上 下
1 / 24

神様だって間違えるし、快適に生活したい

しおりを挟む
神無月。神様が一同に集いあれこれ決める月、所謂神様サミットも終盤。ある神様がとある酒場でため息混じりに飲んでいました。
「そりゃさ、間違った私が悪いよ。悪いけどさ、なにもあそこまでいわないでもいいと思うんだよ。神様に向かって、ドジ男、ボケサク、ヌケスケって酷くないか、うちの神使ってさ」
ウザい、面倒な客に当たったなと思いつつも神使の立場では無下にもできず、適当に流す。
「ちょっと傍線一本書き漏らして、本来は116才まで生きるはずが16才でコッチの世界に来ただけじゃん」
"いやいや、それ、ちょっとじゃないし。116才ってギネスに挑戦できるって”
「余った寿命どうするんですかって言われてもどうしょうもないじゃんか!燃えないゴミや資源ゴミに出せるなら出したい」
クダを巻く神様とバカなのこの神様と睥睨する神使の横では別の神様が鎮痛な面持ちで別の神使に絡んでいた。
「信心してくれるならお願いを叶えるのはやぶさかではないよ。けど、過ぎたるは及ばざるが如しだよ」
「はぁ・・・そうですね」
「お香を焚いてくれるのはいいよ。でもね、暗視ゴーグルかけないと周りが見えないとか、煙で目をヤられ、涙目になるってどうよ!しかも、お香の匂いが香害レベルで、3分いたら頭痛、吐き気がして気絶するからと御使達防毒マスクしてんだよ」
「暗視ゴーグルに防毒マスクって・・・さっさとお願い叶えちゃえばいいんじゃないですか?」
「叶えられるなら叶えてるよ、私だって。たけどね、そう簡単に寿命なんて延ばせないんだよ。余ってる寿命あればいいんだけど、その寿命が無いの!」
それを聞いた神使が隣の神使の肘を突っつく。
「寿命があればいいんですか?別世界のでも?」
「うん。そこはね何とかできるよ。曲がりなりにも神様だしさ」
ニタリ
「実はこちらの神様、余った寿命の使い道に困ってまして」
「こちらの神様は寿命が欲しいそうなんですよ」
神様同士、お互いに見つめ合うとおそるおそる
「頂けますか?」
「貰って頂けますか?」と白色玉を取り出す。
「貰いますというか、ぜひ頂きたいです!」
「差し上げます。いえ、貰って頂きたいです。そうとなれば、ちょっとこの寿命に加護付けときますね」
「あっ、なら私も付けておきます」
ふわふわとした白色の玉が虹色にキラキラと輝いた
「なら、さっそく」
「ええ」
眩いほどの光が溢れ、とある世界の地上に吸い込まれた・・・


その子は酷い難産の挙げ句、仮死状態で侯爵家に生まれた。医師がどう手を尽くそうと産声を上げず、周囲も諦め棺を用意し始めたときにようようヒィィィと蚊の鳴くような産声を上げた。普通の子より小さく、乳を飲んでは気道に詰まらせては死にかけ、風が吹けば低体温状態に陥り、気温が上がれば熱中症になり死にかける。このままでは育つまいと思われたが、母親は半狂乱でありとあらゆる神仏を信心し帰依した。香を炊く煙が火事と間違われ、30メートル先にいても香の匂いがし、屋敷の前を通るときは全速力で走り抜けるのが当たり前となった頃、ある僧侶が託宣を請けたと告げに来た。
何でも女の子、姫と育てれば無事に成長すると。
母親はその託宣に縋った。両の手を合わせ、姫として育て上げてみせるので、どうぞこのまま生かさせてくださいと。
一方、侯爵は・・・
病弱ここに極まれりの子供だ。成長するまいと思った。なので、侯爵は母親の気持ちを優先し、姫と育てることを許した。まさか、その子が無事に成長し、美姫の名を欲しいままにするとは思わずに・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

「優秀で美青年な友人の精液を飲むと頭が良くなってイケメンになれるらしい」ので、友人にお願いしてみた。

和泉奏
BL
頭も良くて美青年な完璧男な友人から液を搾取する話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

愛する者の腕に抱かれ、獣は甘い声を上げる

すいかちゃん
BL
獣の血を受け継ぐ一族。人間のままでいるためには・・・。 第一章 「優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える」 一族の中でも獣の血が濃く残ってしまった颯真。一族から疎まれる存在でしかなかった弟を、兄の亜蘭と玖蘭は密かに連れ出し育てる。3人だけで暮らすなか、颯真は初めての発情期を迎える。亜蘭と玖蘭は、颯真が獣にならないようにその身体を抱き締め支配する。 2人のイケメン兄達が、とにかく弟を可愛がるという話です。 第二章「孤独に育った獣は、愛する男の腕に抱かれ甘く啼く」 獣の血が濃い護は、幼い頃から家族から離されて暮らしていた。世話係りをしていた柳沢が引退する事となり、代わりに彼の孫である誠司がやってくる。真面目で優しい誠司に、護は次第に心を開いていく。やがて、2人は恋人同士となったが・・・。 第三章「獣と化した幼馴染みに、青年は変わらぬ愛を注ぎ続ける」 幼馴染み同士の凛と夏陽。成長しても、ずっと一緒だった。凛に片思いしている事に気が付き、夏陽は思い切って告白。凛も同じ気持ちだと言ってくれた。 だが、成人式の数日前。夏陽は、凛から別れを告げられる。そして、凛の兄である靖から彼の中に獣の血が流れている事を知らされる。発情期を迎えた凛の元に向かえば、靖がいきなり夏陽を羽交い締めにする。 獣が攻めとなる話です。また、時代もかなり現代に近くなっています。

処理中です...