63 / 70
62 君は俺のすべて
しおりを挟む
「アリン、会いたかった……。」
リヒテルはアリンの腕を引っ張り上げるとそのままきつく抱きしめた。
「えっ、え……フェアンなの?本当に?」
抱きしめられたまま驚きで混乱してるアリンは何度もフェアンの背中を叩いた。
フェアンは抱きしめていた体をゆっくり離すと愛しい者を見るかのように優しい目でアリンを見つめた。
「フェアンだよ。アリン、待たせてしまってごめん。」
そのままアリンの頬や猫耳を優しく撫でていると後ろから大声が聞こえた。
「フェアン陛下!急に一人で飛び出すのおやめください!あなたの馬、速いんですから……。」
「タイラーすまないな。探していた大切な人が見つかったから、思わず。」
アリンは幸せそうに微笑むフェアンをしばらく見ていたが、二人の会話を聞いて咄嗟に一歩下がった。
「陛下ってフェアンが……?あれ、フェアンってリヒテル王子じゃなかったの……?」
不安そうに尻尾をユラユラ揺らしながら見上げるとフェアンは嬉しそうにアリンの左手薬指にキスをした。
「離れていた間の事、話したいことがたくさんあるんだ。アリン、今日君さえよければ家に行ってもいいかい?」
「えっ今から……僕はいいけど、えっと……レイとマーケットに来ていて荷物もあるし。その……」
アリンは困った顔でちらっとタイラーの方を見ると、タイラーはあぁ……と一言呟いた。
「こっちは大丈夫ですよ。でも念のため近くに見張りはつけさせてもらいますね。」
「ありがとう、タイラー。アリン、レイの方はこちらで説明しておくよ。荷物も運んでおく。」
それでいいかな?と尋ねるとアリンは何度も首を縦に振った。
―――
フェアンの馬に一緒に乗りノスティアの家に着くまで二人はお互いの体温を絡ませるように手をつないだままだった。
家に着き玄関の扉を閉めた途端、フェアンはまたアリンをきつく抱きしめた。
「会いたかった、アリン。俺の可愛いアリン……。」
アリンはフェアンの体温を感じると目を閉じその大きな背中に腕を回した。
「僕も……僕も会いたかった、ずっとずっと待ってた。」
閉じた瞳から涙が零れるとフェアンはその涙を指で掬った。
「アリン、この指輪も髪紐も……まだ俺を想ってくれてるのか?」
アリンが涙で濡れた瞳で微笑むとフェアンは顔をほころばせ優しくキスをした。
「んっ…フェアン、ちょっと待って、聞きたいことあるのっ。」
「ん……そうだな、じゃあ部屋に入ろう。」
そう言うとフェアンはキスをしたままアリンを横抱きで抱え部屋に入った。
アリンが入れる紅茶を飲みながらフェアンとアリンはたくさん話をした。離れてからの事、王になった際に改名して正式に『フェアン』になったこと、そしてお互いがどれだけ想いあっていたかということを。
「そんなことがあったんだね……。フェアン、ありがとう。僕のことを想っていてくれて……。」
「俺の方こそっ!アリン、俺は今後の人生は君と過ごしたいと思っているんだ。…一緒に来てくれないか?」
フェアンがアリンの両手を握りながら聞くとアリンはうつ向いたまま首を横に振った。
「フェアンは王様になったんだよ?僕じゃ一緒にいられない。子供もつくれないし、いくら獣人への差別がなくなったとしても僕があなたの恋人って知られたらフェアンが嫌な思いするかもしれないよ……。」
「子供のことは大丈夫。俺が王になった時に支持してくれた叔父に子供がいるんだ。ゆくゆくはその子が後継者になる予定だよ。それに実はもう知られているんだ。」
「え……なにが?」
「俺に好きな人がいるってこと。それが君だってことだよ。だから世継ぎもなにも言われない。大丈夫なんだよアリン。」
まさかそこまで考えていたとは知らずアリンは驚き目を見開いた。
「どうして、そこまでするの……。」
フェアンはアリンの言葉を聞くと座っていたソファをおり、アリンの目の前で片膝をついた。
「君が俺の全てだから。……アリン俺と結婚してください。」
リヒテルはアリンの腕を引っ張り上げるとそのままきつく抱きしめた。
「えっ、え……フェアンなの?本当に?」
抱きしめられたまま驚きで混乱してるアリンは何度もフェアンの背中を叩いた。
フェアンは抱きしめていた体をゆっくり離すと愛しい者を見るかのように優しい目でアリンを見つめた。
「フェアンだよ。アリン、待たせてしまってごめん。」
そのままアリンの頬や猫耳を優しく撫でていると後ろから大声が聞こえた。
「フェアン陛下!急に一人で飛び出すのおやめください!あなたの馬、速いんですから……。」
「タイラーすまないな。探していた大切な人が見つかったから、思わず。」
アリンは幸せそうに微笑むフェアンをしばらく見ていたが、二人の会話を聞いて咄嗟に一歩下がった。
「陛下ってフェアンが……?あれ、フェアンってリヒテル王子じゃなかったの……?」
不安そうに尻尾をユラユラ揺らしながら見上げるとフェアンは嬉しそうにアリンの左手薬指にキスをした。
「離れていた間の事、話したいことがたくさんあるんだ。アリン、今日君さえよければ家に行ってもいいかい?」
「えっ今から……僕はいいけど、えっと……レイとマーケットに来ていて荷物もあるし。その……」
アリンは困った顔でちらっとタイラーの方を見ると、タイラーはあぁ……と一言呟いた。
「こっちは大丈夫ですよ。でも念のため近くに見張りはつけさせてもらいますね。」
「ありがとう、タイラー。アリン、レイの方はこちらで説明しておくよ。荷物も運んでおく。」
それでいいかな?と尋ねるとアリンは何度も首を縦に振った。
―――
フェアンの馬に一緒に乗りノスティアの家に着くまで二人はお互いの体温を絡ませるように手をつないだままだった。
家に着き玄関の扉を閉めた途端、フェアンはまたアリンをきつく抱きしめた。
「会いたかった、アリン。俺の可愛いアリン……。」
アリンはフェアンの体温を感じると目を閉じその大きな背中に腕を回した。
「僕も……僕も会いたかった、ずっとずっと待ってた。」
閉じた瞳から涙が零れるとフェアンはその涙を指で掬った。
「アリン、この指輪も髪紐も……まだ俺を想ってくれてるのか?」
アリンが涙で濡れた瞳で微笑むとフェアンは顔をほころばせ優しくキスをした。
「んっ…フェアン、ちょっと待って、聞きたいことあるのっ。」
「ん……そうだな、じゃあ部屋に入ろう。」
そう言うとフェアンはキスをしたままアリンを横抱きで抱え部屋に入った。
アリンが入れる紅茶を飲みながらフェアンとアリンはたくさん話をした。離れてからの事、王になった際に改名して正式に『フェアン』になったこと、そしてお互いがどれだけ想いあっていたかということを。
「そんなことがあったんだね……。フェアン、ありがとう。僕のことを想っていてくれて……。」
「俺の方こそっ!アリン、俺は今後の人生は君と過ごしたいと思っているんだ。…一緒に来てくれないか?」
フェアンがアリンの両手を握りながら聞くとアリンはうつ向いたまま首を横に振った。
「フェアンは王様になったんだよ?僕じゃ一緒にいられない。子供もつくれないし、いくら獣人への差別がなくなったとしても僕があなたの恋人って知られたらフェアンが嫌な思いするかもしれないよ……。」
「子供のことは大丈夫。俺が王になった時に支持してくれた叔父に子供がいるんだ。ゆくゆくはその子が後継者になる予定だよ。それに実はもう知られているんだ。」
「え……なにが?」
「俺に好きな人がいるってこと。それが君だってことだよ。だから世継ぎもなにも言われない。大丈夫なんだよアリン。」
まさかそこまで考えていたとは知らずアリンは驚き目を見開いた。
「どうして、そこまでするの……。」
フェアンはアリンの言葉を聞くと座っていたソファをおり、アリンの目の前で片膝をついた。
「君が俺の全てだから。……アリン俺と結婚してください。」
0
お気に入りに追加
427
あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い


男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる