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2章 スローライフ?(ハテナ)編
6 到着
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「これが王都?」
「んなわけねぇだろ」
単調な森を数日かけて抜けたら、農地や小屋など人間の営みがちらほらと見えるようになった。
もちろんこれが王都だとは思っていないが、森抜けた先は平地だと聞いていた。
これも王都の端なのか。いくつかの門なり壁なりを抜けて王都の中心部にたどり着くものなのだろう。
「でも、必要なものは買えそうだね。だから持っていく分が少なかったのか」
アセナが頷く。
この狼人流石~連れないとこはあるけど、そういう準備だけはしているのだから。
このポツポツとした家が村になり街になっていく。次第に宿や飯屋も見かけるようになり、旅の水準も上がっていくことだろう。今日中にはそうなるかもしれない。
でもこの旅は元々幸福水準が高い。アセナは無口だし、冷たいけど、、、なぜ高いか?
今も狭い御者台の上でアセナの腕の内にいるからだ。なんなら頭の上に顎すら乗せられている。
僕は幸せものか!?と最近本当に考え込んでしまう。
「なんだァまだ足りねぇのか?」
一人で色々考えて顔を赤らめたり、反応しそうになったモノを足を閉じて隠そうとしたりしていたらアセナにバレてしまった。
首をふり否定の意思と、脳内のピンクを取り払う。
「違う!!」
アセナの上がっていた口角が興醒めだと言わんばかりに下がってしまったが、流石にヤってばかりではいつまで経っても目的地に到着しない。
そんな感じのやり取りを何度か繰り返して数日、大きな建物が周りを取り囲むほど都心に到着した。
「はぁやっと着いたね」
ギルドが手配してくれた宿を名前を頼りに見つけ出した。
「ん?あぁ」
流石にアセナも疲れたのかベッドに腰掛け、尻尾をビシビシとマットレスに叩きつけながら欠伸をする。
「部屋でご飯にする?」
夕方、もうそろそろご飯にしてもいい頃合い。どうせ明日はギルドに行かないと行けないし、今日ぐらいは部屋でゆっくりしたいところだ。
部屋に置いてある魔道具でその旨を受付に伝えると、料理は普通のレストラン並みの速度で運ばれてきた。
この世界に冷凍をレンジで解凍とかそんな技術あったっけ?と不思議に思うほどだ。
部屋に備え付けられた机に配膳される。
ステーキに、この世界では意外と高そうな柔らかそうなパン。ポテトサラダに謎の野菜が混ぜ込まれたやつ。スープもついてきた。
なるほど。手がかかるように見えても、宿の調理場規模で作るとすぐ提供できるのか。
まぁなんでもいい。美味しかったらそれでいい。
酒は明日のためを思って頼んでいない。
「頂こうか、、、ってもう食べてるんだね」
僕が丁寧にも配膳係の人が部屋から退出していくのを見守っている間にムシャムシャと冒険者らしい大胆さで口に詰め込んでいた。
「オメェもあやくくえ。ココのやつ、なかなかいけうぞ」
口にパン詰めながら喋るアセナがなんか好きって思ってしまう自分はなかなかに盲目なんだろうなぁ。
「ほんとだ、うまっ」
不本意ながらギルドに派遣させられた王都だが少しこの状況のきっかけをくれたことに感謝していいかもと思えた夜だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お久しぶりです。
次回から数話アセナ視点が続きます。
「んなわけねぇだろ」
単調な森を数日かけて抜けたら、農地や小屋など人間の営みがちらほらと見えるようになった。
もちろんこれが王都だとは思っていないが、森抜けた先は平地だと聞いていた。
これも王都の端なのか。いくつかの門なり壁なりを抜けて王都の中心部にたどり着くものなのだろう。
「でも、必要なものは買えそうだね。だから持っていく分が少なかったのか」
アセナが頷く。
この狼人流石~連れないとこはあるけど、そういう準備だけはしているのだから。
このポツポツとした家が村になり街になっていく。次第に宿や飯屋も見かけるようになり、旅の水準も上がっていくことだろう。今日中にはそうなるかもしれない。
でもこの旅は元々幸福水準が高い。アセナは無口だし、冷たいけど、、、なぜ高いか?
今も狭い御者台の上でアセナの腕の内にいるからだ。なんなら頭の上に顎すら乗せられている。
僕は幸せものか!?と最近本当に考え込んでしまう。
「なんだァまだ足りねぇのか?」
一人で色々考えて顔を赤らめたり、反応しそうになったモノを足を閉じて隠そうとしたりしていたらアセナにバレてしまった。
首をふり否定の意思と、脳内のピンクを取り払う。
「違う!!」
アセナの上がっていた口角が興醒めだと言わんばかりに下がってしまったが、流石にヤってばかりではいつまで経っても目的地に到着しない。
そんな感じのやり取りを何度か繰り返して数日、大きな建物が周りを取り囲むほど都心に到着した。
「はぁやっと着いたね」
ギルドが手配してくれた宿を名前を頼りに見つけ出した。
「ん?あぁ」
流石にアセナも疲れたのかベッドに腰掛け、尻尾をビシビシとマットレスに叩きつけながら欠伸をする。
「部屋でご飯にする?」
夕方、もうそろそろご飯にしてもいい頃合い。どうせ明日はギルドに行かないと行けないし、今日ぐらいは部屋でゆっくりしたいところだ。
部屋に置いてある魔道具でその旨を受付に伝えると、料理は普通のレストラン並みの速度で運ばれてきた。
この世界に冷凍をレンジで解凍とかそんな技術あったっけ?と不思議に思うほどだ。
部屋に備え付けられた机に配膳される。
ステーキに、この世界では意外と高そうな柔らかそうなパン。ポテトサラダに謎の野菜が混ぜ込まれたやつ。スープもついてきた。
なるほど。手がかかるように見えても、宿の調理場規模で作るとすぐ提供できるのか。
まぁなんでもいい。美味しかったらそれでいい。
酒は明日のためを思って頼んでいない。
「頂こうか、、、ってもう食べてるんだね」
僕が丁寧にも配膳係の人が部屋から退出していくのを見守っている間にムシャムシャと冒険者らしい大胆さで口に詰め込んでいた。
「オメェもあやくくえ。ココのやつ、なかなかいけうぞ」
口にパン詰めながら喋るアセナがなんか好きって思ってしまう自分はなかなかに盲目なんだろうなぁ。
「ほんとだ、うまっ」
不本意ながらギルドに派遣させられた王都だが少しこの状況のきっかけをくれたことに感謝していいかもと思えた夜だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お久しぶりです。
次回から数話アセナ視点が続きます。
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