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66 ノスティア最後の日
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その後、フェアンは一旦王宮に帰ることとなった。
帰る前に王宮に来れないか聞いたがアリンは首を縦には降らなかった。
「今日も午後から仕事があるし……。急に今から来てって言われても難しいよ。」
少し困ったように笑うアリンの手を取り頬にキスをした。
「大丈夫、そう言うと思ったよ。急に言ってすまなかった。ただ……お願いがあるんだ。」
「お願い?……僕に出来ることならなんでもするよ!」
フェアンのお願いなら聞いてあげたい、とアリンは目を輝かフェアンに顔を近付けさせた。
「アリンにしか叶えられないから聞いてもらうぞ?……アリン、3月に結婚式を挙げたい。」
「け、結婚式!?」
アリンはフェアンからプロポーズを受けたとはいえ、まさか結婚式までするとは思っていなかった。フェアンと一緒に生きると決めたが滅多にノスティアから出ないアリンは式を挙げるのを戸惑っていた。
「アリン、大丈夫だよ。って、本当はこんな可愛いアリンを皆んなに見せびらかしたいだけなんだ。……ダメかい?」
「そんな顔されちゃったら、断れないよ……。うん、フェアン、僕結婚式する。」
アリンがはにかんで笑うとフェアンは満面の笑みでアリンを持ち上げそのままクルクル回った。
「嬉しいぞアリン!楽しみだ!」
ーーフェアン、そんなに嬉しいんだ……
フェアンの喜びように驚いたアリンだったが、それよりも喜んでくれている姿が嬉しくてアリンはフェアンの額に自分からキスをした。
ーーー
それから約2ヶ月は慌ただしいものだった。仕事は最後まで責任を持ちたいアリンはフェアンが迎えに来る日の前日まで働いた。最終日には、ロバートさんとナタリアさんの計らいで昼から店を貸切にし常連さんやリンダさん、村長やレイも招いてのパーティーが行われた。
アリンの好きな料理がたくさん並べられ大人たちは酒を飲みこの日の宴は大いに盛り上がった。
最後には花束が贈られアリンと、アリンを送っていくレイがみんなに見送られながら定食屋を出た。
「アリンー!幸せになれよー!」
「おめでと~!」
たくさんの声援を受けながらアリンは後ろを振り向き最後までみんなに手を振っていた。
もうだいぶ歩き誰の声も聞こえなくなった頃、レイがぽつりぽつりと話し出した。
「いよいよ、明日なんだな。」
「うん……なんだか少し寂しいな。……ここにはたくさん思い出があるから。」
「……なぁ、アリン。」
「ん?どうしたの?」
「……いや、なんでもない。お前、王宮行っても頑張れよ。お前なんだかんだドジだからなぁ。追い出されんなよ?」
「ちょっ……!酷い!大丈夫だよ!」
2人は顔を見合わせるとぷっと吹き出して笑い合った。
そして出会った時からの思い出話に花を咲かせながら歩いているとあっという間にアリンの家の前に着いた。
「ありがとうレイ、送ってくれて。」
「おう……。明日、見送りに行くから。」
「うん、ありがとう……それじゃあ、レイ」
「じゃあな、アリン」
最後にお互い手を握り合うとアリンは家の中に、レイは自分の家へと2人はそれぞれ別の道を歩き出した。
帰る前に王宮に来れないか聞いたがアリンは首を縦には降らなかった。
「今日も午後から仕事があるし……。急に今から来てって言われても難しいよ。」
少し困ったように笑うアリンの手を取り頬にキスをした。
「大丈夫、そう言うと思ったよ。急に言ってすまなかった。ただ……お願いがあるんだ。」
「お願い?……僕に出来ることならなんでもするよ!」
フェアンのお願いなら聞いてあげたい、とアリンは目を輝かフェアンに顔を近付けさせた。
「アリンにしか叶えられないから聞いてもらうぞ?……アリン、3月に結婚式を挙げたい。」
「け、結婚式!?」
アリンはフェアンからプロポーズを受けたとはいえ、まさか結婚式までするとは思っていなかった。フェアンと一緒に生きると決めたが滅多にノスティアから出ないアリンは式を挙げるのを戸惑っていた。
「アリン、大丈夫だよ。って、本当はこんな可愛いアリンを皆んなに見せびらかしたいだけなんだ。……ダメかい?」
「そんな顔されちゃったら、断れないよ……。うん、フェアン、僕結婚式する。」
アリンがはにかんで笑うとフェアンは満面の笑みでアリンを持ち上げそのままクルクル回った。
「嬉しいぞアリン!楽しみだ!」
ーーフェアン、そんなに嬉しいんだ……
フェアンの喜びように驚いたアリンだったが、それよりも喜んでくれている姿が嬉しくてアリンはフェアンの額に自分からキスをした。
ーーー
それから約2ヶ月は慌ただしいものだった。仕事は最後まで責任を持ちたいアリンはフェアンが迎えに来る日の前日まで働いた。最終日には、ロバートさんとナタリアさんの計らいで昼から店を貸切にし常連さんやリンダさん、村長やレイも招いてのパーティーが行われた。
アリンの好きな料理がたくさん並べられ大人たちは酒を飲みこの日の宴は大いに盛り上がった。
最後には花束が贈られアリンと、アリンを送っていくレイがみんなに見送られながら定食屋を出た。
「アリンー!幸せになれよー!」
「おめでと~!」
たくさんの声援を受けながらアリンは後ろを振り向き最後までみんなに手を振っていた。
もうだいぶ歩き誰の声も聞こえなくなった頃、レイがぽつりぽつりと話し出した。
「いよいよ、明日なんだな。」
「うん……なんだか少し寂しいな。……ここにはたくさん思い出があるから。」
「……なぁ、アリン。」
「ん?どうしたの?」
「……いや、なんでもない。お前、王宮行っても頑張れよ。お前なんだかんだドジだからなぁ。追い出されんなよ?」
「ちょっ……!酷い!大丈夫だよ!」
2人は顔を見合わせるとぷっと吹き出して笑い合った。
そして出会った時からの思い出話に花を咲かせながら歩いているとあっという間にアリンの家の前に着いた。
「ありがとうレイ、送ってくれて。」
「おう……。明日、見送りに行くから。」
「うん、ありがとう……それじゃあ、レイ」
「じゃあな、アリン」
最後にお互い手を握り合うとアリンは家の中に、レイは自分の家へと2人はそれぞれ別の道を歩き出した。
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