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第十話 夕飯
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「いい時間になってしまったな。そろそろ飯もできることだろう。一人分増やせるか?」
確かに日も暮れてお腹の空く時間になった。
「問題ありません。ノリユキ殿が来た時に料理人に伝えてあります」
おお、仕事のできる人ってやつかもしれない。
「では、食堂に移動するとしましょうか。そろそろできる時間だろう?」
主人が立ち上がる。
「左様でございます。ノリユキ様、案内します」
アーガイル一家がゾロゾロと食堂に向かう。
俺はその後ろを歩くトマスの横に並び、長い廊下を進む。
「こちらです」
前を歩いていたアーガイル一家が入っていった扉の前で言われた。
俺は使用人だがいいのだろうか?
「使用人は本来は別で食べるのですが、貴方はどちらで食べていただいても構いませんよ」
微妙な立場だな。
「遠慮しないで私たちと食べよ?」
クロエお嬢様がそう誘ってくれた。
「わかりましたお嬢様」
これからはこの人が雇用人なのだ。
「もうやめて。命の恩人にそんな態度されたくないわ。使用人なんて建前なんだから」
まぁ建前だろうが本音だろうが、異世界素人にはありがたい。
他の人を見渡すと、みんな「そうだ」と言った感じの目をしていたので、下座に座った。
「それでは頂きますか」
机の上にサラダ、パンの入った籠とメインディッシュであろう肉、スープが置かれたのを見計らってアーガイル主人が言った。
この国でも いただきます なのかな?
「感謝の祈りを、、、」
違った。
わからないから周りに合わせて目を閉じて俯いた。
ブツブツとアーガイル夫人が何かを言って、謎の呪文みたいなので締め括られた。みんながそれを復唱したのを真似して取り繕った。
目の前に並べられる肉とスープ。パンは机の中央付近にいっぱい置いてある。
間違いない。これは絶対にうまい。
匂いがもう美味いんだよ。
これだけで白米食える。調理室にダクトが付いているなら、どこかのピンク色のベストを着たおっさんが白米持ってきてニコニコ顔で食っているだろう。
カトラリーを手に取り肉を切り分けて口に運ぶ。
「うま」
うん。安定した感じの美味しさだ。
脂が少なめで、でも柔らかくて。
「よかった」
クロエが喜んでる。
待ちきれずに肉から食べてしまったが、サラダも取り皿にとって食べてみる。
シャキシャキだ。
パンも取ってみる。拳大ぐらいの大きさで、フランスパンみたいに外が硬くて、中がふわふわ。
肉にはよく合う。
「ノリユキさんはお酒って飲む?」
酒があるのか!
あまり飲む方ではないが、この肉ならワインが定番だろう。
「なんのお酒ですか?」
これで度数の高いやつとか持ってこられたら飲めない。
「隣の国から輸入したワインなんてどうかしら」
完璧だ。
「いただいていいですか?」
「もちろんよ。いいよね?」
クロエが家族に目配せをして了承を得る。
まもなくトマスが紫の液体を持ってきて注いでくれた。
グラスを口元に持っていく。
よくわからんが、匂いを嗅ぐ。
多分高級な匂い。
少しだけ口に含み味わう。
「おいしい」
ちょっと辛めで複雑な味だ。
ただ、肉には合う、、、気がする。
ダメだ貧乏人の舌だ。
確かに日も暮れてお腹の空く時間になった。
「問題ありません。ノリユキ殿が来た時に料理人に伝えてあります」
おお、仕事のできる人ってやつかもしれない。
「では、食堂に移動するとしましょうか。そろそろできる時間だろう?」
主人が立ち上がる。
「左様でございます。ノリユキ様、案内します」
アーガイル一家がゾロゾロと食堂に向かう。
俺はその後ろを歩くトマスの横に並び、長い廊下を進む。
「こちらです」
前を歩いていたアーガイル一家が入っていった扉の前で言われた。
俺は使用人だがいいのだろうか?
「使用人は本来は別で食べるのですが、貴方はどちらで食べていただいても構いませんよ」
微妙な立場だな。
「遠慮しないで私たちと食べよ?」
クロエお嬢様がそう誘ってくれた。
「わかりましたお嬢様」
これからはこの人が雇用人なのだ。
「もうやめて。命の恩人にそんな態度されたくないわ。使用人なんて建前なんだから」
まぁ建前だろうが本音だろうが、異世界素人にはありがたい。
他の人を見渡すと、みんな「そうだ」と言った感じの目をしていたので、下座に座った。
「それでは頂きますか」
机の上にサラダ、パンの入った籠とメインディッシュであろう肉、スープが置かれたのを見計らってアーガイル主人が言った。
この国でも いただきます なのかな?
「感謝の祈りを、、、」
違った。
わからないから周りに合わせて目を閉じて俯いた。
ブツブツとアーガイル夫人が何かを言って、謎の呪文みたいなので締め括られた。みんながそれを復唱したのを真似して取り繕った。
目の前に並べられる肉とスープ。パンは机の中央付近にいっぱい置いてある。
間違いない。これは絶対にうまい。
匂いがもう美味いんだよ。
これだけで白米食える。調理室にダクトが付いているなら、どこかのピンク色のベストを着たおっさんが白米持ってきてニコニコ顔で食っているだろう。
カトラリーを手に取り肉を切り分けて口に運ぶ。
「うま」
うん。安定した感じの美味しさだ。
脂が少なめで、でも柔らかくて。
「よかった」
クロエが喜んでる。
待ちきれずに肉から食べてしまったが、サラダも取り皿にとって食べてみる。
シャキシャキだ。
パンも取ってみる。拳大ぐらいの大きさで、フランスパンみたいに外が硬くて、中がふわふわ。
肉にはよく合う。
「ノリユキさんはお酒って飲む?」
酒があるのか!
あまり飲む方ではないが、この肉ならワインが定番だろう。
「なんのお酒ですか?」
これで度数の高いやつとか持ってこられたら飲めない。
「隣の国から輸入したワインなんてどうかしら」
完璧だ。
「いただいていいですか?」
「もちろんよ。いいよね?」
クロエが家族に目配せをして了承を得る。
まもなくトマスが紫の液体を持ってきて注いでくれた。
グラスを口元に持っていく。
よくわからんが、匂いを嗅ぐ。
多分高級な匂い。
少しだけ口に含み味わう。
「おいしい」
ちょっと辛めで複雑な味だ。
ただ、肉には合う、、、気がする。
ダメだ貧乏人の舌だ。
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