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新婚密月編
ある晴れた日の午後①
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「アリン様!お待ちくださいっ!」
「ひっ……来ないでください~」
ここは王宮。あのガーデンウエディングから一か月。フェアンとアリンは仲睦まじく甘々な新婚生活を送っていた。元々素直で頑張り屋のアリンはフェアンのパートナーという立場になっても威張らず働き者ということで王宮でも快く迎え入れられた。
そんなアリン。今はフェアンのパートナーとして付き人の仕事をしている。朝からフェアンのネクタイ選びをし、午前のティータイムに紅茶を淹れる。午後のティータイムにまた紅茶を淹れるがその時間はフェアン先生によるアリンの勉強タイムになっている。
そんなある日の勉強タイムの時のことだ……。
「フェアン!今日も、ルシュテン王国の歴史を勉強したいっ」
「もちろんいいよ、歴史の本をとってくるから少し待っててくれ」
「わかった!フェアン……ありがと」
本棚へ向かうフェアンに、はにかんだように微笑むとフェアンはアリンの頬にちゅっとキス一つを落とした。
今日の『午後のティータイム』はアリン特製のシナモン香るアップルパイと淹れたてのダージリンティーだ。
それをテーブルに置き二人はこれでもか、という程ピッタリと肩を寄せ合い、そして時折見つめ合いながらソファに座り勉強会を始めた。
「ーー……ということで今のルシュテン王国が出来たわけだ」
「フェアンの説明わかりやすい!ノスティアではここまで、詳しく勉強しなかったから凄く勉強になってるよ」
「いや。アリンは頭が良い。それにとっても頑張り屋さんだからね、愛しているよ子猫ちゃん」
「もぉ!恥ずかしいよ、フェアン!」
側から見ればただのバカップルだが、新婚の二人は何を思われても気にしていない。
そんな二人がお互いの口にアップルパイをあーんしている時だった。
「フェアン様、アリン様。タイラーとメイドのネネです。入ってもよろしいでしょうか?」
「はぁ……入れ……」
あからさまにがっかりするフェアンにアリンは小声で「続きは夜ね」と囁くとそれだけでフェアンはむくむくと元気を取り戻した。色んな意味で。
「失礼します。」
「どうした、タイラー。それにネネまで……」
「実は来月のアリン様のお披露目会のことでご相談が」
そう、実はまだアリンを国民の前でお披露目をしていなかったのだ。本来ならば結婚してすぐにお披露目するはずだったが、フェアンに急な仕事が立て込んでしまい結局結婚式を挙げてから二ヶ月目にお披露目会をすることになったのだ。
「なんだ?」
「陛下!アリン様のお衣装の事です。私、提案があって参りました!」
そう答えるのはメイドのネネ。
「僕の衣装……?あの、結婚式の時の衣装でいいですと言ったはず……」
「何を言いますか!陛下のパートナーであるアリン様がお披露目会に衣装を新調しないなんて……!」
ネネの意見を聞き、フェアンはうんうんと、頷いた。
「たしかに……アリン、新調しよう!さぁそうと決まればどんな衣装にするか決めようではないか!」
「えぇ……フェアン!?」
戸惑うアリンをよそに、フェアンとネネはアリンの衣装の話で盛り上がっている。タイラーはもう空気だ。
「さすが陛下!陛下ならわかってくださると思っておりました。実は仕立て屋を呼んでおります」
「ネネ、君は仕事が早いな」
「光栄の至り。……さぁ、アリン様。もう廊下に仕立て屋が来ています。ですので……脱いでください」
「脱ぐ!?」
突然脱げと言われ慌てるアリン。その間もネネはだんだんとアリンに近づいてくる。
ーー突然脱げって言われても……こんな体……今日は無理!
アリンは近寄るネネに「ごめんなさい!」と叫んで部屋を抜け出した。
そして、冒頭に戻るのだ。
「ひっ……来ないでください~」
ここは王宮。あのガーデンウエディングから一か月。フェアンとアリンは仲睦まじく甘々な新婚生活を送っていた。元々素直で頑張り屋のアリンはフェアンのパートナーという立場になっても威張らず働き者ということで王宮でも快く迎え入れられた。
そんなアリン。今はフェアンのパートナーとして付き人の仕事をしている。朝からフェアンのネクタイ選びをし、午前のティータイムに紅茶を淹れる。午後のティータイムにまた紅茶を淹れるがその時間はフェアン先生によるアリンの勉強タイムになっている。
そんなある日の勉強タイムの時のことだ……。
「フェアン!今日も、ルシュテン王国の歴史を勉強したいっ」
「もちろんいいよ、歴史の本をとってくるから少し待っててくれ」
「わかった!フェアン……ありがと」
本棚へ向かうフェアンに、はにかんだように微笑むとフェアンはアリンの頬にちゅっとキス一つを落とした。
今日の『午後のティータイム』はアリン特製のシナモン香るアップルパイと淹れたてのダージリンティーだ。
それをテーブルに置き二人はこれでもか、という程ピッタリと肩を寄せ合い、そして時折見つめ合いながらソファに座り勉強会を始めた。
「ーー……ということで今のルシュテン王国が出来たわけだ」
「フェアンの説明わかりやすい!ノスティアではここまで、詳しく勉強しなかったから凄く勉強になってるよ」
「いや。アリンは頭が良い。それにとっても頑張り屋さんだからね、愛しているよ子猫ちゃん」
「もぉ!恥ずかしいよ、フェアン!」
側から見ればただのバカップルだが、新婚の二人は何を思われても気にしていない。
そんな二人がお互いの口にアップルパイをあーんしている時だった。
「フェアン様、アリン様。タイラーとメイドのネネです。入ってもよろしいでしょうか?」
「はぁ……入れ……」
あからさまにがっかりするフェアンにアリンは小声で「続きは夜ね」と囁くとそれだけでフェアンはむくむくと元気を取り戻した。色んな意味で。
「失礼します。」
「どうした、タイラー。それにネネまで……」
「実は来月のアリン様のお披露目会のことでご相談が」
そう、実はまだアリンを国民の前でお披露目をしていなかったのだ。本来ならば結婚してすぐにお披露目するはずだったが、フェアンに急な仕事が立て込んでしまい結局結婚式を挙げてから二ヶ月目にお披露目会をすることになったのだ。
「なんだ?」
「陛下!アリン様のお衣装の事です。私、提案があって参りました!」
そう答えるのはメイドのネネ。
「僕の衣装……?あの、結婚式の時の衣装でいいですと言ったはず……」
「何を言いますか!陛下のパートナーであるアリン様がお披露目会に衣装を新調しないなんて……!」
ネネの意見を聞き、フェアンはうんうんと、頷いた。
「たしかに……アリン、新調しよう!さぁそうと決まればどんな衣装にするか決めようではないか!」
「えぇ……フェアン!?」
戸惑うアリンをよそに、フェアンとネネはアリンの衣装の話で盛り上がっている。タイラーはもう空気だ。
「さすが陛下!陛下ならわかってくださると思っておりました。実は仕立て屋を呼んでおります」
「ネネ、君は仕事が早いな」
「光栄の至り。……さぁ、アリン様。もう廊下に仕立て屋が来ています。ですので……脱いでください」
「脱ぐ!?」
突然脱げと言われ慌てるアリン。その間もネネはだんだんとアリンに近づいてくる。
ーー突然脱げって言われても……こんな体……今日は無理!
アリンは近寄るネネに「ごめんなさい!」と叫んで部屋を抜け出した。
そして、冒頭に戻るのだ。
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ステキなお話しをありがとうございました😊
とにかくアリンが可愛くて😻
アリンが幸せになれて良かったです。
ぜひ、新婚の2人のお話も読みたいです。お時間が、あったらお願いします。
アルパカ様
コメントありがとうございます❗️嬉しいです😊
アリン可愛いですよね❤️
2人の新婚密月編も、書こうかな😍
初めてコメントします😊
健気受けタグにつられて読み始めましたが、面白いです♪
アリンがなかなかフェアンの愛情に甘えられない心情を読んで、
健気さにうるっとしちゃいました。
アリンかわいい!その上、猫耳なんて❤かわいすぎます❤
やっと大好きって言えたけど、
フェアンが王子様ってわかったら、アリンはまた委縮しちゃうのかな。
アリンが憂いなく幸せになれるように全力応援します(*・ω・)/
この作品をたくさんの人に読んでもらいたいな。
小鳥遊ゆうサマ、応援してます♬
zaiさま
わー!!コメントありがとうございます。
初コメント、応援、嬉しいです!😊
アリンの可愛いさに気づいてくださいましたか!
これからどうなるか…アリンが幸せになるように頑張りますので良かったらこれからも呼んでください❤️