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1章スローライフ準備編
17 奮闘
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「あんまり水に近寄るとまたモンスターに襲われるぞ!」
ラルフが注意してくれている。
僕は無言で頷いた。
ちなみにだが、‘また‘というように何回か襲われている。でも全部返り討ちにしてやった。今ラルフとオスカーが持っている焼けた魚がその残骸だ。
今蜜を設置している。蓋を開ければ効果が出始める。虫除けは既に肌に噴霧してあるから、あとは蓋を開ける覚悟だけだ。
「開けますよー。3、2、1」
もちろんだが突然に集まるなんてことはない。風ににおいが乗って、その匂いに誘われてだんだん集まり始める。
「ラルフ、オスカー!隠れて!」
あらかじめ決めていた場所に隠れる。どの方向から虫がくるか観察できる。
来た。
虫除けはしているが、目立たない方がいいということで声は出さない。
虫除けが効かないモンスターは僕が魔法で焼き払うか各自で対処する。まぁそういうモンスターはなかなかこんな蜜で呼び寄せることはできないらしいが。
「お、キタキタ」
ラルフがコソコソと呟く。
飛行系はやっぱり早いな。近くにいた蜂が巨大化したみたいなやつがブンブンくる。この後ムカデみたいなのも来ると考えると億劫だ。
ゴゴゴゴ
なんか集まりが悪いなぁ、ダリの実は遠いのかなぁとかって思っていたとき地鳴りみたいなのが響いた。でも、遠いな。
ラルフやオスカーとアイコンタクトをとるが、遠いという判断は同じのようだ。
あ、今の地鳴りで虫が離れてしまったか?
元通り観察を続ける。
「ん?、、、おい!」
突然、オスカーが大きな声を出して動き出した。
隠れていたのに飛び出すのが見えた。
「えっ、ちょっ」
気がついた時には横抱きにされて抱えられていた。そしていつの間にか隣にはラルフも走っている。
「な、何!?」
「あぁクソッ」
普段のラルフとは思えない切羽詰まった声を聞いた。進行方向に何かがあるとすぐにわかった。
「はは、どうやら目当ての実はこの先のようだがちょっと厳しいかもしれないな。囲まれた」
今になってモンスターに囲まれたことに気がつく。反応できなかったのは経験の差か。
多種多様な虫が普段協力などしないはずなのに足並みを合わせてジリジリと距離を詰めてきている。
一個体からの威圧なんて感じ取れないぐらい微細なのに、集団としての威圧を感じ取る。
汗が、首筋、、背中を伝う。
「すまないが俺、いや俺たちはここを切り抜けられる自信はねーや、ははは。なんとかタイミングを見て逃げ出してくれないか?アセナに怒られちまう」
なんでここでアセナが出るんだ?
3人で背中を合わせあってモンスターと対峙する。二人の震えが背中に伝わるが、僕も足に力を入れるのがやっとなぐらい震えてしまって誰の震えかはもはや分からない。
360度
羽虫の気持ち悪い羽音
ウネウネと動く足
そして残念だが退避できそうな道なんて見つからない。
どれも人間以上のサイズ。蜂、ムカデ、装甲を持った虫。そしてそれを取り纏めるかのように君臨するアリ。アリだからといって舐めてはいけないとは前世でよくいったものだ。この世界のアリは数こそ少ないものの装甲、知能、パワーどれもがかなり抜きん出ている。個体によっては魔法なんかも使うとか。でもまさか他の種族の虫を使役して襲い掛かってくるとは。
アセナなら一人で切り抜けるだろうか。それとも初めから持ち前の耳と鼻を使って蜜なんて危険なものは使わないかもしれない。
でも今残された道は、、、
戦わなければ。
「ぼ、ぼ、僕はラルフとオスカーとなら切り抜ける自信があります!だから僕は戦います」
剣を抜き取って、互いに支え合っていた背中から抜け出す。
ラルフとオスカーはそんな初心者の姿に呆気に取られたが、すぐに負けてられないと己を奮い立たせた。
「クス、そんなビビりながら言われてもなぁ。でも俺たちも最初っから野垂れ死ぬ気はない。ただお前に何かあったらアセナになんて言われるかな、、、そうだな、普段アセナに教えてもらったこと、全部生かして戦え!いくぞ!」
ラルフが注意してくれている。
僕は無言で頷いた。
ちなみにだが、‘また‘というように何回か襲われている。でも全部返り討ちにしてやった。今ラルフとオスカーが持っている焼けた魚がその残骸だ。
今蜜を設置している。蓋を開ければ効果が出始める。虫除けは既に肌に噴霧してあるから、あとは蓋を開ける覚悟だけだ。
「開けますよー。3、2、1」
もちろんだが突然に集まるなんてことはない。風ににおいが乗って、その匂いに誘われてだんだん集まり始める。
「ラルフ、オスカー!隠れて!」
あらかじめ決めていた場所に隠れる。どの方向から虫がくるか観察できる。
来た。
虫除けはしているが、目立たない方がいいということで声は出さない。
虫除けが効かないモンスターは僕が魔法で焼き払うか各自で対処する。まぁそういうモンスターはなかなかこんな蜜で呼び寄せることはできないらしいが。
「お、キタキタ」
ラルフがコソコソと呟く。
飛行系はやっぱり早いな。近くにいた蜂が巨大化したみたいなやつがブンブンくる。この後ムカデみたいなのも来ると考えると億劫だ。
ゴゴゴゴ
なんか集まりが悪いなぁ、ダリの実は遠いのかなぁとかって思っていたとき地鳴りみたいなのが響いた。でも、遠いな。
ラルフやオスカーとアイコンタクトをとるが、遠いという判断は同じのようだ。
あ、今の地鳴りで虫が離れてしまったか?
元通り観察を続ける。
「ん?、、、おい!」
突然、オスカーが大きな声を出して動き出した。
隠れていたのに飛び出すのが見えた。
「えっ、ちょっ」
気がついた時には横抱きにされて抱えられていた。そしていつの間にか隣にはラルフも走っている。
「な、何!?」
「あぁクソッ」
普段のラルフとは思えない切羽詰まった声を聞いた。進行方向に何かがあるとすぐにわかった。
「はは、どうやら目当ての実はこの先のようだがちょっと厳しいかもしれないな。囲まれた」
今になってモンスターに囲まれたことに気がつく。反応できなかったのは経験の差か。
多種多様な虫が普段協力などしないはずなのに足並みを合わせてジリジリと距離を詰めてきている。
一個体からの威圧なんて感じ取れないぐらい微細なのに、集団としての威圧を感じ取る。
汗が、首筋、、背中を伝う。
「すまないが俺、いや俺たちはここを切り抜けられる自信はねーや、ははは。なんとかタイミングを見て逃げ出してくれないか?アセナに怒られちまう」
なんでここでアセナが出るんだ?
3人で背中を合わせあってモンスターと対峙する。二人の震えが背中に伝わるが、僕も足に力を入れるのがやっとなぐらい震えてしまって誰の震えかはもはや分からない。
360度
羽虫の気持ち悪い羽音
ウネウネと動く足
そして残念だが退避できそうな道なんて見つからない。
どれも人間以上のサイズ。蜂、ムカデ、装甲を持った虫。そしてそれを取り纏めるかのように君臨するアリ。アリだからといって舐めてはいけないとは前世でよくいったものだ。この世界のアリは数こそ少ないものの装甲、知能、パワーどれもがかなり抜きん出ている。個体によっては魔法なんかも使うとか。でもまさか他の種族の虫を使役して襲い掛かってくるとは。
アセナなら一人で切り抜けるだろうか。それとも初めから持ち前の耳と鼻を使って蜜なんて危険なものは使わないかもしれない。
でも今残された道は、、、
戦わなければ。
「ぼ、ぼ、僕はラルフとオスカーとなら切り抜ける自信があります!だから僕は戦います」
剣を抜き取って、互いに支え合っていた背中から抜け出す。
ラルフとオスカーはそんな初心者の姿に呆気に取られたが、すぐに負けてられないと己を奮い立たせた。
「クス、そんなビビりながら言われてもなぁ。でも俺たちも最初っから野垂れ死ぬ気はない。ただお前に何かあったらアセナになんて言われるかな、、、そうだな、普段アセナに教えてもらったこと、全部生かして戦え!いくぞ!」
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