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1章スローライフ準備編

31 迷宮④

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「おい、そっちはお前がやれ!」

第五層、未踏の層になると格段にモンスターとのエンカウントは増えた。

「お願いだから煤は出すなよ」

ここは森のようになっている階層である。自ずと森にちなんだモンスターが多い。中でもトレントのようなモンスターを燃やすと煤がでて、それを吸い込むと咳き込んでしまう。ちっちゃいのは剣とかなんなら素手でパキッとやってしまえばいいが、デカいのは遠くからファイアーしたくなる。トレントをファイアーしてるうちに凶暴化して目がイカれてる猿のモンスターの相手をしなければいけない。鳥も虫も敵である。

体勢を立て直すために一歩後退りするとアセナと背中があった。

「おいおい、なにビビってんだ?」

「アセナこそ」
お互いに一歩下がったのだ。

「3、2、1でお前の魔法をぶち撒けろ。そんでオレのブーツに魔法をくれ」



前やったあれか!

「3」
この間にアセナのブーツに魔法を込める。

「2」

「1」
目の前を火の海にする。

背後では火柱の蹴りが上がる。

森に着いた火は水で適当に鎮火しておく。最悪燃え広がっても、その時はこの階層にいないだろうという計算だ。

「げっ、うさぎ」

火の奥から現れたのは大量のうさぎの魔物だった。

「囲まれちまったな」

一体一体は弱いが、なんせこの数と結束も強い。もう一度火の海にしてもいいが、階層主のために残しておきたい。
魔剣は、、、

まだ残しておこう。

腰からそっと剣を抜く。
「そんな剣を持っちゃ可愛げがねーな」
練習の時より明らかに長くて良いものを使っている。

「悪いな」

「いや、上等だ」

アセナと僕が戦闘を開始したのはほぼ同時だった。お互いに先手を奪いに行った。

アセナが蹴り飛ばし、一瞬で命のない肉塊に変わってしまった元ウサギが他の個体まで死骸に変えて行く。

僕もそれを見習って剣をバットみたいに振る。
アセナは4連したが、僕は当たった一匹とその巻き添えを食らったもう一匹の計二匹しか死ななかった。
こっそりその延長線上にいたやつも気管を焼いて死に至らしめて3連したように見せておいた。
この戦い方は剣の僕には合わないな。剣が傷んでしまう。

しっかり急所を突くスタイルで頑張ろう。













バタンッ、キュ~

最後の一匹を仕留める。





「行くか」
なんとかうさ地獄を乗り切った。そしてフラグが立つようなことも言わなかった。


「モンスター化すると味は落ちるんだね」
今手に持っている焼いた肉はモンスターウサギ肉だ。食べ歩きスタイルで下層を目指す。

スパイスとか洒落たものも持ってくればよかったがない。でもそこでスーパーダーリンなアセナ様だ。ダンジョンに生えている適当な香草を見繕って来てくれた。












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