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1章スローライフ準備編

5 居候

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いつも通りのアセナのスパルタ特訓が終わり、アセナから渡された魔石を換金した。手にしたお金はちょうど今必要な金額ぐらいだった。

「はぁ、宿の更新しなきゃなぁ」
更新料は10日毎に払っている。

冒険者として稼いでいて、マイホーム計画のお金も少しずつだが貯められている。だが、10日分の宿代がポンと消えるのは毎回重たいのだ。
宿のおじさんには良くしてもらっている。ご飯も美味しいし、冒険に行くと言えば弁当まで持たせてくれる時もある。
頼んでもいないのに、「部屋は掃除して、シーツも変えておいたぞ。安心せぇ、荷物には触っとらん」とかまである。

その時、そのおっさんにシーツの匂いを嗅がれていたことをアキトは知る由もない。

「まだ宿暮らしなのかよ」
家を借りてもいいんだけど、探す暇がないぐらいアセナと冒険に行っている。

「うん」

しばらくの静寂が訪れるが、アセナがボソッと聞こえるか聞こえないかの声で言う。
「オレの家に来い」

「え?」

「だからオレの家に来い!冒険者としての心得を私生活から叩き込んでやる」

えぇ、、、、

NOとは言えない剣幕で言われ、なされるがままにアセナとの共同生活が始まった。

「家賃は、、、」

「雑魚からもらう金なんてねぇんだよ。財布が汚れる」

という感じなので、マイホーム計画のお金が貯まる目処がつきそうだ。

アセナの家は間借りで、一階は飲食店になっている。二階がその飲食店の経営者夫婦の部屋で、その上の屋根裏部屋がアセナの家である。屋根裏と言っても粗末なものではなく、しっかりと暮らしていけるようになっているらしい。

アセナの後ろをついていくと庶民的な食堂の中に入っていった。
「あんた、変な女連れてきたんじゃないわよね!」
女将さんだろうか。なんかすごい気まずい、が、溢れ出んばかりの肝っ玉母さん感を感じ取った。

「うっせババア!オレが何をしようと金払ってんだから勝手だ」
どうしよう。ものすごく気まずい、、、

「あんた誰に向かっ「す、すみません。これからお世話になります。アキトです。よろしくお願いします」、、、あらぁ、こりゃまた可愛らしいヒヨッコを連れてきたんだねぇ。私はミランダよ」
挨拶すると突然豹変した。

「珍しいわねぇアンタがヒヨッコの世話するなんて「ウルッセ」ほんと、ねーお腹減ったらいつでも言うのよぉ~。くつろいで行きなさいねぇ」

「オレの部屋だぞ!」
バシバシと尻尾で壁を叩きながらキレる。
親子ではなさそうだが、仲は良さそうだ。

「おっ、ミラ母さん今日はやってるかい?」
そろそろ部屋に上がろうといった時に客が入ってきた。

「あったりめーよ!」

「うわっ、アセナもいるんじゃん、、、」
そら、アセナの家だからね、、、

「オレがいて悪いかよ!オレの部屋があるんだぞ!ババア、夜飯は部屋に持ってこい!」

「あんたそんな言い」
ミラ母さんが言い終わる前にそそくさと階段を上がっていってしまった。
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