異世界でケモミミを追いかけて

さえ

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第十七話 冒険者カード

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窓口に着く。

「どうなさいましたか?」
役所口調な感じでギルドのお姉さんから言われる。

「冒険者カードを作りたい」

ジャックがそれだけ伝える。

「冒険者登録ですね」

ギルドのお姉さんは何やらゴソゴソと準備しながら対応した。

「こちらに少し魔力を流してください」
受付には家庭用プリンターみたいなのが置かれていた。

ジャックがその機械みたいなやつの上に手を置いた。

何も起きないのかと思いかけた時、機械は光りながらカードを吐き出した。

「カードの説明はこちらになります」
受付嬢はジャックのカードの内容も興味がないかのように、あらかじめ用意された紙を渡した。

「そちらの方は?」

「連れだ」

「では同じように手を置いて魔力を流してください」

俺は言われた通り手をおく。

うん?魔力を流すってどんなんだ?
俺にとって魔力は体力であり生命力である。流すと言う感覚がない。いや、勝手に全身を流れているもんだ。
でも反応しない。

そうだ、魔力を吸った時の逆の要領か。確かディアベルは魔力を吸う魔法『ドレイン』は魔力を分け与えることもできると言っていた。

それならっと思い、ちょびっと『ドレイン』で流し込む。すると機械は激しく光り、慌てたようにカードを吐き出した。

「流しすぎです」
職員が焦ったように言う。

まぁ流してしまったものは仕方がない。

もらったカードを見る。そこにある文字は日本語ではないが、何度か人のステータスを見通すうちに覚えた。日本語と文法も言葉も全く同じ。字面が違うだけだった。

うん?名前や魔力保有量、討伐したモンスターは綺麗に書いてあるのに他が掠れていたり滲んでいて読めない。

「あの・・・ここが読めないのですが」

「ぅえ?」
初めてこの職員が感情を見せた気がする。

職員にカードを渡す。

職員が固まっている。

「あの・・・」

「あっ、申し訳ありません。もう一度お願いします」

俺は魔力の流し方に原因があるのかと考えた。

「魔力を流すってどうすれば・・・」

「お前まさか魔力も流したことないのか?どれだけ温室育ちなんだ?こう意識したらあるだろ?魔法を作らずに出すみたいな感じだ」

「なんとなくわかった。いやむしろ全身に魔力が流れてる感じがする」

「全身!?」
またまた受付嬢が驚く。

今度は普段土魔法で体を形成するノリでその魔力を機械に‘流し込む‘

今度はなんの違和感もなく動き出した。

・・・。



・・・。

また掠れている。





「おかしいですね。このようなことは初めてなのですが」

「このカードでも使えますか?」

「はい。必要な項目は上手く印刷できているようですので問題はありません。第三者による冒険者カードは複製不可能ですのである程度信用もあります。紛失時や先程のような非常時にのみ再発行の手続きをいたします」

「じゃあ。このカード、このままで良いです」

「よろしいですか?今なら再発行もいたしますが」

「はい」

「わかりました。一枚目のカードはこちらで処分いたしますね」

そういって受付嬢は奥に消えていった。
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