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1章スローライフ準備編

14 大工

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「前言っていたのは覚えている。もう少し具体的な話をしよう。お前がここに来たということは金の工面ができたということだろう?」

一括でポンと買えるほどではないが、前金を出せるぐらいには貯まった。それもこれもアセナのおかげだ。いつかちゃんと恩返ししないと、、、でも、お金は受け取ってくれないからなぁ。

それはそうと今日は立地、間取りなど本気で具体的なことを打ち合わせして行かなければいけない。
今のところ一人だが、伴侶のことも考える。ただ、候補はいないが。

そんな時、なぜかアセナが思い浮かんだが、、、あくまで師弟関係。お客として呼ぶことはあっても伴侶ではない。なんだか無性にこの場にアセナが必要だったようにも思えるが、それは多分一人で決めるよりも何か他の人の意見が欲しい、、、というだけだ。

「立地は村の離れ、モンスターの影響がないところで」

「この村の南西には丘がある。人里から離れるから誰もいない土地だ。モンスターの危険に関しては冒険者のお前やアイツ、、、いや、俺がいるなら大丈夫だろう」
オリさんがわざわざ魔物退治してくれるのか?

ん?あと、アイツとは誰だ?

「あの、僕一人ですよ?」

「はぁ、、、なんでもいい。お前一人でもなんとかなる程度なのだ」
どうしてそんなに面倒そうになるんだ。

「土地の広さは、、、」

「村長と相談になるが、望む分だけくれるだろう。特に使い道がないからな」
なるほど。税金とかの話もしなければいけないだろう。

それよりももっと重要なのは設備と間取りだ。

「オリさんオリさん、お風呂、付けれます?」

「ん?湯を溜めて浸かるやつか、、、」
この国、、、この村の風呂とはこの程度の認識だ。

「それです!」

「作れなくもないが値は張るぞ」
それは考慮済みだ。

ただ、このままアセナにぶら下がってチマチマやってくとなると気が遠くなりそうだ。

「それは、、、なんとかし、「負けてやってもいいがな」」

「え?」
負けるって、値引き!?
しかも食い気味に言われた。

「頼みはきけるか?冒険者として」

「ええ、なんでも、、僕にできることなら」
一応冒険者だし。

「ふーん、なんでも、ねぇ」
目の前のソファーに座っていたオリさんが身を乗り出し、僕の顔、顎のところに手を添える。

な、なんなんだ。

「な、なんでしょう」

「なんでもなんて、あまり言うのではない。今回はクエストとして発注してやる」
顔と顔の距離が近い、、、全く大工といえば貫禄のあるオヤジが定石なのになんでこんなに若くてイケメンがやってるんだ。大工というより、若手で成り上がった建設会社の社長みたいだし。

「村の南にあるダリの実を取ってきてくれ。大好物なんだ。あまり出回らないものだから絵を渡そう」
耳元で囁くように言われる。

「は、い?」

「レアだから見つけるのは大変だろうが頑張ってくれ」
そういうことか。金が無理ならその実を探す労力で支払えということなのだろう。
まぁそういうのも冒険者らしい。

「はい!頑張ります!」
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