異世界でケモミミを追いかけて

さえ

文字の大きさ
上 下
2 / 41

第二話 女神

しおりを挟む
ついさっきまで感じていた寒気が嘘のように消えていた。俺はうっすらと目を開けて、そこが夢だと気づいた。ついさっきまで歓楽街にいたはずが、冷たい床に転がされているのだから。痛みを感じないのは夢だからだろうか。
痛んでいた腹を押さえてみると、そこには傷どころか汚れすらなかった。

「ちょっとこんな時間に何?私もう風呂も入って寝る前なんですけど?」
見てくれも性格も最悪な女が降ってきた。いや自重に任せて落ちてきたというべきか。明らかに体型が欲に忠実なことを物語っている。

「あんた何そんな汚い姿で女神の部屋に寝そべってるのよ。しかもこんな時間に人の迷惑も考えないで死にあがって。女神である私の肌にシミでもできたらどうするつもりなのよ」

こいつ本当に女神なのだろうか?しかも死んだってどういうことだろう。
「あの、死んだっていうのは?」
「これだから若者は。ここがどこだか理解できないなんて、まったく信仰心のかけらもないんだから」

は?

「もういいわ。あなたには地獄に落ちてもらうから。さよなら、もう高貴な私の前に現れないで。女神としての品格が疑われるから」
しおりを挟む

処理中です...