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1章スローライフ準備編

12 獣人酔

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「ったくヨォ。お前はまだ素直に冒険者として成長してくれるだけいいぜ」

これは一体どういう状況なのだろうか。アセナに抱きしめられながら座っている。

「酔ってるね」

「こんなんで酔うかぁ!ったくよ揶揄ってんのか。殴り殺すぞ!」
とまぁさっきから物騒なことを言いながらも、僕に抱きつき、時折肩に顔を押しつけてきたりしている。

完全に酔っているのだろう。確かにそこそこなペースで飲んでいた。
僕は前世でもお子ちゃまな舌もあってかお酒は苦手だった。たまに飲んでたけど。

「アセナ、そろそろシャワー浴びてきたら「お前ちょっとこっち向けぇ!」ど、、う、え?」

言われた通りに顔だけ振り向く。

「わぶっ」

唇と唇が合わさる事故が起きたと瞬時に分かった。
即座に頭を離して逃れようとするが、アセナにガッチリと後頭部に手を添えられ、離すことができない。
それどころか、アセナの肉厚な舌が口に侵入してくる。

い、息が!
鼻で息をすればいいなんて、はじめての僕には気付きようがない。

やっとアセナの舌による蹂躙が終わった時、とんでもないことをしてしまったのではないかという気になる。

「あの、、、これにはどういう意味が、、、、」
ひょっとしたら、しなくてもこの世界には日常的なキスの文化があるのかもしれない。

「こ、これも、、、冒険者のな、その、師弟関係のだな絆のだな、、」
なるほど。

だからアセナはあんなにも自然に僕の唇を奪ったのか。
でもそう考えると、この国の人は他の人もそういうことをしているということのなる。アセナが僕以外とも、、、、しかも、僕のはじめてなのに。

って何考えてんだい!文化なんだから。前世の考え方は関係ないんだから。

「そ、そ、そ、うなんだ。なんというか、その、恥ずかしいなぁなんて、、、」

「オマエそんなこと言ってると、、、」
ガタン。

言ってるとどうなるのか。それを聞く前に僕に覆い被さるように寝てしまった。

「重い、、、」
筋肉は重いのだ。でもアセナは筋肉の塊というよりかは、細い。つまり僕が非力すぎるのか。

なんとかアセナの下から這い出て、アセナを仰向けにする。
睨んでいることが多い顔ではあるが、こうしていると本当に整った顔だと思う。
モテると思う。
この野生的な目に可愛い耳と尻尾。ちょっと怖い性格もあってギャップで可愛いになる。巷の女性たちにそういう目で見られていることも最近知った。

「そんなとこで寝たら大事な身体壊しますよー」

酒のせいで眠りが深いのか起きない。
普段僕が寝ている布団を横に持ってきてアセナを寝かせる。僕も男だし持ち上げれなくもないだろうが、意識がない人を持ち上げるのはいつも以上に力がいる。

「仕方がないから今日はアセナのベッドで寝ますよー」
聞いてないだろうが、一応断っておく。
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