薬師、奴隷を買う、、、ん?奴隷に襲われるってどういうこと!?

さえ

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第六十二話 屋敷

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「ここは、、、、」
順調に来て2日と半日、魔物は倒したり撒いたり。

森がこの先で開けている。

「そろそろ?」

「ああ」

両サイドの木が畑に変わる。そしてポツポツと家があり、水車があり、風車までも。

この海外と日本が合わさったような長閑さ。
最高ではないだろうか?

不動産屋のおっさんが昔の貴族の空き家があるはずだから使えと言ってくれた。


もう牛注意とかの看板すらありそうな道をゆっくりと馬で進む。

道に迷う覚悟でいたのだが、なぜかリクはすんなりと廃屋に辿り着いた。



「幽霊とか、出ないよね?」

「チッ。早くいくぞ」

渡された鍵を鍵穴に差し込む。

ガチャッ

この屋敷であたりらしい。

蝶番が錆びついて重たくなったドアを、力を込めてゆっくり、破壊しないように開ける。
ギュワーと金属の擦れる嫌な音が不気味さを加速させる。

扉の動きと合わせて埃がボワッとくる。

「ゲホゴホ」

またか。また埃っぽいのか。全く、あの不動産屋のおっさんが用意する家は全部埃っぽいのか?

とはいえこんな身の上なのに家を用意してくれた不動産屋のおっさんには感謝せざるを得ない。


「早く行くぞ」

かなり躊躇われたがリクは行ってしまった。
タオルをマスクのようにして、埃っぽすぎて歩くのも躊躇われる床にスリッパを置く。また風魔法で家の空気を入れ替えることはできても、拭き掃除は免れないだろうか。













ギシギシとなる床は今にも抜けそうだ。

聞いた話では、家というものは住まなくなったら一気に朽ちるらしい。まさにこの家かもしれない。ある日突然人がいなくなったように、生活感は残っているのに傷んでいる。

この家どうなっているんだ?

「オレは二階の窓開けてくる。お前は一階のやつ全部開けろ」

「わかった」








窓を開けて、風で家中を換気した。
これだけで効果はすごい。
後はとにかく拭き掃除だ。

まずはリビングから。

リクと二人で家具を運び出しラグやソファは埃を叩き出して天日に晒す。人がいなくなって数年とかいうレベルではあるだろうが、その割にはあまり朽ちていない。高価なものなのかもしれない。

ダイニングと廊下。家具を運び出しては床を、壁を、天井をフキフキ。

この屋敷、、、広い。外見でわからなかったけど、奥に広いのか。確かに家具を庭に運び出すのは苦労したわ、と今更ながら理解する。

結局、今すぐ使う必要のある部屋だけを掃除して、空き部屋はそのままになった。




「リクー、ベッドもう一台綺麗にしたいんだけど。手伝って」

「ヤダ」

ヤダ!?

「え、じゃあどうしたら?」

「いつもみたいに一台でいいだろう」

リクは当たり前だと言わんばかりの様子だった。


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感想 20

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みんなの感想(20件)

あーる。(Kaname)

いつも楽しく拝読させていただいてます!BL大賞応援してます!さえ先生のペースで大丈夫ですよっ!頑張ってください〜( ^ω^) これからも応援しております(*^^*)

さえ
2022.10.31 さえ

わぁーめっちゃ嬉しいです!!ありがとうございます!

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しまん
2022.09.11 しまん
ネタバレ含む
さえ
2022.10.31 さえ

d( ̄  ̄)

解除
るる
2022.07.15 るる
ネタバレ含む
さえ
2022.10.31 さえ

いつもありがとうございます!

解除

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