呆れたようにいう。
「そんなことですか」
「九重は当事者じゃないからね」
鼻で嗤われたような気がしてキレた僕は噛みついた。
「ええ、当事者ではありません」
「こ、九重さん⁉」
慌てる晴を九重は軽くいなしていった。
「だからこそ、視えることもございます」
「えっ?」
「要は邪魔されず、初夜をヤれればいいんですよね」
こ、九重~、そんな身も蓋もない言い方しないでくれるかな。
それじゃ僕が淫乱みたいじゃないか。
「私に名案がございます」
「へっ?」
「首尾よくいけば、誰にも邪魔されず、直江様と後朝を迎えられるかと」
「ほ、本当?!」
「ええ、おまかせください、淡雪様」
九重がいやに力強く、きっぱりと断言した。
52
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
真面目な部下に開発されました
佐久間たけのこ
BL
社会人BL、年下攻め。甘め。完結までは毎日更新。
※お仕事の描写など、厳密には正しくない箇所もございます。フィクションとしてお楽しみいただける方のみ読まれることをお勧めします。
救急隊で働く高槻隼人は、真面目だが人と打ち解けない部下、長尾旭を気にかけていた。
日頃の努力の甲斐あって、隼人には心を開きかけている様子の長尾。
ある日の飲み会帰り、隼人を部屋まで送った長尾は、いきなり隼人に「好きです」と告白してくる。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる