異世界でケモミミを追いかけて

さえ

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第三十二話 ブレス

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「!?」
突然リザードが動いた。
リザードはガバリと体を起こして、唯一ウロコに覆われていない口を大きく開いてこちらに向ける。

リザードの顔を見てみると、開いた口が血の色に輝いていた。

「まずいわ!あの人、ファイアブレスに飲まれそう!ああっ、だから下がっててって言ったのに!」

今のリザードのファイアブレスの予備動作だったのかよ!
魔導士の焦り具合からして、悠長にドレインしている場合ではなかったようだ。

この状況からではどうしようもないだろうが俺はバックステップ回避を選択する。
完全に油断していた。しばらくじっとしてたからもう攻撃してこないのかと思った。
死が目前に迫っていることを自覚したからだろうか、思考が加速して世界がスローモーションに変わる。

想像通り、間に合わない。

正面からブレスを受ける。

熱い、これは焼け死んだかもな。
体がポロポロと焼け落ちていく。

実際は5秒くらいだろうか、とてつもなく長く感じられたブレスが止んだ。

即座に回避に移ったお陰で急所は外したが腕を中心に右半身にブレスを受けてしまった。

恐る恐る自分の右腕があったであろう場所を見ると完全に焼け落ちていた。

痛い。

悪魔となった今でも、死ぬ間際に感じたのと同じ痛みを感じている。

土魔法でできた身体の維持は簡単だが、作るのはものすごく魔力が必要だ。

土の混じった煙が晴れる前に魔力を使って身体を修復する。
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