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1章スローライフ準備編

55 閑話4 襲う※

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言われた通り、すぐにザクセンと名乗る初老のおじさんはきた。

「よろしく頼む。ザクセン、、だ」

少し寡黙な印象のある方だ。

「よろしくお願いします」

「フン」
アセナはいつもの調子だ。

アセナからは事前に無駄な話を好かないジジイだと聞いていたので特に違和感はなかった。

「あの、、、お二方はどういった、、、?」

「伴侶だ」
アセナが間髪入れずに答える。
それがすごく嬉しい。

「なら角の二人部屋を用意しよう。食事は?」

「いつも通りでいい」

慣れっこのアセナが打ち合わせをしているらしい。

いくつかの言葉が交わされた後、宿に案内された。
案内中も終始ザクセンさんは無言だったが、拒絶されているようには感じなかった。




「ふぁー疲れたねー」
部屋の鍵を受け取って食事の時間までは各自自由な時間となった。

二台置かれたベッドのある部屋。片方はアセナがもう既に寝転がって陣取っている。
もう片方に腰掛けてアセナと他愛もない話でもする。




普段はアツアツの新婚みたいな一つのデカいベッドに二人アツアツになっていたのだが、今夜はひとりぼっちか。

いっそアセナの今寝ている狭いベッドに乗り込んで襲おうか?

自分だって一端の男だし、たとえ受けでも悶々としてくるのだ。

口笛でも吹きそうな雰囲気で天井を見ながらくつろいでいるこの狼め。




夜ご飯までもう少し時間がある。




よし襲おう。


ふらりと立ち上がり、アセナの足元に立つ。

「ぅん?」
アセナが面倒そうに顔を上げて、目があったがもう遅い。

アセナが怪我しないように飛びかかり、アセナの腰の上にまたがる。

ベッドが大きく揺れたが、無事アセナに力が加わらないように覆い被さることができた。

「お、おいっ」

びっくりした様子ではあるが気を許してくれているため、防御も何もせず、今からすることを察してくれているようだ。
というか、この目はアセナも意外と乗り気なようだ。

「フン、何しやがんだ?」

答えは耳ではなく口に伝える。

いつもはアセナにひったくられるようなキスばかりだが、初めて自分からアセナに盗みに行く。

アセナの口内を蹂躙、、、ちょ。主導権が、、、

そうだった。アセナは組み伏せられるほどヒョロじゃないし優しくもない。

少しずつアセナの口角が上がっていき、形勢が逆転してくる。

でも今回は襲うって決めたんだから負けれられない!
いつもに増して激しいキスはちゅぷちゅぷと淫らな音を立てる。

気がついたらアセナと握り合っていた手を離し、彼の下半身に手を伸ばす。

既に爆発しそうなテントを張ってくれていた。この中にアセナのが。

一度唇を離し、お互いの唾液で糸を引いた。

次はこの布の下で苦しんでいるモノにキスをして、アセナを追い詰めるぞ。

ベルトに手をかけ、外そうとする。

早く舐めたいと焦る気持ちのせいかカチャカチャと上手く外せない。

「馬鹿か?」
アセナはそれだけ言って自分でベルトを外した。

ビタンッという効果音が似合うような勢いで下着に封じ込められていたアセナのペニスが解き放たれ、顔に当たった。

アセナを力で追い詰めることはできないのでここから追い詰めてやる!

(つづく)
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