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53 3人の決意
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エリックは自分の顔色がサーッと青くなるのを自身で感じた。
ーーやはり、リヒテル様が襲われたのもルーカス様のせいだったんだっ!
それでもなんとか表情を変えずにルーカス様と男の会話に集中した。
「あいつがいるせいで……!私の後継者としての立場が危ぶまれているんだ。あいつが国民にいい顔ばかりするからっ…!」
怒りと嫉妬に顔を歪ませたルーカスは拳を握りしめ全身を震わせている。
「あぁそんなに、怒らなくても大丈夫ですよ。私がなんとかしましょう。……それでいつまでにいたしましょう?」
「……年末に私の次期王の後継者の任命式がある。その日にしろ。いいか、必ず事故に見せかけるんだ。そうすれば誰の反対もなく私が後継者になれる。」
後継者の任命式は国民の前で行われる。以前はリヒテルの国民からの人気もあり正式に後継者の発表はなかった。それがリヒテルが行方不明になったことで正式にルーカスが後継者となったのだ。しかし、リヒテルが帰って来たことにより国民からルーカスへの反対の声が上がっているのだ。
ーーそれでルーカス様はこの男にリヒテル様を殺させようとしたのかっ……!
エリックは内心はらわたが煮えくりかえりそうなほど怒っていたがリヒテルへ報告するために唇を嚙み怒りを押し殺した。
この夜からエリックはルーカスと接触していた男を調査し、この男が裏の界隈では殺し屋として有名だという事を知った。
ーーー
エリックからの報告を聞いてタイラーは怒りに震え額に血管まで浮き出している。だがリヒテルは、はぁ……と深いため息を一つこぼすだけだった。
「兄とは仲が良いとは正直言い切れなかった。だがこれはもう見逃せない。兄の思惑もわかった……。」
ひと息呼吸を入れるとリヒテルはタイラーとエリックを見据えて
はっきりと言った。
「兄ルーカスに国民の前で罪を認めさせる。」
「幸い、いつ俺が狙われるのかもわかっている。その殺し屋を現行犯で捕まえなければならないな。この計画も考えておく。あとは……」
リヒテルはタイラーに体ごと向けた。
「父上のことだ。タイラー、父上のことでわかったことはあるか?」
「リヒテル様、すいません。まだ断定できることはわかっていません。その……陛下には優秀な秘書がおりますからあまり近づくことも出来ません。ただ!その秘書は絶対に自分の手帳が入っている鞄を従者や護衛に渡しません。それこそお手洗いに行く時でも片時でも離さないのです。」
「自分の持ち物を他人に触られたくないだけじゃないのか?」
エリックが尋ねるとタイラーは真剣な目をして話した。
「確かにそうかもしれない……。ただ、本当にこれは私の勘なのですが、あの秘書は何かを隠していると思います。」
リヒテルはその真剣な表情を見た後、タイラーの両肩を手で叩いた。
「わかった。タイラー、君を信じよう。ただ、あまり時間がない……。二人ともよろしく頼むぞ。」
「はい!!」
リヒテルの執務室に二人の声が静かに響き渡った。
ーーやはり、リヒテル様が襲われたのもルーカス様のせいだったんだっ!
それでもなんとか表情を変えずにルーカス様と男の会話に集中した。
「あいつがいるせいで……!私の後継者としての立場が危ぶまれているんだ。あいつが国民にいい顔ばかりするからっ…!」
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「あぁそんなに、怒らなくても大丈夫ですよ。私がなんとかしましょう。……それでいつまでにいたしましょう?」
「……年末に私の次期王の後継者の任命式がある。その日にしろ。いいか、必ず事故に見せかけるんだ。そうすれば誰の反対もなく私が後継者になれる。」
後継者の任命式は国民の前で行われる。以前はリヒテルの国民からの人気もあり正式に後継者の発表はなかった。それがリヒテルが行方不明になったことで正式にルーカスが後継者となったのだ。しかし、リヒテルが帰って来たことにより国民からルーカスへの反対の声が上がっているのだ。
ーーそれでルーカス様はこの男にリヒテル様を殺させようとしたのかっ……!
エリックは内心はらわたが煮えくりかえりそうなほど怒っていたがリヒテルへ報告するために唇を嚙み怒りを押し殺した。
この夜からエリックはルーカスと接触していた男を調査し、この男が裏の界隈では殺し屋として有名だという事を知った。
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「兄とは仲が良いとは正直言い切れなかった。だがこれはもう見逃せない。兄の思惑もわかった……。」
ひと息呼吸を入れるとリヒテルはタイラーとエリックを見据えて
はっきりと言った。
「兄ルーカスに国民の前で罪を認めさせる。」
「幸い、いつ俺が狙われるのかもわかっている。その殺し屋を現行犯で捕まえなければならないな。この計画も考えておく。あとは……」
リヒテルはタイラーに体ごと向けた。
「父上のことだ。タイラー、父上のことでわかったことはあるか?」
「リヒテル様、すいません。まだ断定できることはわかっていません。その……陛下には優秀な秘書がおりますからあまり近づくことも出来ません。ただ!その秘書は絶対に自分の手帳が入っている鞄を従者や護衛に渡しません。それこそお手洗いに行く時でも片時でも離さないのです。」
「自分の持ち物を他人に触られたくないだけじゃないのか?」
エリックが尋ねるとタイラーは真剣な目をして話した。
「確かにそうかもしれない……。ただ、本当にこれは私の勘なのですが、あの秘書は何かを隠していると思います。」
リヒテルはその真剣な表情を見た後、タイラーの両肩を手で叩いた。
「わかった。タイラー、君を信じよう。ただ、あまり時間がない……。二人ともよろしく頼むぞ。」
「はい!!」
リヒテルの執務室に二人の声が静かに響き渡った。
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