異世界でケモミミを追いかけて

第二十話 飯

席に着いた後は耳障りな声もあまり気にならなくなった。

「お前まさか、料理も知らないのか？」
メニューを見つめる俺にジャックが不思議そうにいう。

「俺でもここらの料理は食ったことないが名前ぐらいは知ってるぞ？」

料理名は前世と似ていたり、同じだったりする。そもそも料理名が安直だから何かはわかる。丸焼きとか。でも材料が知らないものばかりだ。オーク？オークってまさか・・・

「ご注文は？」
水を持ってきた店員が聞いてくる。

「ベイクドオークを頼む」
ジャックが店員に頼むと、店員は早く決めろと言わんばかりにこちらを向く。

「同じので」

「かしこまりました」

「おまえそんな形で肉食うんだな。てっきり草食獣かと思ってた」

「あぁ」

悪魔は人間の飯は味こそ楽しめるものの、腹には溜まらないどころか消化に魔力がいるそうだ。

料理が来るまでに時間があるので、俺はさっき盗った財布をバックパックから取り出して持ち主の元へ向かう。