11 / 65
1章スローライフ準備編
11 依頼(アセナ視点)
しおりを挟む
「アセナさん。指名依頼が入っています」
森から帰り、アキトが換金している間に受付嬢に呼び止められた。
そろそろではないかと思っていたが、やはりいつも通りの依頼が来た。
商人のお迎えと護衛。
その商人は近隣の村を回っているのだが、ワガママにも北の森を抜けてこの村に来たいと言う。
北の森は迷宮があったり、魔力溜まりで凶暴強大化した魔物などがいたりして非常に難易度が高い。
面倒なことこの上ないが、金払いがいい挙句、この村にはそれを受けられるのがオレしかいない。
「チッ」
その商人のおっさんはオレの気質をわかってか一切話しかけてこないから気楽は気楽である。
アキトを連れて行くにはオレの能力が足りない。この前連れて行ったのはまだ浅いところなのだ。だから置いていく。暫くはアキトとは離れ離れになってしまうだろう。それが何故か異様にイライラする。オレが働いている時にアキトは村でゆっくりするのかというイライラだと自己分析する。
「本当にいいの?アセナ?」
こう気安く話しかけてくれるのはアキトだ。
「いらねーよそんな端金。、、、オレ指名依頼がきた。だからしばらく出かける」
「え?連れ「連れてけねぇ」」
被せたせいかアキトが黙ってしまう。
「北の森だ。いずれは連れてってやるけどよ、まだ早ぇ」
「そっか。僕もっと強くなるね」
少し残念そうだが納得してくれた。
「はっ、いきがるなガキが」
純粋に楽しみだ。
「おかえんなさい。アセナ!アキトに怪我させてないでしょうね!!」
「させてねぇよババアが」
アキトは後ろで苦笑いしている。
「今日はここで食う」
「そうかい、ならシャワーでも浴びて待ってな」
先にオレがシャワーを浴びて、カウンターにアキトと並んで座る。
「酒、ミラ酒」
「僕はお茶を」
はいはいと言いながらテキパキと準備してくれる。
やっぱり食堂の店主だけあって酒も料理も味は確かだ。
出てきた酒でクッと喉を潤す。
「やっぱりここの酒、味は確かだな」
「当たり前よ。舐めたこと言ってると次は水だかんね!」
そんなことを話している間に料理が出てくる。
揚げ物に、パスタにパンだ。
冒険者仕様でどれも満足いく量が盛られている。
「えっ、、、」
何故かアキトは戸惑っているがこんなの冷めたら負けだ。温かいうちに美味しく食べきるのが一番いい。
「おら、お前もあやううえ」
アキトも覚悟が決まったのかガツガツと食い始める。
出会ったばかりの時は残しそうになっていたが、最近は食べ切れるようになってきているようだ。
全く食い物の量はどうでもいいが、酒が回ってきたからか雑魚冒険者が蔓延ることに苛立ちを思えた。そんな雑魚たちに比べたらなんてアキトは可愛いことか。素直に聞いて成長してくれるし。
森から帰り、アキトが換金している間に受付嬢に呼び止められた。
そろそろではないかと思っていたが、やはりいつも通りの依頼が来た。
商人のお迎えと護衛。
その商人は近隣の村を回っているのだが、ワガママにも北の森を抜けてこの村に来たいと言う。
北の森は迷宮があったり、魔力溜まりで凶暴強大化した魔物などがいたりして非常に難易度が高い。
面倒なことこの上ないが、金払いがいい挙句、この村にはそれを受けられるのがオレしかいない。
「チッ」
その商人のおっさんはオレの気質をわかってか一切話しかけてこないから気楽は気楽である。
アキトを連れて行くにはオレの能力が足りない。この前連れて行ったのはまだ浅いところなのだ。だから置いていく。暫くはアキトとは離れ離れになってしまうだろう。それが何故か異様にイライラする。オレが働いている時にアキトは村でゆっくりするのかというイライラだと自己分析する。
「本当にいいの?アセナ?」
こう気安く話しかけてくれるのはアキトだ。
「いらねーよそんな端金。、、、オレ指名依頼がきた。だからしばらく出かける」
「え?連れ「連れてけねぇ」」
被せたせいかアキトが黙ってしまう。
「北の森だ。いずれは連れてってやるけどよ、まだ早ぇ」
「そっか。僕もっと強くなるね」
少し残念そうだが納得してくれた。
「はっ、いきがるなガキが」
純粋に楽しみだ。
「おかえんなさい。アセナ!アキトに怪我させてないでしょうね!!」
「させてねぇよババアが」
アキトは後ろで苦笑いしている。
「今日はここで食う」
「そうかい、ならシャワーでも浴びて待ってな」
先にオレがシャワーを浴びて、カウンターにアキトと並んで座る。
「酒、ミラ酒」
「僕はお茶を」
はいはいと言いながらテキパキと準備してくれる。
やっぱり食堂の店主だけあって酒も料理も味は確かだ。
出てきた酒でクッと喉を潤す。
「やっぱりここの酒、味は確かだな」
「当たり前よ。舐めたこと言ってると次は水だかんね!」
そんなことを話している間に料理が出てくる。
揚げ物に、パスタにパンだ。
冒険者仕様でどれも満足いく量が盛られている。
「えっ、、、」
何故かアキトは戸惑っているがこんなの冷めたら負けだ。温かいうちに美味しく食べきるのが一番いい。
「おら、お前もあやううえ」
アキトも覚悟が決まったのかガツガツと食い始める。
出会ったばかりの時は残しそうになっていたが、最近は食べ切れるようになってきているようだ。
全く食い物の量はどうでもいいが、酒が回ってきたからか雑魚冒険者が蔓延ることに苛立ちを思えた。そんな雑魚たちに比べたらなんてアキトは可愛いことか。素直に聞いて成長してくれるし。
11
お気に入りに追加
296
あなたにおすすめの小説

【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる