オオカミ獣人にスローライフの邪魔される ツンデレはやめてくれ!

さえ

文字の大きさ
上 下
5 / 65
1章スローライフ準備編

5 居候

しおりを挟む
いつも通りのアセナのスパルタ特訓が終わり、アセナから渡された魔石を換金した。手にしたお金はちょうど今必要な金額ぐらいだった。

「はぁ、宿の更新しなきゃなぁ」
更新料は10日毎に払っている。

冒険者として稼いでいて、マイホーム計画のお金も少しずつだが貯められている。だが、10日分の宿代がポンと消えるのは毎回重たいのだ。
宿のおじさんには良くしてもらっている。ご飯も美味しいし、冒険に行くと言えば弁当まで持たせてくれる時もある。
頼んでもいないのに、「部屋は掃除して、シーツも変えておいたぞ。安心せぇ、荷物には触っとらん」とかまである。

その時、そのおっさんにシーツの匂いを嗅がれていたことをアキトは知る由もない。

「まだ宿暮らしなのかよ」
家を借りてもいいんだけど、探す暇がないぐらいアセナと冒険に行っている。

「うん」

しばらくの静寂が訪れるが、アセナがボソッと聞こえるか聞こえないかの声で言う。
「オレの家に来い」

「え?」

「だからオレの家に来い!冒険者としての心得を私生活から叩き込んでやる」

えぇ、、、、

NOとは言えない剣幕で言われ、なされるがままにアセナとの共同生活が始まった。

「家賃は、、、」

「雑魚からもらう金なんてねぇんだよ。財布が汚れる」

という感じなので、マイホーム計画のお金が貯まる目処がつきそうだ。

アセナの家は間借りで、一階は飲食店になっている。二階がその飲食店の経営者夫婦の部屋で、その上の屋根裏部屋がアセナの家である。屋根裏と言っても粗末なものではなく、しっかりと暮らしていけるようになっているらしい。

アセナの後ろをついていくと庶民的な食堂の中に入っていった。
「あんた、変な女連れてきたんじゃないわよね!」
女将さんだろうか。なんかすごい気まずい、が、溢れ出んばかりの肝っ玉母さん感を感じ取った。

「うっせババア!オレが何をしようと金払ってんだから勝手だ」
どうしよう。ものすごく気まずい、、、

「あんた誰に向かっ「す、すみません。これからお世話になります。アキトです。よろしくお願いします」、、、あらぁ、こりゃまた可愛らしいヒヨッコを連れてきたんだねぇ。私はミランダよ」
挨拶すると突然豹変した。

「珍しいわねぇアンタがヒヨッコの世話するなんて「ウルッセ」ほんと、ねーお腹減ったらいつでも言うのよぉ~。くつろいで行きなさいねぇ」

「オレの部屋だぞ!」
バシバシと尻尾で壁を叩きながらキレる。
親子ではなさそうだが、仲は良さそうだ。

「おっ、ミラ母さん今日はやってるかい?」
そろそろ部屋に上がろうといった時に客が入ってきた。

「あったりめーよ!」

「うわっ、アセナもいるんじゃん、、、」
そら、アセナの家だからね、、、

「オレがいて悪いかよ!オレの部屋があるんだぞ!ババア、夜飯は部屋に持ってこい!」

「あんたそんな言い」
ミラ母さんが言い終わる前にそそくさと階段を上がっていってしまった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

引き籠りたい魔術師殿はそうもいかないかもしれない

いろり
BL
騎士×魔術師の予定 

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

処理中です...