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10 盗賊

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「あの話はしたのかい?」
メイドが兄に聞く。

「まだだ」
あの話とはなんだろう?

「そう、、、」
疑問の目を兄に向ける。

「気にするな西カルボンの情勢の話だ」
なぜ今その話が出たのかがわからないが、、まぁそういうことなのだろう。


草原を進み、変わり映えしない景色と疲れでウトウトしていた時、馬車が突然止まった。

「ラースさんユーリさん盗賊です!」
出番か。

馬車を出ると既に御者に雇われた護衛が交戦していた。

「兄さん、本気出す。魔力切れたらなんとかしてください」
さっきは歩かないといけなかったから出し惜しみしていたのだ。

「しらねーよ」
そうは言ってるが兄ならなんとかしてくれる。

「『盲目』『麻痺』」
二つ同時にかける。もちろん全員にだ。

何人かにレジストされた感覚はあったが、効いたようだ。
その分ガッツリと魔力が抜ける感覚がした。

護衛と兄の逆襲が始まる。

レジストしたそれなりの強さであろう盗人は兄が相手をする。
僕の魔法が効いて伸びている人たちはなすすべなく馬車の護衛に縛られていっている。

「あなたの魔法すごいね」
護衛の人に褒められた。

「褒めるのはいいけど気を抜くんじゃないぞー」
別の護衛が言う。

いいね。フラグが立たない感じが。

「抜かないよ。今まで静かすぎて腕が鈍っていたとこなんだから」
女性なのにタフだな。

「おい」
後ろから兄に頭をつかまれる。

「なん「戻るぞ」」
なぜか不機嫌な感じだ。

兄に半強制的に連れ戻された。

「あまり他の人と話すな。殺されるぞ」
ん??意味がわからん。

助けを求めるようにメイドを見るが、なぜかニコニコしている。

メイドは意味がわかっているのだろうか?

メイドがニコニコしているおかげか、ピリピリした雰囲気とは少し違う。
魔力が減ったおかげもあり、また眠気が復活した。

馬車の揺れに合わせて船を漕ぐ。

「チッ!寝とけ」
また乱暴に頭を掴まれて膝の上に置かれる。
乱暴なのか優しいのか。

「まぁ」
膝枕スタイルを見てメイドが驚いているのだろうか、眠い頭では考えるのが辛い。
やはり兄の膝枕は怖いものですぐに落ちてしまった。

「仲がよろしいのですね」

「あったりめーだ」
 












今度は自分から起きた。
というよりも、起きるまで寝てもまだ着いていなかったのだ。
兄は壁にもたれながら寝ている。

兄さんも疲れてるんだな。
僕ばかりが楽をさせてもらって申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
僕も膝枕を、、、兄はそういうの嫌がるか。
今度なにか別の形で労ろう。

「んぅ、起きたのか?」
兄の膝から離れると兄も起きた。
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