金瞳の王子は黒猫少年を溺愛する

小鳥遊ゆう

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46 再会

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フェアンが居なくなってから1ヶ月が経った。出会った頃はまだ肌寒い季節だったのに今では夏の暑さに早くもバテてしまうような季節になってしまった。

2人で使った大きなベッドで寝るのが辛くて一晩中泣いてばかりだったから、そのベッドを使うのをやめた。リビングのソファでブランケットにくるまりながら寝るのは時々体が痛くなったけど、心が痛むよりましだった。だんだん食欲もなくなってズボンがだんだん緩くなってるのもわかっていたけど、それでも何か食べようという気持ちにはなれなかった。

ロバートさんは暫く休んだ方がいいと提案してくれたけれど、少しでもぼーっとするとフェアンの事を思い出してばかりになるから休まないと伝えた。そうやって頑張ったおかげかお客さんにフェアンのことを聞かれてもなんとか笑顔で答えられるようにはなった。

「おい、アリン……。大丈夫か?また痩せたんじゃないか?」

閉店作業をしていると厨房から顔を覗かせたロバートさんに声をかけられた。

「ちゃんと食べてるか?ここんとこ賄いの料理も残すことも多いし……。顔色も悪いぞ?寝れてるのか?」

「だ、大丈夫ですよ!急に暑くなったから夏バテかもしれません!」

精一杯の笑顔で取り繕った姿はロバートさんにはバレバレでまた心配をかけてしまう。

「確かに少し寝不足かもしれないです!これ終わったら今日は帰りますね」

「ちょっ…!アリン!」

これ以上心配されたくなくてロバートさんの言葉を最後まで聞かず最後のテーブルを拭き終えると急いで帰り支度を始めた。


ーーー


「はぁ…すっかり暗くなっちゃったな。」

帰り道、7月といえど夜遅くなると半袖では少し寒い。暗くなったいつもの道をぼんやり歩いていると向かいから誰かがこちらに気付いて歩いてくるのが見えた。

ーーこんな夜遅くに、誰だろ……?

いつも定食屋の仕事の終わる時間は遅く、帰り道は誰とも会わないことが多い。ただでさえ小柄で線の細いアリン。寝不足と食欲がない事で元々細い体が余計に小さくなってしまっている今の状態では誰かに襲われても反撃する力なんてない。

ーーこの道しか家に帰れないのに……。一旦お店に戻った方がいいかな。

ジャリジャリと相手の足音が近づくたびに自分の胸が緊張でドキドキするのがわかる。なるべく刺激をしないようにとゆっくり踵を返した。音を立てないように早足で歩くがこちらが早く歩くたびに段々と近づいてくるのがわかる。

ーーこのままじゃ、追いつかれるっ…!

もう逃げるしかない、と走り出そうとした瞬間

『おい!!』

大きな声が夏の夜空に響き渡った。

ーーこの声、僕知ってる。この声って……

思わず歩みを止めて振り返るとそこには数ヶ月前に泣きながら別れた、かつての親友がいた。

「逃げんな、アリン。」

「えっ……レイ?」





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