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困惑の淡雪、侍従と侍女はむせび泣く
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「都筑さん~、筆頭侍従が~大声をあげるなんてみっともないで・・・すぅ」
「ばっ、馬鹿者、これが落ち着いていられるか」
目から火が飛び散り、口からは炎が吐き出しそうな都筑の荒れ様に晴もだじだじとなっている。僕など椅子から身動きも取れない状況だ。
「いいか、晴!淡雪様は、淡雪様は・・・うぅ~んっっ・・・」
興奮するあまり、血圧が急騰したのか都筑が昏倒した。
白目を剥いている
「都筑!」
「都筑さんっ!」
氷嚢を額に充てた都筑が何やら晴とコソコソしている。
なんだ?
「・・・淡雪様に閨の知識がゼロとはどういうことだ・・・」
「赤子じゃあるまいし~そんな筈ないです~」
「そんなもこんなも、赤子以下だ・・・宴の後はぐっすり寝ると言いきったぞ」
「まさか・・・」
「閨教育はどうした・・・添い臥しは何をしてたんだ」
「ちゃんと用意はさましたよ、添い臥しを・・・あっ!」
「なんだ、早く話せ」
「淡雪様、物凄く~寝付きがいいんです。15秒もあれば~寝てらっしゃいますから~」
よく聞こえないけど、なんだ?寝付きのこと?
まぁ、晴もいってたけど、枕に頭つけたらものの15秒で寝れるもんね。
それが何か?
「もしかすると~お教えする前に~夢の国の住人?」
「住人って、お前・・・閨の教育は貴族社会では必須だろう・・・」
「普通はそうですけど~、なにせ淡雪様ですから~どっちでお教えするか~悩んでいたみたいですよ、近江さんも」
「悩むこともなかろう」
「そういいますけど、都筑さん~、淡雪様、あの御容姿ですが、侯爵家の嫡男ですし~もしかしたら嫁取りするかもしれないじゃないですか」
「ま、まぁそうだが・・・しかし、同性同士は一歩間違うと流血沙汰で凄惨なことに・・・悲惨な状態の寝室はちょっと避けたい」
「そうですよね~でも、そこは~大公様に任せるしかないかと~伊達に青髭と呼ばれているわけじゃないですよ~それなりに手技はお持ちかと~」
晴がしたり顔をする。
「そ、そうだな。しかし、新婦が何も知らないというのはな・・・」
「そうですね~」
肝心なことがよく聞こえない。
流血?悲惨ってなんで?
大公家は寝室で戦でもするのか?
先程から何やら都筑と晴がやたらとヒソヒソと言っていてはこちらを盗み見る態度に、はっきり、きっぱりとするほうが好きな僕にしたらイライラしてくる。
宴の後に一緒に寝室で寝たらどうだっていうんだ?
・・・まさか、椅子取りゲームみたいに早い者勝ちで、一組の布団を奪い合うとか?敗けたら床に何もなしで直に寝る羽目になるというのはちょっとなぁ。
「淡雪様」
晴と都筑がこちらをじっとみていた。
「お聞きしますけど~婚礼を挙げたふたりが寝室に入ったら~何をするかご存知ですわよね?」
「晴まで何?寝るんだろ」
「そのものズバリです~」
「・・・ええ、何をするでもなく、睡眠を取るためにぐっすりとお休みになるんですよね」
都筑の言葉に頷いて肯定する。
何だ?含みのあるこの言動は。
晴は晴で顎が外れたような顔をしている。
晴~その顔、女の子としてどうよ。
「本気で言ってます~?」
「だから、睡眠取る以外に何があるんだよ。それともなに?寝室で戦とか運動しろとかいうわけ?」
「・・・カマトトぶったあざとい女はイライラしますけど~男のカマトトは~最早、罪悪です~後ろから襲われても文句はいえないですよ~淡雪様~」
「罪悪と言われても・・・カマボコ?魚のすり身を板に盛り付けて蒸すあれ?」
「そうです~そのままでもいいですが、山葵を挟んで~って違います!!雄しべと雌しべですっ」
「ご存知ですよね、淡雪様」
尋常じゃないふたりの様子に僕は脳震盪を起こすかと思うぼどガクガクと頷く。
「あれだろう、雌しべに雄しべからなるものをくっつける・・・」
「「そうです!!スバリそのものです!!」」
涙を流さんばかりに手を取り合う晴と都筑。
「よ、よかったです~」
「ああ、そうだな。どっちが教えるのかと頭をかかえてたが、杞憂だったな」
「ええ~、それは~都筑さんですよ~」
「何をいう。こういうことを教えるのも侍女の役目だろう」
「年頃の私になにをさせるんですか~セクハラですよ~」
ちょっと前まで地獄の底を覗いたような表情をしていたのに何だよ、この浮かれっぷりは。
僕が受粉行為を知ってるからってここまで浮かれるか?
侯爵家跡取りなる者が作物の種子の作り方ぐらい知らなくてどうするんだよ。
けど、なぜ寝室で種子作り方が必要なんだろう。
そこのところを聞きたいが、聞いたら最後、ふたりがどこかに旅立ちそうで聞けない。
「・・・釈然としないんだけどな・・・」
僕は首を捻り、呟いたのだった・・・
「ばっ、馬鹿者、これが落ち着いていられるか」
目から火が飛び散り、口からは炎が吐き出しそうな都筑の荒れ様に晴もだじだじとなっている。僕など椅子から身動きも取れない状況だ。
「いいか、晴!淡雪様は、淡雪様は・・・うぅ~んっっ・・・」
興奮するあまり、血圧が急騰したのか都筑が昏倒した。
白目を剥いている
「都筑!」
「都筑さんっ!」
氷嚢を額に充てた都筑が何やら晴とコソコソしている。
なんだ?
「・・・淡雪様に閨の知識がゼロとはどういうことだ・・・」
「赤子じゃあるまいし~そんな筈ないです~」
「そんなもこんなも、赤子以下だ・・・宴の後はぐっすり寝ると言いきったぞ」
「まさか・・・」
「閨教育はどうした・・・添い臥しは何をしてたんだ」
「ちゃんと用意はさましたよ、添い臥しを・・・あっ!」
「なんだ、早く話せ」
「淡雪様、物凄く~寝付きがいいんです。15秒もあれば~寝てらっしゃいますから~」
よく聞こえないけど、なんだ?寝付きのこと?
まぁ、晴もいってたけど、枕に頭つけたらものの15秒で寝れるもんね。
それが何か?
「もしかすると~お教えする前に~夢の国の住人?」
「住人って、お前・・・閨の教育は貴族社会では必須だろう・・・」
「普通はそうですけど~、なにせ淡雪様ですから~どっちでお教えするか~悩んでいたみたいですよ、近江さんも」
「悩むこともなかろう」
「そういいますけど、都筑さん~、淡雪様、あの御容姿ですが、侯爵家の嫡男ですし~もしかしたら嫁取りするかもしれないじゃないですか」
「ま、まぁそうだが・・・しかし、同性同士は一歩間違うと流血沙汰で凄惨なことに・・・悲惨な状態の寝室はちょっと避けたい」
「そうですよね~でも、そこは~大公様に任せるしかないかと~伊達に青髭と呼ばれているわけじゃないですよ~それなりに手技はお持ちかと~」
晴がしたり顔をする。
「そ、そうだな。しかし、新婦が何も知らないというのはな・・・」
「そうですね~」
肝心なことがよく聞こえない。
流血?悲惨ってなんで?
大公家は寝室で戦でもするのか?
先程から何やら都筑と晴がやたらとヒソヒソと言っていてはこちらを盗み見る態度に、はっきり、きっぱりとするほうが好きな僕にしたらイライラしてくる。
宴の後に一緒に寝室で寝たらどうだっていうんだ?
・・・まさか、椅子取りゲームみたいに早い者勝ちで、一組の布団を奪い合うとか?敗けたら床に何もなしで直に寝る羽目になるというのはちょっとなぁ。
「淡雪様」
晴と都筑がこちらをじっとみていた。
「お聞きしますけど~婚礼を挙げたふたりが寝室に入ったら~何をするかご存知ですわよね?」
「晴まで何?寝るんだろ」
「そのものズバリです~」
「・・・ええ、何をするでもなく、睡眠を取るためにぐっすりとお休みになるんですよね」
都筑の言葉に頷いて肯定する。
何だ?含みのあるこの言動は。
晴は晴で顎が外れたような顔をしている。
晴~その顔、女の子としてどうよ。
「本気で言ってます~?」
「だから、睡眠取る以外に何があるんだよ。それともなに?寝室で戦とか運動しろとかいうわけ?」
「・・・カマトトぶったあざとい女はイライラしますけど~男のカマトトは~最早、罪悪です~後ろから襲われても文句はいえないですよ~淡雪様~」
「罪悪と言われても・・・カマボコ?魚のすり身を板に盛り付けて蒸すあれ?」
「そうです~そのままでもいいですが、山葵を挟んで~って違います!!雄しべと雌しべですっ」
「ご存知ですよね、淡雪様」
尋常じゃないふたりの様子に僕は脳震盪を起こすかと思うぼどガクガクと頷く。
「あれだろう、雌しべに雄しべからなるものをくっつける・・・」
「「そうです!!スバリそのものです!!」」
涙を流さんばかりに手を取り合う晴と都筑。
「よ、よかったです~」
「ああ、そうだな。どっちが教えるのかと頭をかかえてたが、杞憂だったな」
「ええ~、それは~都筑さんですよ~」
「何をいう。こういうことを教えるのも侍女の役目だろう」
「年頃の私になにをさせるんですか~セクハラですよ~」
ちょっと前まで地獄の底を覗いたような表情をしていたのに何だよ、この浮かれっぷりは。
僕が受粉行為を知ってるからってここまで浮かれるか?
侯爵家跡取りなる者が作物の種子の作り方ぐらい知らなくてどうするんだよ。
けど、なぜ寝室で種子作り方が必要なんだろう。
そこのところを聞きたいが、聞いたら最後、ふたりがどこかに旅立ちそうで聞けない。
「・・・釈然としないんだけどな・・・」
僕は首を捻り、呟いたのだった・・・
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