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1章スローライフ準備編

16 虫

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「進行方向に対し8時の方向からウルコブラ接近!俺が対処する!」
先程からこのような声かけが増えているが、想定内だ。

しかしオリさんに言われていた通り、そう簡単にはダリの実は見つからないようだ。
クエストはほとんどクリアしてしまった。
もう少し難易度の高いのも受ければよかったかもしれないと思うほどあっさりと。

「うーん。近くには虫系のモンスターが多いとかって聞いたんだけど、満遍なく色んなモンスターに出会うね」

「そうだな、、、なるほど、虫系ね」

鬱蒼とした感じが特徴のこの辺で虫系が集まるところ、どうやって探し出そうか。

「なぁ虫の位置がわかるやつとかあったっけ?」

「そんな魔道具みたいなのない」

そんな魔道具、探せばあるかもだが、高い。

「だよなー」

「そもそも魔道具なんて持ってきましたっけ?」
そもそもここなのだ。マジックバッグぐらいしか魔道具を持ってない気がする。

しばらくみんなであーでもないこーでもないと考える。

「虫を惹きつけるあの蜜は?パンに塗ると美味いやつ」


「持ってきてはいるな。しかし、ここで使うとひどいことになる気がする」
虫系のクエストも受けたので、そういうのも用意していれていたようだ。ちなみに僕は逆に虫除けを持ってきている。

「どこか様子の見える位置に隠れて、どの方角から虫がたくさんくるか見たらいいんじゃないのか?」

いい案だが、このジャングルで魔物に見つからないように虫を集めるのはちょっと厳しいかもしれない。

「確かにいいかもしれないが、少しリスクが高い。あと近くにその目的の、、

「ダリの実」

そうダリの実がなければ無駄に終わるのではないか?」

「その時はアキトっちの魔法でファイアーしちゃえばいいじゃん」

頼ってくれるのは嬉しいが、魔法も蜜も無駄遣いは良くないだろう。

「頼ってくれるのは嬉しいんですけどね、ははは。その時はこの虫除けでも直接振りかけてやりますか、はは」
ファイアーできなくはないよ、でもあんまり乗り気じゃないよって意識を込めて返事をした。

「虫除け??持ってきてるの?」

「はい」
実の周りは虫が多いと聞いていたから、取るために近づくには虫除けが必要だと感じたからだ。

「ならそれ使って潜伏すればいいんじゃねーか?」
確かに。そしたら虫からしたら「なんか近寄りたくないな、でもこの奥に目当てのものがあるんだよなぁー」みたいな感じで僕たちのことを無視してくれるかもしれない。

「いいなそれ。なぁアキト、あとはタイミングだけなんだけど他に特徴はないか?」

「うーん。見つからなすぎて共通点がわからないらしい。近くでは虫が集まるのと、、、大工のオリさんには水辺かもね、とは言われたけど。どうして?って聞くとそんな気がするって言われて、根拠がないから」
なんで水辺なのかはわからないけど何か理由があるのだろうか?

「なるほどな、この辺りは水辺も多いからな。ひょっとしたら実の特徴から言ってるのかもな。瑞々しいみたいな?」
そういうことか。でもまぁ感覚って感じなんだろうな。

「なら川辺とかで使いますか。上流か下流かわかるだけでも大きいですし。、、、ほんと付き合わさせて申し訳ない」
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