オオカミ獣人にスローライフの邪魔される ツンデレはやめてくれ！

1章スローライフ準備編

27 冒険

慌てて冒険の用意をする。
北の森。自分の実力でどうだろうか。

やっぱり手っ取り早く力を手に入れることができるのは魔剣だろう。

魔剣を、、、


今まで家を建てるつもりでお金は貯めていたのだ。
魔剣、一本か二本ぐらいなら買えなくもないだろう。
ついでに防具も整えて、普通の剣も新調して、、、、









「ははは、お金なくなっちゃったや」

アセナに会えると思うと、つい夢中になって買い漁るうちに、しばらく貯めたお金はぶっ飛んだ。自嘲気味な笑いはでたが、後悔はしていない。
いや、している。自分のアセナに対する気持ちを見て見ぬふりをしてしまったことだ。

今更アセナに謝って許してくれるだろうか？
しかも力を示すつもりなら下手に助けに行かない方が、、、でも、
今行かないと後悔するぞと、第六感、いや転生時にお世話になった女神に言われた気がした。




中堅冒険者ぐらいには見えるであろう格好で村を出た。
時間なんて関係ない。酒もものすごく飲んだわけではなかったので、もう抜けた。

馬を借りた。迷宮の入り口に置いていくつもりだが、ひょっとしたら片道でサヨナラかもしれない。

「ごめんよ。グルタミン」

馬の乗り方、祖父とアセナに教えてもらっててよかった。お陰様でぶっ飛ばしていける。名前は美味しそうだったから『グルタミン』だ。






「クソっ」
やっぱり森に入ると魔物に出会わないで進むことができなかった。馬からの戦いは慣れないけれど、新しくかった剣のリーチが長いおかげでなんとかなっている。それとグルタミンは賢いことも良かった点だ。

アセナまでの道のりに足止めを喰らい頭に血が昇る。

「なんのこれっきり、この前の虫よりマシだ」

何故か涙が溢れ出るから、馬のスピードを上げて涙すらも吹き飛ばした。


段々とアセナの気配が強くなる。もちろん匂いがするとか、声が聞こえるとか、そんなのは僕にはわからない。ただ、瀕死の魔物が落ちてたり、戦いで付いたであろう傷が木にあったり、、、これは全部アセナの痕跡だと思う。

ついさっきというほど最近には見えないが、ここを通ったのは間違いなさそうだ。

まさかアセナがとは思うが、どうか無理しないでほしい。

途中、売れば相当な金が入るであろうドロップアイテムや、キノコなど見かけたが無視した。そんなものを集めている暇はない。

アセナが最近一掃したのか、幸いにも手を焼くモンスターに出会ってないのだ。長居せずに迷宮に突入するのがいいだろう。
次ここを通る時、アセナと一緒にゆっくり集めればいい。


「これが、、、」

特に人工的なものは何もない。穴があった。この中は地上とは違うモンスターが湧いたりする迷宮だそうだ。

アセナの気配が消えないうちにと、意を決して踏み込んだ。