62 / 62
第六十二話 屋敷
しおりを挟む
「ここは、、、、」
順調に来て2日と半日、魔物は倒したり撒いたり。
森がこの先で開けている。
「そろそろ?」
「ああ」
両サイドの木が畑に変わる。そしてポツポツと家があり、水車があり、風車までも。
この海外と日本が合わさったような長閑さ。
最高ではないだろうか?
不動産屋のおっさんが昔の貴族の空き家があるはずだから使えと言ってくれた。
もう牛注意とかの看板すらありそうな道をゆっくりと馬で進む。
道に迷う覚悟でいたのだが、なぜかリクはすんなりと廃屋に辿り着いた。
「幽霊とか、出ないよね?」
「チッ。早くいくぞ」
渡された鍵を鍵穴に差し込む。
ガチャッ
この屋敷であたりらしい。
蝶番が錆びついて重たくなったドアを、力を込めてゆっくり、破壊しないように開ける。
ギュワーと金属の擦れる嫌な音が不気味さを加速させる。
扉の動きと合わせて埃がボワッとくる。
「ゲホゴホ」
またか。また埃っぽいのか。全く、あの不動産屋のおっさんが用意する家は全部埃っぽいのか?
とはいえこんな身の上なのに家を用意してくれた不動産屋のおっさんには感謝せざるを得ない。
「早く行くぞ」
かなり躊躇われたがリクは行ってしまった。
タオルをマスクのようにして、埃っぽすぎて歩くのも躊躇われる床にスリッパを置く。また風魔法で家の空気を入れ替えることはできても、拭き掃除は免れないだろうか。
ギシギシとなる床は今にも抜けそうだ。
聞いた話では、家というものは住まなくなったら一気に朽ちるらしい。まさにこの家かもしれない。ある日突然人がいなくなったように、生活感は残っているのに傷んでいる。
この家どうなっているんだ?
「オレは二階の窓開けてくる。お前は一階のやつ全部開けろ」
「わかった」
窓を開けて、風で家中を換気した。
これだけで効果はすごい。
後はとにかく拭き掃除だ。
まずはリビングから。
リクと二人で家具を運び出しラグやソファは埃を叩き出して天日に晒す。人がいなくなって数年とかいうレベルではあるだろうが、その割にはあまり朽ちていない。高価なものなのかもしれない。
ダイニングと廊下。家具を運び出しては床を、壁を、天井をフキフキ。
この屋敷、、、広い。外見でわからなかったけど、奥に広いのか。確かに家具を庭に運び出すのは苦労したわ、と今更ながら理解する。
結局、今すぐ使う必要のある部屋だけを掃除して、空き部屋はそのままになった。
「リクー、ベッドもう一台綺麗にしたいんだけど。手伝って」
「ヤダ」
ヤダ!?
「え、じゃあどうしたら?」
「いつもみたいに一台でいいだろう」
リクは当たり前だと言わんばかりの様子だった。
順調に来て2日と半日、魔物は倒したり撒いたり。
森がこの先で開けている。
「そろそろ?」
「ああ」
両サイドの木が畑に変わる。そしてポツポツと家があり、水車があり、風車までも。
この海外と日本が合わさったような長閑さ。
最高ではないだろうか?
不動産屋のおっさんが昔の貴族の空き家があるはずだから使えと言ってくれた。
もう牛注意とかの看板すらありそうな道をゆっくりと馬で進む。
道に迷う覚悟でいたのだが、なぜかリクはすんなりと廃屋に辿り着いた。
「幽霊とか、出ないよね?」
「チッ。早くいくぞ」
渡された鍵を鍵穴に差し込む。
ガチャッ
この屋敷であたりらしい。
蝶番が錆びついて重たくなったドアを、力を込めてゆっくり、破壊しないように開ける。
ギュワーと金属の擦れる嫌な音が不気味さを加速させる。
扉の動きと合わせて埃がボワッとくる。
「ゲホゴホ」
またか。また埃っぽいのか。全く、あの不動産屋のおっさんが用意する家は全部埃っぽいのか?
とはいえこんな身の上なのに家を用意してくれた不動産屋のおっさんには感謝せざるを得ない。
「早く行くぞ」
かなり躊躇われたがリクは行ってしまった。
タオルをマスクのようにして、埃っぽすぎて歩くのも躊躇われる床にスリッパを置く。また風魔法で家の空気を入れ替えることはできても、拭き掃除は免れないだろうか。
ギシギシとなる床は今にも抜けそうだ。
聞いた話では、家というものは住まなくなったら一気に朽ちるらしい。まさにこの家かもしれない。ある日突然人がいなくなったように、生活感は残っているのに傷んでいる。
この家どうなっているんだ?
「オレは二階の窓開けてくる。お前は一階のやつ全部開けろ」
「わかった」
窓を開けて、風で家中を換気した。
これだけで効果はすごい。
後はとにかく拭き掃除だ。
まずはリビングから。
リクと二人で家具を運び出しラグやソファは埃を叩き出して天日に晒す。人がいなくなって数年とかいうレベルではあるだろうが、その割にはあまり朽ちていない。高価なものなのかもしれない。
ダイニングと廊下。家具を運び出しては床を、壁を、天井をフキフキ。
この屋敷、、、広い。外見でわからなかったけど、奥に広いのか。確かに家具を庭に運び出すのは苦労したわ、と今更ながら理解する。
結局、今すぐ使う必要のある部屋だけを掃除して、空き部屋はそのままになった。
「リクー、ベッドもう一台綺麗にしたいんだけど。手伝って」
「ヤダ」
ヤダ!?
「え、じゃあどうしたら?」
「いつもみたいに一台でいいだろう」
リクは当たり前だと言わんばかりの様子だった。
28
お気に入りに追加
2,237
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(20件)
あなたにおすすめの小説



元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!
ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
いつも楽しく拝読させていただいてます!BL大賞応援してます!さえ先生のペースで大丈夫ですよっ!頑張ってください〜( ^ω^) これからも応援しております(*^^*)
わぁーめっちゃ嬉しいです!!ありがとうございます!
d( ̄  ̄)
いつもありがとうございます!